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2010年9月24日 (金)

神々のプロフィール―ばらに宿った神話―

愛情深きばあやの罪

 彼女の養い子はミュラといい、トラキアの王キニュラスの娘だった。
 美男子の父に似て美しかったミュラなので、年頃になるとたくさんの求婚者が彼女の元に訪れた。ところが、ミュラは首を振り、悲しそうにうつむくばかり。
 そこで、父のキニュラスが「お前はどんな男がいいのか?」と尋ねると、ますます悲しげな顔になり「お父さまのような方……」と消え入りそうな声で答えるのだ。その言葉に父親を慕う娘の愛情を感じ、キニュラスは喜んでいたのだが……。

 ばあやは尋常ではないミュラの様子に気づいていた。だから、ミュラが誰もいない自室で首をつろうとしたとき、止めることができた。ばあやはミュラを幼いときにしてやったように彼女をやさしく抱きしめ、彼女が何故それほど苦しんでいるのかを話すようにと懇願した。

 ミュラはワッと泣き出し、ついに打ち明けた。

「私はお父さまを愛しているのよ!」

 ばあやは驚き、はじめはその許されざる恋を捨てるように言った。
 しかし、ミュラは「ならば私は死ぬしかない」と言い張るのだ。

 王女さまを見殺しにはできない。どんなことをしても……

 ばあやは愛情ゆえに、このとき、とんでもない行動をとった。ミュラを王妃の不在の間に真っ暗にしたキニュラスの寝室へとおくり、ミュラの思いを遂げさせたのだ。
ばあやはそれしかミュラを生かす方法は無いと考えたのだろう。

 しかしその結果、ミュラはこともあろうに実の父の子どもを妊娠してしまった。
また、キニュラスは自分が抱いた娘がミュラだったと知り、禁忌を犯した娘を殺そうとした。
 ミュラは身重な身体で逃げ出し、没薬という名の木に姿を変えてから、神と見紛うほど愛らしい男の子を産み落とした。この罪の子こそが、女神アフロディテの寵児アドニスなのである。

 『ベルサイユのばら』
には、大変愛情深いばあや、マロン・グラッセがいる。このばあやはミュラのばあやと同じように“お嬢さま命!”だが、幸いオスカルはマロン・グラッセにとんでもない秘密を打ち明けたりはしていない。
 だから、マロン・グラッセはオスカルの運命に関わっていない……?
 いや、実はそうではないかもしれない。
 マロン・グラッセはオスカルのではないが、彼女が愛した男性アンドレの秘密を知っていて、故意的にそれを隠し続けていた。そう、マロン・グラッセはアンドレの目が相当悪いことを知っていたのだ。
 自分たちの身分を慮ったのと、オスカルたちに心配をかけないようにと思ったのだろうが、もしアンドレに目の治療を受けさせていたらアンドレは死ぬことはなく、そしてまたオスカルも……?
 いずれにせよ、ファンとしては、オスカルとアンドレの結婚式に列席して泣きじゃくるばあやの姿を見たかった。(米倉敦子)

《参考文献》

『変身物語』 オウィディウス 中村喜也訳 岩波文庫

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2010/09/24 19:35:52 神々のプロフィール―ばらに宿った神話― | | トラックバック (0)

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