榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
潔く清々しく。『湖月わたるサヨナラショー』

次の曲は『タカラヅカ絢爛』から「カリビアン・ナイト」、金のラテンで華やかに登場して客席まで降りる湖月に、観客も呼応していてスタンディング、一気に一体化して盛り上がるところは、元気のいい星組ならではの光景だ。

いったん湖月が引っ込むと、白羽ゆりが『花舞う長安』から「花に誓う」をしっとりと歌いあげる。その声に応えるかのように下手舞台に登場した湖月わたるは、白エンビの優雅な姿。歌う「アン・ドウ・トロア」は『ベルサイユのばら』のフェルゼンの心の悩みを歌ったもので、湖月のために作られた曲だった。その流れのまま『ロマンチカ宝塚’04』の「アリベデルチ・ローマ」が始まり、湖月と白羽のデュエットや、退団する青空弥ひろ、涼麻とも、真白ふあり、湖咲ひよりのダンスが繰り広げられる。美しい歌声を聞かせてくれるのは、しのぶ紫と高央りお。湖月は白羽を軽々とリフト、そのダイナミックな姿もこれが見納めかと思うと、本当に寂しい。再び湖月たちが引っ込んだあとには、下手花道から大真みらんが現れ『1914/ 愛』の「L'AMOUR/1914」をソロで聞かせてくれる。

やがてお待ちかね『王家に捧ぐ歌』の湖月ラダメスが下手に登場。エジプトの英雄に選ばれる期待を歌う「エジプトは領地を広げている」を堂々と歌い終わると、下手花道にはアイーダの安蘭けいが佇んでいる。悲劇の恋人同士を演じた2人は、銀橋の中心で寄り添い、「月の満ちる頃」をしみじみと切なく歌いあげた。

舞台が暗転すると、一転して賑やかな『ソウル・オブ・シバ!!』の世界に。同名の主題歌を立樹遥、涼紫央、柚希礼音が歌って盛り上げる。そして、圧巻は韓国公演での「出会い(すみれのボレロ)」。黒エンビ姿もりりしい湖月わたるを中心に、星組男役のボレロが、まさに一糸乱れぬといった気合いで繰り広げられ、その迫力に満員の客席から盛大な拍手が送られた。

いよいよショーもフィナーレ。大階段を黒エンビ姿で降りながら『王家に捧ぐ歌』から「世界に求む」を歌う湖月。その歌声に客席から色とりどりのペンライトが揺れて呼応する。そして星組の仲間たちが静かに舞台に登場するなか、銀橋を渡っていく湖月。平和な世界を希求し、愛に身を捧げた英雄ラダメスの心は、宝塚を愛し、男役という美学を全うして去っていく湖月自身の心なのだろうか。その姿が潔く清々しいだけに、よけいに悲しみが胸に迫ってくるラストソングだった。
そして別れの時がやってきた。10人の退団者は、緑の袴姿で、大階段を1人ずつ降りて挨拶をする。その1人1人の言葉は、それぞれ現在の気持ち、そして宝塚への思いを自分らしい言葉で語っていて、どの一言も重みがある。年数や立場に関わりなく、自分が生きてきた場所と仲間たちに別れを告げるには、大きな決断があったにちがいない。そしてその一歩を踏み出した勇気は、1人1人の顔を美しいものに変えている。
湖月わたるも、本当に美しい顔をして降りてきた。同期生からの花を持って現れたのは元専科の伊織直加。星組の仲間に見守られながら最後の挨拶が始まる。
「大好きなこの舞台と、仲間たち、そして男役ともいよいよお別れする時が来ました。この退団公演は、思っていた以上に寂しく、思っていた以上の幸せを与えてくれました。かわいい相手役に恵まれ、星組のみんなとともに本当に素晴らしい時間を過ごしてこられたことを感謝しています。
白羽は星組で得た宝物を胸に、雪組で新たにがんばってくれると思います。そして愛する星組は安蘭けいを中心にますます輝いていってくれることを信じています。いつも応援し、温かい拍手で包んでくれたファンの皆さま、そして全ての皆さまに、心から、ありがとうございました」
全員で「フォーエバー! タカラヅカ」を歌うなか、幕は下りた。6回のカーテンコール、それでもおさまらない観客のコールはさらに2回続き、それに応える湖月わたるの嬉しそうな笑顔がいつまでも心に残る幕切れだった。 (文・榊原和子/写真提供・宝塚歌劇団)
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■湖月わたるのラストディ 退団会見&パレード
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/11/15 11:33:58 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (2)
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