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2012年1月10日 (火)

世界史レッスン<映画篇>

ワルツとポルカ 1801年

  ~アントワネット没後8年~

 明けましておめでとうございます。今年も「ベルばらkidsぷらざ」をどうぞよろしく。「世界史レッスン<映画篇>」は、前の「世界史レッスン」から数えてもう200回を超えました。早いですね~

 今回は、モームが<世界十大小説>に選んだエミリー・ブロンテの「嵐が丘」。なんと、日本版を含め5度も映画化されている。中でも高評価は、アカデミー撮影賞を受賞したアメリカ版「嵐が丘」(ウィリアム・ワイラー監督、1939年製作)だ。

 三代にわたる激越な愛憎劇は映像化がむずかしいのか、本作は小説の前半部のみで完結させてしまい、おかげでロマンティックで甘い恋物語に変じた。また、嵐が丘に吹きつける烈風のごとき主人公の魂は、常人にも理解しやすいものとなる。原作に魅了された読者には物足りないかもしれない。

 「ヒースの咲く崖」という名の主人公ヒースクリフは、その暗い情念も愛の妄執も、とうてい余人には計り知れないスケールだからこそ、関わる人々を破滅させずにおかない。復讐の徹底性も酷(むご)いの一言で、本来、読み手の共感を呼ぶ人間ではないのだ。

 そんな彼が愛したキャサリンもまた、「ヒースクリフはわたし自身なの」と言うほどの個性の主だった。片方が死んでなお、生者と死者は互いを求め合い、思いを遂げる。

 ところでブロンテがこれを書き上げたのは19世紀半ばだが、物語の舞台自体は、意外や、アントワネットに近い。つまりーー召使が旅人に、ヒースリフとキャサリンの尋常(じんじょう)ならざる恋物語を語るのが1801年なので、ふたりが少年少女だったのはちょうどフランス革命あたりということになるのだ。

 映画にもどるが、そのことがよくわかるシーンがあった。家を出奔(しゅっぽん)した後に南米で一旗あげ、富裕な紳士となってもどったヒースクリフが、キャサリンの邸宅での舞踏会へ出ると、大人気のワルツを皆が踊っている。

 キャサリンはヒースクリフをダンスに誘う。彼がためらうと、「ワルツは下品だから?」と、からかい、「じゃあポルカなら気取っているからいいでしょう?」。

 実際、ワルツは農民の踊りと軽蔑されてきた長い歴史を持つ。男女が身体を寄せ合い、激しいテンポで踊るため、禁止令が出されたことさえあった。しかしその軽快なステップは次第に上流階級へも浸透(しんとう)し、ついには貴族にまで愛される。

 ワルツ公式認知として知られるのは、誕生から500年近くたった、1814年のウィーン会議。いわゆる「会議は踊る」は、ウィンナー・ワルツのこと。「ワルツは優雅」の価値転換はここに始まったのだ。 (中野京子)

movie 嵐が丘

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 監督: ウィリアム・ワイラー
 出演:  ローレンス・オリヴィエ
 公開: 1939年

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bell『世界史レッスン』の第二弾発売!

 単行本「危険な世界史 運命の女篇」「危険な世界史 血族結婚篇」が角川書店から発売されました。
 「危険な世界史 運命の女篇」「世界史レッスン」「世界史レッスン<映画篇>」から90話を収録しています。

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書名:危険な世界史 運命の女篇
著者:中野京子
出版社:角川書店(207ページ)
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書名:危険な世界史 血族結婚篇
著者:中野京子
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bell中野京子さんの著書

書名:印象派で「近代」を読む
出版社:NHK出版(216ページ)
発売日:2011年6月8日
価格:1050円(税込)
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お便り募集このコラムをお読みになった皆さんの感想や質問をお待ちしています。 ⇒こちらの「ベルばらKids専用フォーム」からどうぞ。

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2012/01/10 8:36:03 世界史レッスン<映画篇> | | トラックバック (1)

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