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2010年8月27日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

ヒーロー、ヒロイン、愛される理由

 ヘラクレステセウスアキレウス。彼らは、古代の人々に最も愛され、現代でも有名な、ギリシャ神話に登場する英雄たちである。ギリシャ神話に興味のない人でも、彼らの名前はどこかで聞いたことがあるのではないだろうか。
 彼らはいずれも神々の子とされてはいるが、自分自身は人間である。しかし、人々は彼らを神々に勝るとも劣らないほど愛し、その活躍を好んで物語り、ついにそれは現代まで伝えられたのだ。
 何故、彼らはこんなにも愛され続けているのだろうか?

 英雄たちはいずれも怪物を倒したり、冒険をしたりと、常人ではとてもできなような偉業を成し遂げている。そして、神々の血をひく上に、王族であり、高貴な地位にある。さらに、体格は立派で、容姿も優れ、聡明で、身体能力も極めて高い。
 このように、英雄たちが偉大な存在だから人々は彼らに憧れ、彼らの物語を愛したのだろうか?

 しかし、英雄たちの物語は光り輝くものばかりではない。彼の人生には必ず悲劇という闇の側面は必ず存在する。
 ヘラクレスは、神々の王ゼウスの息子だが、それ故に、父の妃である女神ヘラに憎まれ、数々の悲劇に見舞われる。狂気に陥って妻子を殺し、最後は身体から離れない毒の衣によって生きながら皮膚を焼かれ、あまりの苦しみに炎に身を投じ自殺するしかなかった。
 テセウスは、金髪の理想的な美男子とされている、アテナイの英雄である。しかし、その晩年は実はかなり悲しいもので、妻の偽りの言葉によって最愛の息子を失い、政敵を恐れて外国へ逃げたのち、その地であっさり殺されてしまう。
 アキレウスは、海の女神テティスの息子で、生まれながらにトロイア戦争での活躍を約束されているが、同時にその早すぎる死も約束されていた。アキレウスは、ギリシャを勝利に導くか、そこで戦死を遂げてしまう。黄泉の国でアキレウスは、「英雄として死ぬより、凡人として生きたかった」と自らの短命を嘆いていたという。

 英雄たちが、あれほど人々に愛される理由。
 それは、彼えらの悲劇にこそあるのではないか。
 現代でも若くして死んだ人物や、悲劇に見舞われた人物が美化され、より強い印象を残すように、悲劇に見舞われるからこそ、彼らはより心に残る存在となっているのではないだろうか。

 『ベルサイユのばら』のことを考えても、立派な王妃としてマリー・アントワネットが天寿を全うしていたなら、オスカルの最後がアンドレと結婚してめでたしめでたしだったら、どうだろうか?
 いくらアントワネットが美しい王妃様でも、いくらオスカルが颯爽とした男装の麗人でも、ハッピーエンドなら、読者の心に残る印象は全く違ったものになっただろう。
王妃であったアントワネットが時代の波に翻弄され断頭台の露と消えるからこそ、オスカルが雄雄しく戦い、銃弾に倒れるからこそ、読者は熱烈に彼女たちを愛し、ずっと心にとどめて置くのではないだろうか。
 読者自身がそのはかない運命を思って流した涙こそが、彼女たちを忘れえぬものにしているのだろう。(米倉敦子

《参考文献》
『ギリシア・ローマ神話辞典』 高津春繁著 岩波文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/08/27 11:00:00 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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