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2011年8月23日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

短銃入り聖書 1844年

  ~アントワネット没後51年~

 19世紀フランス小説の巨星アレクサンドル・デュマ・ペール(=大デュマ)は、劇作を含めて生涯に800巻もの作品を発表した。他人との共作も多かったことから「製作工場デュマ会社」と揶揄(やゆ)されたが、歯牙(しが)にもかけなかった。「モンテ・クリスト伯」「ダルタニヤン物語」「王妃マルゴ」など当時の大ベストセラーが、現代に至るも世界中で愛読され、くり返し映画化されているのだから凄い。

 「三銃士」は1844年に、新聞小説として発表された。若いダルタニヤンと、彼を助ける三人の銃士アトス、ポルトス、アラミスの冒険活劇。これまた映画化作品は数多い。今回とりあげるのはディズニー製作「三銃士」(スティーヴン・ヘレク監督、1993年公開)

 健全志向のディズニー映画ゆえか、全体にあっさりコンソメ味。アトスの悲劇的な恋の結末が、○曜サスペンス劇場の定番ラストシーンと同じ、断崖絶壁でくりひろげられたのには驚いた。

 原作は歴史小説なので、舞台は執筆時から遡(さかのぼ)ること200年、17世紀半ばのルイ十三世の御世だ。ヴェルサイユ宮殿はないし、ブルボン王家もまだ必ずしも磐石(ばんじゃく)とは言えない。

 陰謀渦巻くその宮廷へ、スペイン・ハプスブルク家からアンヌ・ドートリッシュが嫁いでくる。ところがこの美貌の王妃に対し、なぜか冷たいルイ十三世…。

 映画はここからが史実とも原作とも大きく違う。王が彼女によそよそしかったのは、単に恥ずかしかった(!)からで、本当はお互いに一目惚れだったというのだ。当然、アンヌに恋したイギリス宰相バッキンガム公は影も形もない。

 おまけに悪役リシュリュー枢機卿は露骨に王座を狙い、アンヌに結婚を迫って退治される(?)という、無茶苦茶な展開(ほんとなら歴史は激変したであろう)。突っ込みどころ満載なので、原作を知っている人限定でお勧めだ。

 ちょっと面白い小道具が登場していた。信心深いアトスが携帯していた「短銃入り聖書」。分厚い聖書の内部がくりぬかれ、短銃が嵌めこんであり、祈祷(きとう)の最中に襲われても即座に反撃できる特注品だ。

 実際にこんなものがあったのかと思われようが、あったのだ。同じ17世紀の、ただしフランスではなくイタリアでだが、本物をみたい人は、ぜひ9月から東京で開催の「世界遺産 ヴェネツィア展」(順次、名古屋、仙台、広島、京都などを巡回)へ足を運んでほしい。ヴェネツィア総督モロジーニが所有していた、迫力の「短銃入り祈祷書」が出品されている。

 「三銃士」へ話をもどそう。主人公のダルタニヤンは実在の人物。スペイン国境に近いガスコーニュ出身だったので、パリへ出てきた時はさぞかしお国訛りをからかわれたはずだ。しかし順調に出世し長生きして、ルイ十四世時代には銃士隊の隊長になっている。 (中野京子)

movie 三銃士

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 監督: スティーヴン・ヘレク
 出演: チャーリー・シーン キーファー・サザーランド、他
 公開: 1993年

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bell中野京子さんの著書

書名:印象派で「近代」を読む
出版社:NHK出版(216ページ)
発売日:2011年6月8日
価格:1050円(税込)
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2011/08/23 8:48:26 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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