榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
未来を信じて大劇場に“別れ”『貴城けいサヨナラショー』
宙組宝塚大劇場公演 千秋楽(12月12日)
『貴城けいサヨナラショー』
12月12日、『維新回天・竜馬伝!』と『ザ・クラシック』の千秋楽。熱気あふれる公演が終了したのち、退団する貴城けいのサヨナラショーが幕を開けた。
「ケイ・タカシロ、ファイナルステージへようこそ」という貴羽右京のアナウンスとともに幕が上がると、ブルーのエンビの宙組男役たちが本舞台に立っている。そして主役である貴城けいは銀橋の真ん中に。歓声とともに手拍子が起こる。曲はノリのいい「DancingFool」、博多座の「コパカバーナ」のナンバーである。そのまま本舞台に戻って、寿つかさ以下12人とのかっこいいダンスを見せてくれる。
その後『コパカバーナ』から同名の主題曲「コパカバーナ」を歌い、いったん貴城は退場。舞台に残っている大和悠河と5人の男役たち、蘭寿とむ、悠未ひろ、北翔海莉、十輝いりす、七帆ひかるが、そのまま銀橋まで歌い踊って、賑やかなオープニングだ。

その後、一転して舞台はアラビアン・ムード。『ワンダーランド』の「アラビアン・ハーレム」に。ブルーのシースルーの8人の娘役の中央に赤の衣裳の咲花杏がいる。その輪の中に白い衣裳の紫城るいが加わり、さらに白いアラブの王子の貴城けいが現れ、優雅に妖しく、娘役たちと踊り、最後は貴城と紫城のデュエットで締める。
ふたたび貴城が退場すると、紫城るいのソロで『ネオ・ヴォヤージュ』を。その紫城を同期男役の天羽珠紀、悠未ひろ、夏大海、珠洲春希が囲んで歌う。楽しい雰囲気のなかにも、どこか寂しさのある同期生交歓のシーンだ。

3度目は赤に衣裳替えした登場の貴城けいが、舞台奥から登場。『Joyful!!』の「She Bangs」を大勢のダンサーと踊る。娘役は赤いドレスで、男役は黒エンビに頭をターバン風の黒布で覆っている。
そのまま、曲は、雪組時代のヒット作や思い出の作品からのメドレー集になる。
『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』からの「FinaleA」は、退団する貴羽右京、天翔ゆうり、純あいら、白峰さゆりのカップルがバックをつとめる。続いてしっとりと『睡れる月』の「中納言と式部卿宮」を歌いあげ、『アンナ・カレーニナ』の「愛の煉獄」では、カレーニンの複雑な心中をドラマティックに表現する。そのまま銀橋で『アメリカン・パイ』から「リフレイン」、『DAYTIME HUSTLER』から「鈍色の海」をしみじみと聞かせる。そしてメドレーの最後はやはりこれ、『ささら笹舟』の「歴史のはざま」。「風にさらされ時をただよいお前はどこへゆく」という歌詞が、胸に迫る。
バックが大階段に変わると、貴城と入れかわるように紫城るいが登場。白のドレス姿の彼女を囲むのは、美羽あさひ、音乃いづみ、和音美桜の3人の娘役たち。歌うのは『コパカバーナ』から「今着いたわ」。途中からさらに8人の娘役も加わり、賑やかな舞台を見せてくれる。

そしてついに大詰め。金の飾り入り黒エンビの貴城が大階段に立っている。寿つかさの執事の台詞で始まるのは、新人公演で演じた『仮面のロマネスク』のラストシーンだ。革命の足音が近づくなかで踊り続ける恋人たちが歌う名曲「男と女」を、紫城るいとともに演じ歌う貴城。本舞台ではそのまま抱き合い、再び踊り、せり上がりもあるという、まさにドラマの1場面を堪能させてくれた。
流れは一転して、リサイタル「時を越えて」から『I have a dream』に。全員がさまざまなフォーメーションで貴城と踊り、盛り上がる。途中から紫城るいも参加し、2人を囲んで楽しげな笑顔で踊る宙組生たちの姿が印象的だ。

(↑クリックすると大きい画像を表示します)
最後の曲は「奇跡」。貴城がいつもディナーショーで歌うこの曲が始まると、客席ではペンライトが灯され、揺れる。紫城るいをしっかり抱きしめたあと銀橋へ歩む貴城。「たった一度の人生にあなたと巡り会えた奇跡」という歌詞は、ファンへの感謝の思いか? 宙組の全員が見守るなか、大階段を中央まで上がって振り向く貴城けい。その姿を静かに降りる幕が、包み込むように消していった。
★ ★ ★
いったん降りた幕が再びあがると、いよいよ退団者の挨拶が始まる。今回は6人。白峰さゆり、純あいら、天翔ゆうり、貴羽右京、それぞれ自分なりの思いのたけを伝える言葉は力強く、胸を打たれる。
続いて、主演コンビの2人のうち、紫城るいがまず登場する。
「宝塚大劇場、この舞台に立ちたいと憧れ、夢を持っていた舞台とお別れする日がやってきました。退団を発表してから、当たり前の毎日が当たり前でないことに寂しい気持ちを抱くこともありました。
でもどんなときも私は1人ではありませんでした。こんな私でも愛し、見守り、応援してくださる皆さまがいて、そのことが一番の心の支えでした。
紫城るいを育ててくださいました諸先生方、舞台の上で少しでも輝くようにお力を尽くしてくださいましたスタッフの皆さま。オーケストラの皆さま、大好きな宙組のみんな、大切な同期、そして温かい愛で私を包んでくださいました貴城さん、そして誰よりも誰よりも、私を応援し続けてくださいましたファンの皆さまに、感謝の気持を込めて、ありがとうございました」

退団者のラストはこの人。「カシゲ」と組長に呼ばれて「はい」と貴城けいが大きく答え、大階段を降りてくる。緑の袴に黒紋付きという正装。組からの花を渡すのは寿つかさ、同期からの花は彩苑ゆき。貴城は胡蝶蘭の豪華な花束を胸に、しっかりと話しはじめる。
「可能性が限りなくゼロに近づいても、諦めなければ決してゼロにはならない。
私の大好きな詩です。宝塚に入団してから今日まで、ここ数年はとくに全力で走り続けてまいりました。そして宝塚を卒業することを決めました。
もしかしたら別の選択があったかもしれません。けれどこれからの自分の未来を信じて夢を持って生きよう。私をこんなに強くたくましく、また沢山の勇気をくださったのは、いままで私を支えてくださった全てのかたがたのおかげです。ファンの皆さまは私の良いところも悪いところも全てを受けとめ、一緒に歩いてくださいました。皆さまからの愛は私の一生の宝物です。
宝塚大劇場は本日でお別れです。しかし、東京公演もこの宙組のみんなと一緒に、全力でがんばっていきたいと思います。心から感謝を込めてありがとうございました」
別れの曲は「蛍の光」。貴城のリクエストだというが、卒業には確かにふさわしい。カーテンコールは全部で5回、最後には「宙組、最高!」と笑顔の貴城けいが叫んで、客席のスタンディングのなか、幕を閉じた。(文・榊原和子/写真・平田ともみ)
《関連記事》
■出会えた奇跡を忘れない 貴城けい 宝塚大劇場千秋楽・記者会見(12/13)
■貴城・紫城のコンビが胸に迫る!宙組『維新回天・竜馬伝!/ザ・クラシック』 (11/6)
※記事中、誤りがありました。お詫びして訂正いたします(12/22)
・組からの花を渡すのは大和悠河
⇒組からの花を渡すのは寿つかさ
・紫城るいのソロで『ネオ・ヴォヤージュ』を。その紫城を同期男役の天羽珠紀、夏大海、珠洲春希が囲んで歌う。
⇒紫城るいのソロで『ネオ・ヴォヤージュ』を。その紫城を同期男役の天羽珠紀、夏大海、珠洲春希、悠未ひろが囲んで歌う。
・美郷真也のアナウンス
⇒貴羽右京のアナウンス
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2006/12/15 11:16:17 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)
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