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2011年1月11日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

エルミタージュで幻想をみる 1764年

  ~アントワネット9歳~

 明けましておめでとうございます。 5年目の今年もまた『世界史レッスン」をどうぞよろしく! 毎月2回、第2週目と4週目の火曜日に更新です。

 さて、新春幕開きは、ロシア映画『エルミタージュ幻想』(アレクサンドル・ソクーロフ監督、2002年公開)。サンクト・ペテルブルクのネヴァ川沿いに建つエルミタージュ(世界三大美術館のひとつとして、また世界遺産として有名)が舞台だ。

 屋内総面積4万6千平方メートル、部屋数1050、窓の数2000、階段120という、壮麗なバロック様式のエルミタージュには、300万点ものコレクションがおさめられている。

 もとはといえば1764年、「美と瞑想(めいそう)の場」を求めたエカテリーナ女帝が、ある画商から絵画225点を一括購入したのを皮切りに、専用ギャラリーを充実させていった。エルミタージュ(「隠れ家」の意)と名づけたのも彼女だ。

 エカテリーナは本作にも2度登場する。最初は、小劇場でのリハーサル・シーン。現実に喜劇や史劇を書き残しているので、これは自作上演中だった可能性もある。

 2度目は、老いて人間嫌いになった彼女が、臣下(しんか)の制止をふりきり、雪の積もった「空中庭園」(エルミタージュ2階に作られた細長い庭)を、怒りにまかせて猛スピードでどんどん歩き去るシーンだ。

 実を言えばこの不思議な映画に、ストーリーは無い。美術館をセットに使い(なんという贅沢だろう!)、300年のロマノフ王朝の歴史を、ときどき「現在」もまじえながら、90分間ワンカットで一挙に見せるという、途方も無い実験作なのだ。

 成功しているかどうかは、何とも見極めがたい。観客にとっては、カメラが1300メートル移動したからといって、あるいは撮影が困難だったからといって、それだけで感心する義理はない。

 とはいえ、ロシア史に詳しい人にはさぞや見応えあったのではないか。次から次に出てくる歴史上の人物を瞬時に見分け、彼らのエピソードを知っていれば、ニヤリとしたりドキドキできたに違いないから。

 それはたとえば、同じ手法で数百年にわたる東京を映し出す場合を考えればわかる。大田道灌(どうかん)が江戸城を建てるところから始まって、華やかな大奥での江島生島の恋、慶喜の大政奉還、西郷どんの活躍、第二次世界大戦中の昭和天皇、戦後復興時の吉田茂、今の渋谷を歩く有名歌手……と一気呵成(いっきかせい)に見せられれば、たいていの日本人には面白い。

 でもきっとロシア人には少々退屈だろう。

 この映画も同じだ。せめて教科書で習う人物の名前だけでも、字幕に出してほしかった。そうすれば手がかりが増えたろうに、残念だ。

 ただし絵画に関しては、名だたる傑作ぞろいの美術館だけあり、カメラに映し出されるレンブラント、ヴァン・ダイク、ラファエロ、エル・グレコなどは溜め息ものである。 (中野京子)

movieエルミタージュ幻想 

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 監督: アレクサンドル・ソクーロフ 
 出演: セルゲイ・ドレイデン、マリア・クヅネツォワ他
 公開: 2002年

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監修:中野京子
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『マンガでオペラ』

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2011/01/11 8:05:49 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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