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2011年3月15日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

ジャン・バルジャンのモデル 1827年

  ~アントワネット没後34年~

 スピルバーグの『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』は、実在の詐欺師アバグネイルJr.が主人公。1960年代のアメリカで、アバグネイルは弱冠16歳のときからパイロットや医師になりすまし、小切手詐欺などをくり返した。彼の名が有名になったのは、その若さと手口の鮮やかさもさることながら、逮捕、服役(ふくえき)後、FBIに協力したり、セキュリティー会社を設立して成功したからだ。

 同じく、フランス革命をはさんだパリで、犯罪者から警視庁の密偵になった有名人といえば、フランソワ・ヴィドック。彼の死から幕をあける映画が、『ヴィドック』(ピトフ監督、2001年公開)だ。

 ヴィドックは警視庁を退職した1827年、「回想録」を書いている。前半生のみの伝記ながら、まさに悪の万華鏡ともいった凄さで、激動期のフランスが活写される(翻訳も出ているので、お勧め(「ヴィドック回想録」作品社)。

 この伝記はポー、コナン・ドイル、バルザックなどおおぜいの作家にインスピレーションを与えたことでも知られるが、中でもユゴー『レ・ミゼラブル』の主人公ジャン・バルジャンは、ヴィドックがモデルと言われている。

 確かによく似ている。特に、どちらも類稀(たぐいまれ)なる頑健な肉体、微罪での長期服役、脱獄と再逮捕のくり返し、出所して工場を経営、社会への貢献……。

 ヴィドックの場合、最初の文書詐欺は無事の罪だったとも言われ、脱獄は6回に及ぶ。警視庁で働いた後は、製紙工場をおこして保釈者を雇い、彼らの更正に手を貸している。

 だが人生は長い。ヴィドックの工場は経済状況の悪化のため数年で倒産、今度は興信所を設立する。彼が世界初の私立探偵とされる所以(ゆえん)だ。

 探偵業は繁盛したらしいが、第二共和制のもと、彼は再び警視庁に招かれる。ところが推薦者だった外務大臣の急な辞任とともに、わずか半年後、ヴィドックも辞職。そして何と、その後の20年間、どこで何をしていたのか、全く不明なのだ。

 死亡記録だけはある。それによれば82歳で貧窮のうちに死んだというのだが、死亡場所が記されていないため、ほんとうかどうかもよくわからない。もしかすると、辞職するとみせかけて、スパイ活動を行なっていたのかもしれない。その過程で、人知れず斃(たお)れた可能性もなきにしもあらず。

 さて、ようやく映画へもどると、ここではヴィドックがずっと探偵業を続けていたとの解釈がとられている。秘密の依頼を受け、謎の人物を追って殺されたが、しかし……という展開。

 正直、ストーリーはめちゃくちゃ(トホホ)。ヴィドックが主人公である必然性もあまり無い。ただし映像はきわめて人工的絵画的で美しく、一見の価値あり。 (中野京子)

movieヴィドック 

20110315

 監督: ピトフ 
 出演: ジェラール・ドパルデュー、ギヨーム・カネ他
 公開: 2001年

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書名:マンガでオペラ
監修:中野京子
出版社:ヤマハミュージックメディア(各A5判 120~128ページ)
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価格:945円(税込)

『マンガでオペラ』

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2011/03/15 8:28:40 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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