1680年代以降、宮廷はヴェルサイユで営むものという定型がかなりできあがってきたために、そこに訪問してくる貴族や官僚といったような人々を収容する必要がでてきました。
そこで新たに増設されたのが、閣僚の翼棟を2棟、南の翼棟、北の翼棟。
さらには、ヴェルサイユに来るために使用する、馬車や馬なども収容できるように、大厩舎と小厩舎も建設されました。
楽園といえども、エチケットは大事。
というか、このべルサイユの楽園では、人々はエチケットのために存在しているのではないかというくらいに、エチケット三昧の日々を過ごしていました。
それがどれほどのものだったかというと、例えばルイ14世の愛妾、マントノン夫人はこのようにもらしています。
これは、ヴェルサイユの楽園の人々の間で広まった、ある種の恐怖感。
『百科全書』を書いているモンマルテルという人は、この「退屈」をさして「満足病」と名づけました。
何故なら、この病におかされるのは、一日一日の生活に追われる庶民ではなく、とても満たされた特権階級の人だちだけだったからです。
嫉妬とは人間にとって不毛なもので、恥ずべき感情である。
嫉妬する人間は心が狭い。器が小さい。
愛を育むということにとって、こういった醜い感情は全く邪魔なものである。
すべての人がそうではないかもしれないけれど、現代に生きる私たちには、心のどこかでこのような感覚が息づいているのを感じることがあるのではないでしょうか。
何もかもが官能的になってしまう楽園の都では、恋愛は第一の関心ごとと言っても過言ではないでしょう。
むしろ恋愛を知らない者は男であろうと女であろうと、一人前とはみなされません。
それでは、そのような楽園で恋愛をするには一体、何に気をつければよいのでしょうか。
これは楽園の都での恋愛作法です。
ショッピングや社交訪問を一通り終えると、お日さまの光はやわらいできます。
このような心地の良い時間帯は、ぜひそぞろ歩きでもしたいもの。
貴婦人たちは、チュイルリー公園などで、芝居やオペラが始まる6時頃まで時間を潰します。
チュイルリー公園は入場無料。
けれどもそこには門番がいて、服装がだらしない方や従僕などの制服姿の方にはお引取り願うことになっています。
この公園は野外サロンといったような雰囲気が漂っていて、けれどもあまり気取りすぎているわけでもなく、ここでは見知らぬ人同士でも、とても身分の高い御婦人であっても、気軽におしゃべりを楽しんだのだといいます。
何かと忙しい朝のお化粧を終えると、集まっていた訪問客たちもすっかり退散。
貴婦人たちは楽器のお稽古を始めます。
先生をお招きしてレッスンなどをするのですが、当時貴婦人方に人気のあった楽器は、ハープ。
そういえばマリー・アントワネットの得意な楽器もまた、ハープでした。
アントワネットはさすが、流行を取り入れていたわけですね。
貴婦人の朝は、11時頃に始まります。
何でも、当時の人々の感覚としては、11時以前は「まだ夜が明けていない」のだとか。
貴婦人は、可愛がっているペットの子犬がじゃれついてきて、やっと目が覚めるのだそうです。
もし自分の運命が生まれたときからすでに決まっていたとしたら、人はどうなるのでしょう。
すでに自分のいる立ち位置が決まっていて、自分の限界も初めからわかっているのなら、それはもういくら努力をして高みに上ろうと思っても、まったく無駄なこと。
何故なら、どんなに頑張ってももう、すでに定められた枠線を超えることは決して有り得ないことなのだから。
一体、アダムとイブ以来、人類が楽園のなかに生きたことはあったのでしょうか。
「楽園」ということに関して、タレーランという、フランス革命の頃に政治家や外交官として活躍した有名な人はこう言っています。
「楽園は失われた。1789年より前の時代を知らない人は、この世に生きた甲斐がない」
… (09/06/18) みなさま初めまして。
コラム『楽園の生活案内』を連載させていただくことになりました、mashironと申します。
言うまでもなく『ベルサイユのばら』はとっても素晴らしいお話ですが、そのあまりもの魅力ゆえに、「ああ、私もこんな世界に行けたらいいのに!」なんて、つい思ったことはありませんか?


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