現役&OGタカラジェンヌの情報、舞台評、動画つきインタビューなど宝塚歌劇関連の話題をお届け。 ⇒詳しく
オスカルやアンドレが3頭身に!ブログ「ベルばらKidsぷらざ」では、Kids最新情報のほか、読んで楽しい連載が満載です。会員サイトでは「ベルばら」の魅力を宝塚歴代スターに聞く動画つきインタビューも!

« <中級>「武士の一分」檀れいの活躍に思う | トップページ | グッドラック、ハリウッド(長塚京三、久世星佳、筒井道隆) »

2007年1月30日 (火)

榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー

圧巻の『小林一三没後50年追悼スペシャルイベント』

小林一三没後50年追悼スペシャル
『清く正しく美しく』─この教え護り続けて─

 1月25日は、宝塚歌劇団の創立者、小林一三氏(逸翁)の命日。その思い出を語るイベントとして昨年まで『逸翁デー』タカラヅカホームカミングの名称で、催されてきた。そのイベントの50回を記念して、また最後の催しとして、今回スペシャルイベント『清く正しく美しく』が、東京公演中の宙組をのぞく4組と専科、音楽学校生の出演により、盛大にとりおこなわれた。

      ★    ★    ★

Ituou06
↑クリックすると拡大写真を表示

      ★    ★    ★

 出演生徒数は、専科18名、花組73名、月組87名、雪組76名、星組80名、宙組1名、宝塚音楽学校生96名の合計431名。休憩2回を含む3部仕立てで約3時間半という大イベントを厳かに美しく、繰り広げた。
 その内容をプログラムとともに紹介しよう。

◆第一部 献舞「清く 正しく 美しく」
 昭和13年の愛読者大会での演説映像が、小林一三氏の声とともに映し出される。

 まずは元禄風すみれの若衆・霧矢大夢によって、歌唱「清く 正しく 美しく」が始まる。背後には逸翁の写真が飾られている。
 霧矢に続いて、真飛聖、大空祐飛、彩吹真央、柚希礼音が登場。続いて壮一帆、愛音羽麗、未涼亜希、華形ひかる、真野すがた、遼河はるひ、桐生園加、青樹泉、凰稀かなめ、立樹遥、涼紫央、和涼華ら男役総勢12名がすみれの若衆として舞い、花道では黒紋付きに緑の袴のコーラス26名が合唱で華を添える。

 続いて、本舞台にせり上がりで、すみれの若衆姿の春日野八千代の登場。途中からすみれの美女の松本悠里も加わり、気品と優雅さに溢れた献舞をじっくりと堪能させてくれる。
Ituou01
↑クリックすると拡大写真を表示

 専科から鈴鹿照、萬あきら、汝鳥伶、星原美沙緒、一樹千尋、未沙のえる、磯野千尋、箙かおる、千雅てる子、藤京子、京三沙、光あけみ、一原けい、五峰亜季の14名が登場してベテランらしい重厚な踊りを見せてくれる。

 そしていよいよ主演男役の花組・春野寿美礼、月組・瀬奈じゅん、雪組・水夏希、星組・安蘭けいの4人が美しい若衆姿を見せる。なかでもこのイベントが主演男役としての初の顔見せとなる水夏希の姿は、どこか緊張に包まれて初々しい。

 続いて主演娘役、花組・桜乃彩音、月組・彩乃かなみ、雪組・白羽ゆり、星組・遠野あすかが、すみれの美女として登場、4組のコンビの豪華な並びは目をみはるほど美しい。この日がコンビ初披露でもある水夏希白羽ゆりは、大人っぽさと華やかさがあり、今後を期待させてくれる。
 この場のフィナーレは、春日野八千代を除く全員による壮観な総踊りで幕を下ろした。

Ituou02
↑クリックすると拡大写真を表示

             ★      ★

 カーテン前に月組組長の出雲綾が登場。続く演目『恋に破れたるサムライ』の解説をする。

Ituou08
↑クリックして拡大写真を表示

 『恋に破れたるサムライ』は小林一三作の歌舞伎レビュー。昭和12年に上演されたもので、「源平盛衰記」などでおなじみの美女・袈裟御前の悲劇を描いたもの。遠藤盛遠(のちの文覚上人)に轟悠、渡辺亘に安蘭けい、その妻である袈裟御前に音月桂、袈裟の母に美穂圭子、琵琶法師の歌手に矢代鴻、そして星組・雪組の若手たちという出演者。盛遠に横恋慕された袈裟が、夫の命を守る代わりに自分を犠牲にするという哀れに満ちた物語を、叙情味豊かに演じてみせた。

Ituou07

◆第二部 「ゲストコーナー」
 このコーナーはOGたちが出演。まずは鳳蘭「セ・マニフィーク」で華やかに登場。続いて安奈淳「夢人」をしみじみと聞かせ、そのまま「愛の宝石」へと歌いついでいく。途中からも加わり、2人のデュエットでこの名曲を歌いあげる。
 司会の英真なおきが2人に逸翁の思い出をインタビュー。ともに「今日の自分があるのは一三先生のおかげ。まだ宝塚歌劇団の傘のなかで守られている気持ち」と飾られた写真を見ながら語る。

 続いて派手なピンクの上着で「情熱の翼」を歌って賑やかに登場したのは真琴つばさ。「瀬奈じゅん率いる月組に派手なほうがいいと言われたので」とファッションを解説。「一三先生の写真が、よう来てくれたなと言ってくれている気がする」と語りかけ、次の安寿ミラを呼ぶつもりで「安奈淳さん」と言ってしまい、舞台に土下座する楽しいハプニングも。その安寿ミラ「かわらぬ想い」で、ブラック・ジャックの陰を宿した面影を彷彿とさせる。安寿も「この宝塚なしでは私はなかった」と逸翁への心からの感謝の言葉を述べる。

 ここから司会が飛鳥裕に替わる。杜けあき「朝日の昇る前に」をじっくりと聞かせつつ、「こんなに緊張したのは初めて」と、久しぶりの宝塚大劇場への感想と亡き父の思い出などをたっぷり語って興奮した面もちだった。

 「大いなる落日」をドラマティックに歌ったのは日向薫で、「いつも宝塚の底力を感じています」と改めて宝塚のよさを讃える。続く大浦みずきはミュージカルらしい洗練された歌いぶりで聞かせた「So In Love」。父阪田寛夫が宝塚関連の作詞や本の執筆をしたこともあり、親子二代で縁があったことなど感謝の念を語った。

 司会が夏美ように代わり、大ベテランOGの深緑夏代扇千景のトークが始まる。

Ituou03
↑クリックすると拡大写真を表示

 扇千景が、映画界に引き抜かれるという事件を起こしたときに逸翁が守ってくれたという話、深緑夏代は、彼女が短めに着ていた羽織の丈に気づく細やかさや、子供時代にアンパンを買ってもらった思い出などを語り、最後は深緑ならではの人生の深みを感じさせるシャンソン、「逝きし人達」の絶唱を聞かせ会場の喝采を浴びた。

◆第三部「あれから50年」
 このコーナーは、現役生による名曲メドレー。
 まずはシルバースパンの衣裳の轟悠を中心に各組男役スターが歌う。各組カラーの、ピンク、イエロー、グリーン、ブルーのエンビが鮮やかだ。曲目と以外のメンバーは以下の通り。

「タカラジェンヌに栄光あれ」 真飛聖・壮一帆
「東京へ行きたいナ」 大空祐飛・霧矢大夢
「ああ宝塚、わが宝塚」 彩吹真央・音月桂
「楽しいわがパリ」 立樹遥・柚希礼音

 メドレーの最後は、と8名が『華麗なる千拍子』から「幸せを売る人」で盛り上がる。

 続いて、主演男役4人のソロによるメドレーが銀橋を使って行われる。白の総スパンのエンビにチョッキがそれぞれの組カラー。春野寿美礼は上着と揃いのスパンのチョッキでひときわ貫禄を示している。

「落葉散る丘の小径」 水夏希
「霧深きエルベのほとり」 瀬奈じゅん
「望郷の琵琶歌」 安蘭けい
「愛の歌」 春野寿美礼

 最後には4人が揃って「フォルテで行こう」を歌いながら銀橋でアピール。学年も近い4人の主演スターたちの並びは、眺めも息も合っていて見応えがある。

Ituou04
↑クリックすると拡大写真を表示

 続いて主演娘役と各組男役スターたち8人が銀橋に登場。

「花の中の子供たち」 桜乃彩音
「夜霧のモンマルトル」 壮一帆
「ボン・ビアン・パリ」 真飛聖
「白い花がほほえむ」 彩乃かなみ
「アマール・アマール」 霧矢大夢
「瞳の中の宝石」 大空祐飛
「愛の巡礼」 音月桂
「心の人オスカル」 彩吹真央
「愛あればこそ」 白羽ゆり
「丘の上のジョニー」 柚希礼音
「ジュテーム」 立樹遥
「TAKARAZUKA FOREVER」 遠野あすか

 主演娘役4人と男役スターたち8人は、ラストに本舞台で「夜明けの序曲」を合唱、厳かに締めた。

 再び、主演男役たちが黒エンビ姿で次々に登場、銀橋を渡りながらフルコーラスを聞かせる。

「さよならは夕映えの中で」水夏希は、レット・バトラーの別れの悲しみを込めて。
「花に散り雪に散り」安蘭けいは、大石内蔵助の風格と愁いを漂わせて。
「風になりたい」瀬奈じゅんは爽やかでありながら切々と。
「愛と死の輪舞」春野寿美礼はかつて演じたトートそのままに妖しく。

 最後に轟悠が、懐かしい「雨の凱旋門」をたっぷりと歌いきって名曲の競演を終了した。

Ituou05
↑クリックすると拡大写真を表示

 フィナーレは、専科の轟悠と現役生、音楽学校生が本舞台と大階段に整列し、総勢414名で繰り広げる大合唱。小林一三氏の功績を讃える大曲「逸翁讃歌」の迫力はまさに圧巻。50回続いたこのイベントの最後を豪華に飾った。(文・榊原和子/写真・平田ともみ)

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/01/30 17:18:08 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | | トラックバック (1)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 圧巻の『小林一三没後50年追悼スペシャルイベント』:

» まさに「圧巻」! トラックバック すみれ三昧別館
『宝塚プレシャス』にも、ようやく、 逸翁デースペシャルのレポートが掲載されました 続きを読む

受信: 2007/01/30 23:32:24