榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
名曲ぞろいの第二部 植田紳爾演出家50周年記念スペシャル『夢のメモランダム』
宝塚大劇場 (11月27日)
植田紳爾演出家50周年記念スペシャル
『夢のメモランダム』─植田紳爾・魂(こころ)の軌跡─
(「和で祝う第一部 植田紳爾演出家50周年記念『夢のメモランダム』」から続く)
★第二部
和物で見せたのが第一部なら、第二部は、寺田瀧雄の名曲がふんだん散りばめられた洋物ショー。幕開きと同時に大階段いっぱいに勢揃いした黒エンビの男役たちに、客席から感嘆のため息があがる。「愛のフェニックス」「君はマグノリアの花の如く」などの『風と共に去りぬ』メドレーにのせて羽山紀代美の新しい振付を踊る100名。中心となるのはもちろん安蘭・瀬奈・貴城。最後のボレロ「さよならは夕映えの中で」まで、一糸乱れぬ気合いで一気に踊りきるさまは、まさに壮観という言葉にふさわしい場面だった。
その熱気も消えやらぬなか、OGの麻路さきが銀橋に登場して、『国境のない地図』から「風になりたい」を熱唱。続いて麻実れいが『去りゆきし君がために』から同名の主題歌を切々と歌いあげる。鳳蘭は『我が愛は山の彼方に』と『百夜わが愛』を、豊かな声量と迫力で聞かせる。それぞれの男役時代をほうふつとさせるオーラに、客席は水をうったように静まりかえる。
最後は初風諄が登場、自身のサヨナラ公演に植田・寺田コンビから贈られたという「遠い彼方に」をしみじみと歌って場を締めた。そんな貫禄のOGたちも、トークになると鳳蘭を中心にすっかりリラックスモード。植田作品と各自の思い出を披露するうち、鳳蘭の「植田先生はモテた」発言も飛び出すなど、笑いの渦のなかでコーナーを終了した。
二部のメインテーマの1つである『風と共に去りぬ』のラストを飾る2曲のうちの1つは「セントルイス・ブルース」。帽子を使ったお馴染みのダンスを、大和悠河を中心に大空祐飛・遼河はるひ・立樹遥・涼紫央・柚希礼音・蘭寿とむ・悠未ひろ・北翔海莉の精鋭9名が鮮やかに踊る。
そしてもう1曲はデュエットの名作「ナイト・アンド・デイ」。瀬奈と彩乃、安蘭と遠野、貴城と紫城、主演コンビが衣裳も赤、紫、緑と鮮やかに、本舞台から銀橋まで使ってリズミカルにカッコよく踊りきる。まさに豪華競演という言葉がふさわしい3組のダンスだった。
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続いて「植田紳爾作品集A」のコーナー。次々に懐かしい曲が続くメドレー集は、演目と歌い手だけでも簡単に紹介していこう。
- 『南蛮屏風』…霧矢大夢。
- 『おーい春風さん』…桐生園加・星条海斗・龍真咲・綺華れい・麻尋しゅん・早霧せいな、娘役コーラスは美夢ひまり・羽咲まな・花愛瑞穂・音花ゆり・和音美桜・葉室ちあ理。
- 『紅梅白梅』…柚希礼音と前場面の男役ダンサー桐生ら6人。
- 『花は散る散る』…涼紫央と娘役ダンサー美鳳あや・涼城まりな・紫水梗華・華美ゆうか・音乃いづみ・咲花杏。
- 『花かげろう』…遼河はるひと娘役ダンサー美鳳ら6人。
- 『若獅子よ立髪を振れ』…青樹泉・十輝いりす・七帆ひかる。
- 『春風の招待』…悠未ひろ・北翔海莉に娘役ダンサー城咲あい・琴まりえ・南海まり・陽月華・美羽あさひ・花影アリス。
- 『オルフェウスの窓』は、蘭寿とむと男役ダンサー桐生ら6人と娘役ダンサー美鳳ら6人。
- 『翔んでアラビアンナイト』の「愛のかけら」は立樹遥と桐生ら6人。
- 『愛あれば命は永遠に』は歌手・大空祐飛にダンサー城咲・陽月。
- 『愛のカレードスコープ』は大空・立樹・蘭寿。続けて3人は『レビュー交響楽』の「愛のシンフォニー」を歌い、コーラス遼河・涼・柚希・悠未・北翔が参加。そのメンバーで『パリ、それは悲しみのソナタ』から「悲しみのソナタ」を歌いあげる。そのあとに銀橋に現れた大和悠河は、『戦争と平和』から同名の主題歌を登場した娘役全員とともに歌う。
トリをつとめるのは霧矢大夢で、『ザッツ・レビュー』より「レビュー・明日への希望」を、コーナーの出演者全員とともに力強く歌いあげ、最後は『いま、すみれ花咲く』の大合唱で幕を降ろした。
イベントもいよいよ大詰めを迎え、コーナー名は「植田紳爾作品集B」。
大階段に白の変わりエンビで登場した瀬奈じゅんが、『紫禁城の落日』から「大いなる落日」をドラマティックに歌えば、安蘭けいは『この恋は雲の涯まで』を叙情性豊かにしみじみと歌い上げる。貴城けいは『彷徨のレクイエム』を甘く切なく聞かせて、それぞれ主演男役ならではの充実したステージを披露。
そして最後に黒の衣裳も厳かに轟悠が登場、『メナムに赤い花が散る』から「もののふの詩」をろうろうと歌いきって、みごとにトリの役目を果たしてみせた。
フィナーレは、出演者一同による元気な『TAKARASUKA・オーレ』。158名が大劇場の舞台いっぱいに広がる。その輪の中にOGも加わって、締めくくりはやはり『ベルサイユのばら』。初風諄が「青きドナウの岸辺~」をソロで歌うのに続いて、全員が「愛あればこそ」を大合唱。盛大なイベントは「愛」の歌声も高らかにその幕を閉じた。
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作・演出家、植田紳爾は、いつも尊敬するC・チャップリンの言葉を引いて「代表作はNEXT ONE」と答えるという。その言葉通り、これまでの豊かな作品群を超える新しい名作・傑作の誕生を心から待ちたい。(文・榊原和子/写真・平田ともみ)
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/11/30 10:46:00 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (2)
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『宝塚プレシャス』さま、第二部も写真つきで掲載してくださいました♪ しかも、バト 続きを読む
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朝。とある掲示板に、 今日、瞳子さんの瞳が耀いていたんです。いつもなんだけど、今 続きを読む
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