感激!観劇記
「ボーイ・フロム・オズ」待望の再演
坂本昌行主演、紫吹淳、鳳蘭らが脇を固めるミュージカル「ボーイ・フロム・オズ」の公開舞台稽古が開幕前日の10月27日、青山劇場で行われました。本作は03~04年のブロードウェイで大ヒット、昨年6月に上演された日本語翻訳版が高い評価を得て、今年、さっそくの再演となったものです。
「あなたしか見えない」「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」などの大ヒット曲を生み出し、70年代後半から80年代の全米ミュージックシーンで活躍したシンガー・ソング・ライター、ピーター・アレンの生涯をつづる本作品には、彼を見出したジュディ・ガーランドや、ジュディの娘で、彼と結婚(後に離婚)するライザ・ミネリなどハリウッドの大物スターが登場。全編、歌と踊りにあふれ、まさにミュージカルの醍醐味を満喫させてくれる作品です。しかしその内容は見かけ以上に深く、母と息子、母と娘、男と女、男と男、父と息子など、人間同士のあらゆる愛情を描き出すことに成功していて、観終わった後、深い感動にとらわれます。
何といっても主演の坂本昌行が名演。公開舞台稽古の「観客」は、マスコミやメディアといった“仕事”で来ている人が大半で、ノリが悪いのは(申し訳ないけど)ある意味当然、といったことも気にせずに、客席を盛り上げまくる!とうとう“仕事中”のカメラマンを舞台に引っぱり上げて一緒に踊ってしまい、その瞬間から客席はすっかり普通のお客さんのようになりました。アンコールの拍手が鳴り止まなかったという事実が、坂本昌行をはじめとするキャスト・スタッフのパワーを物語っていると思います。
二人の元宝塚トップスター、鳳蘭と紫吹淳の存在感にも心を奪われました。晩年のジュディ・ガーランドを演じた鳳蘭はさすがの貫禄。その娘、ライザ・ミネリ役の紫吹淳は、ピーターと恋に落ちる18歳の娘から、押しも押されぬスターとなっている40代までを演じ分けます。すでに大スターの地位を確立している母ジュディと、これからショウビズ界に羽ばたこうとしている娘ライザが、現実の2人のキャリアと重なるようにも感じられる1幕目5場は、宝塚ファンなら注目してもいいかも。
ほか、ピーターの母親(今陽子)や、父親とプロデューサーの二役を演じた団時朗、そして二幕目の重要キャラのグレッグ(IZAM)など、どの登場人物もおろそかにされることなく掘り下げられ、観る者に強い印象を残します。
アイドル出演、豪華キャスト、ヒットソング満載といったキャッチーな外見を持ちつつ、物語は奥深い、そんな大満足の作品でした。(オノ)
鳳蘭さん(左)と紫吹淳さん=公開舞台稽古後、取材陣に囲まれて
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/10/28 21:04:00 感激!観劇記 | Permalink | トラックバック (0)