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2011年2月22日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

おおぜい愛妾がいても 1685年

  ~アントワネット生誕70年前~

 イギリスのチャールズ2世が、1685年、尿毒症で急死すると、王冠は弟へまわった。ではチャールズ2世に子はいなかったのかといえば、全くそんなことはなく、14人の愛妾との間に、なんと8男5女ももうけている。庶子に王位継承権がないので、血を繋げられなかったのだ。

 「恋の闇、愛の光」(マイケル・ホフマン監督、1995年公開)は、そのチャールズ2世と彼の愛妾に深く関わった、ひとりの医師(架空の人物)の物語だ。

 映画のオリジナル・タイトルは「王政復古」。というのも、チャールズ2世の父チャールズ1世は、クロムウェルの清教徒革命で首を刎(は)ねられ、イギリスはその後11年間共和制を敷いた後、再び王政にもどったからだ。

 父の処刑、少年期の亡命生活と、チャールズ2世はたいへんな苦労をしてきたわりに、いや、それだからなおのことなのだろうか、玉座につくやいなや遊びまくった。「メリー・モナーク(陽気な王様)」の異名がつくほどに。

 彼の母はフランスのアンリ4世の娘である。周知のごとくアンリ4世は好色王として有名なので、チャールズ2世は祖父似だったのかもしれない。面白いもので、派手な女遊びをする王は人民に愛されること多く、アンリ4世もチャールズ2世も、生前・死後を通じて高い人気を保っている。

 さて本作だがーー主人公の若い医師メリヴェルは、王の飼い犬の命を救ったことから宮廷入りし、たちまち堕落して放蕩三昧(ほうとうざんまい)、自分が医者であったことすら忘れてしまう。道化と成り果てたこのメリヴェルに、チャールズ2世はある頼みごとをする。

 頼みといってもそこは絶対君主によるものだから、命令と同義だ。新しい愛妾が嫉妬深いので、古い愛妾と形だけの結婚をしてほしい、それを隠れ蓑(みの)に彼女との関係を続けたい、と言う。

 田舎に広大な領地と城ももらえるというので、メリヴェルは二つ返事で引き受けた。ところが王の「古い愛妾」にして今後は自分の「形だけの妻」となる、その女性を見た瞬間、メルヴェルは生まれて初めての切ない恋に陥るのだ。

 彼女の心を我が方へ向けようと躍起となったメリヴェルは、王を裏切り、だがすぐ発覚して、全てを剥奪(はくだつ)の上、追放。失意のなか、友人の伝手(つて)で、クエーカー教徒たちの精神病院で働き始める。

 こうしてメリヴェルは、次第に医学への情熱をとりもどし、それとともに、真実の愛にも目覚めてゆく。ペスト蔓延(まんえん)、ロンドン大火という歴史的事件を背景に、彼の名誉復活までの道のりが語られる。

 再びオリジナル・タイトル「Restoration」へもどるが、これは「王政復古」という歴史用語であると同時に、主人公の精神と地位の「復元」をも意味していたことが、最後にわかるという次第。  (中野京子)

movie恋の闇、愛の光 

20110224

 監督: マイケル・ホフマン 
 出演: メグ・ライアン、ロバート・ダウニーJr. 他
 公開: 1995年

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『マンガでオペラ』

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2011/02/22 9:13:46 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第57回の今日は「おおぜい愛妾がいても」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2011/02/post-52a0.html#more チャールズ2世時代が背景の「恋の闇、愛の光」について書きました。  ロバート・ダウニーJr.、メグ・ライアン、ヒュー・グラント、イアン・マッケランなど芸達者がたくさん出ているし、衣装や美術はすばらしいのに、映画としては何ともはや惜しい出来にとどまってしま... 続きを読む

受信: 2011/02/22 9:50:37