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2006年8月22日 (火)

榊原和子のSUMIREジャーナル

御巣鷹行(その1)

 今年もまた、8月12日に御巣鷹山に登ってきた。

 10日に「由美子へ」という取材に関わった本を上梓。1985年の日航機墜落事故で亡くなった、北原遥子さんこと吉田由美子さんの命日に、ご両親と一緒に、報告をかねての慰霊登山である。

 前日の11日に群馬県にある上野村入り。JRで大宮ー熊谷、そこから秩父鉄道に乗り御花畑まで、そこからシャトルバスというルートで、12時すぎに出発して着いたのは16時すぎ。隣の県なのに本当に遠いなーとしみじみ思う。

 ご両親は横浜から車で、途中で同乗者を拾ったりして、約6時間近くかけて到着。それを思えば、遠いなんて言えないのだけれど。

 前日に上野村入りするわけは、12日の6時起床という慰霊登山スタンバイのためもあるけれど、11日夕方から行われる灯籠流しのセレモニーに参加する目的もある。灯籠流しは、命日の前夜に、上野村を流れる神流川の河原で行われるのだ。

 夕方6時、遺族や村の世話役のかたたち、報道陣など、数百人が河原に集まった。そこには、村の子供たちが作ってくれた色とりどりの520の灯籠が並べられていて、夕闇が迫るとともに、次々に灯がともされていく。その1つを私も持たせていただいた。そして川のほとりに行き、520人の御霊に「安らかに眠ってください」と、由美ちゃんには、「本が出ましたよ」と報告しながら、暮れかけた川面にそっと浮かべる。川の流れは冷たく早い。その流れに乗って、灯籠はゆらゆらと、それぞれが1つ1つの命のように闇を照らしながら、静かに遠ざかっていった。

 明けて8月12日の朝。

 幸い雨の気配はない。朝7時に宿を出発して、登山口まで30分ほど車で登っていく。登山口から墓標までは歩いて約1時間、この登りがかなりキツイ。急坂も多く、石ころの上に乗ると足をとられそうになる。とはいっても、21年前の遭難時にくらべれば、今は考えられないほど整備された道になったとご両親は言う。あの直後、1年も経たないときに、片道5時間、往復で10時間という考えられない道のりを、それでも現場を確かめたくて登っていったという話を、淡々と話してくれる。そのときのおふたりの胸中を思うと、胸が痛くなる。

 今回の山行きは、かつてないほどの絶好の気候だった。曇り空に涼しい山風が吹き渡り、たまに陽も射すけれど暑いというほどではない。だが、私たちが下山したあとに天気が急変、その頃たまたま登っていた人たちは、激しい雹や雷におそわれたという。午前中に登った人たちだけが、奇跡のような好天に巡り合わせた。山の天気はこれだからあなどれないのだ。(榊原和子)

(⇒「御巣鷹行(その2)」へ続きます。)

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/08/22 11:16:37 榊原和子のSUMIREジャーナル | | トラックバック (0)

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