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2010年8月12日 (木)

楽園の生活案内

肖像画

 17世紀は、肖像画の時代と言われます。
 家柄の良い者は、画家に自分の姿を描かせ、それを邸宅内に飾ったりしていたようです。
 さらには邸の中には絵画室というものがあって、彼らはそこに自分たちの先祖代々の肖像画をずらりと並べていました。
 かのオスカルも、ある日突然、画家に自分の肖像画を描かせたいと言い出します。
 ばあやはそこで、「今まであれほど嫌がってらっしゃったのに」と不振がり、少し不吉なイメージまで抱いたようですが、そのエピソードを見てもわかるように、家柄の良い者、または上流の市民にとって、画家に自分の肖像画を描かせるということはある意味流行みたいなものであり、人々にとってそれなりに身近なことだったということです。

 オスカルの完成した肖像画を見てもわかりますが、肖像画とは、必ずしも今そこにあるモデルの姿を忠実に再現したものであるとは限りません。
 肖像画には誇張がつきもの。
 せっかくその姿を不朽のものとして残すのですから、是非、この上なく美しく描いてもらいたいと思うのが人情というものでしょう。
 ですから顔の欠点は全く上手に雲隠れするし、着ているものはより美しく上質で豪華なものに、しかも普段着ではなく、伝統的で権威のある礼服で描かれます。
 そして宝石はその大きさと輝きを増し、しぐさは堂々と威厳をもち……、これらのことを上手く組み合わせることによって、そこに描かれている人物の社会的ステータスをできるかぎりの誇張を用いて表現するのです。

 ところで肖像画は、ある人物の姿をそこに写し取ることによって、周囲や子孫などに、彼が存在しているという証を残すものでもありますが、何といっても写真のない時代、別の目的に用いられることもありました。

 それは、お見合いです。

 政略結婚が主流のこの社会では、相手が全く見たこともない人であることはよくあること。
 そういったときには、早速肖像画を作らせ、相手のもとへと贈ります。
 しかしこの肖像画を見て相手のことがとても気に入ったとしても、実際に顔を合わせてみたら、なんていうこと!
 そこには全く別人かと思うような、絵とは全く印象の違う人物が姿を現すなんていうこともあるのです。

 しかし、ここで画家を責めるのは間違っています。
 そもそも肖像画とは、そうしたもの。
 できる限りその人の魅力を誇張し、社会的ステータスを高く引き上げようと工夫を凝らした産物なのですから、それくらいは常に計算に入れておくようでなければならないのです。

 しかし、それにしたって、やはり自分の結婚相手となる人物にはそれなりの期待をしてしまうもの。
 実際、見合いの肖像画をもらって心を躍らせて、実際に対面したのちに怒りを露にした王族の話などは、ちらほらと現代にも伝わっているのです。

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『秘密の花園』貴族たちの日常や文化がいっぱいなブログ。ベルばらKids関連話も更新していく予定です。よかったら是非、遊びにきてくださいね!」

     

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《ベルばらKidsぷらざスタッフより》
 コラム『楽園の生活案内』を連載中のmashironさんが書籍・『宮廷マダムの作法』を出版しました。
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/08/12 11:00:00 楽園の生活案内 | | トラックバック (3)

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