榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
柚希礼音が等身大に演じる 星組バウ公演『Hallelujah GO! GO!』
星組バウホール公演 初日
バウ・ミュージカル『Hallelujah(ハレルヤ) GO! GO!』
1月2日に星組若手たちのミュージカルが、バウホールで初日を迎えた。作・演出は稲葉太地、一昨年の『Appartement Cinema』に続いての登板で、青春群像劇風の作品ということでは、前作と共通するものがある。
今回の『Hallelujah(ハレルヤ) GO! GO!』の主演はダンサー柚希礼音、ヒロインもやはりダンスの上手な陽月華ということで、物語を運ぶファクターはもちろんダンス。70年代のアメリカという設定から、「サタデーナイト・フィーバー」を思い出させるディスコダンスがふんだんに取り入れられている。
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物語は、今はスーパースターになったデニスの息子が、父親の思い出の教会で結婚式を挙げにやってきて、その回想シーンから始まる。
柚希礼音が扮するデニスは、田舎町の学校を卒業したものの、人生の目的をまだ見つけられずに、日々をやり過ごすだけの若者だ。彼が唯一夢中になれるのは、仲間たちと通い詰めているディスコダンス。そんなある日、彼はダンス・コンテストという1つの夢と出合い、またダンスをともに踊った1人の女性に恋をする。そのことによってデニスの内面に変化が訪れる。自分を取り巻く現実と向き合うようになり、自分以外の人々にも目を向けられるようになる。つまりは、ダンスを媒介に人生を学んでいく、1人の青年の成長物語なのである。

そんな青年の心の変化に、ちょうど同世代といってもいい柚希礼音が正面から挑んで、生き生きと演じて見せる。もちろん柚希への当て書きといってもいい設定の助けもあるのだが、少しわがままで社会化されていなかった子供っぽいデニスも、世の中と恋を知って少し大人になっていくデニスも、柚希の等身大に引き寄せて、実感を持って演じているのが気持ちいい。
相手役の陽月華も、デニスと恋に落ちるブレンダ役で、2つの顔を持つ複雑な娘の役を、丁寧に演じている。とくに後半になって、自分の育ちや本当の気持ちを知られてからの素直な可愛らしさと品の良さは、いい意味でこれまでの陽月華が出し切れていなかった新しい魅力が出ている。これから宙組の主演娘役として、この舞台で見せた正統派娘役の色は大きく役に立つのではないだろうか。

その2人を取り巻く人々には、若者たちと大人たちのグループがある。
若者たちの中では、病気の妹を抱えて悩むブライアンの 和涼華と、犯罪に手を染めてしまうガイの綺華れいが、大きな役どころを演じているが、デニスとのそれぞれの関係がきちんと伝わる演技で、うまく役にはまっている。またデニスの恋人モニカの 蒼乃夕妃は、娘役というより女役の風情を持っていて、しだいにブライアンに傾いていく気持ちを的確に見せて頼もしい。
そのほかにディスコ仲間の天霧真世や 梅園紗千、弟リカルドの大輝真琴、ダンサーや友人で登場する初瀬有花、純花まりい、七風宇海、如月蓮、 白妙なつ、音波みのりといった若手たちがキャラクターやセリフをもらって活躍しているのが楽しい。

その周りを取り巻く大人グループには、包容力たっぷりの教会のシスター・千雅てる子や、職人気質のデニスの父の英真なおき(ディスコのDJ役も演じている)、敬虔なクリスチャンで2人の障害となるブレンダの母を朝峰ひかり、とベテランが固めている。またデニスの同僚でいい味を出している美稀千種や、ディスコの店員で仕切役の百花沙里という実力派の存在感も大きい。忘れてならないのがディスコで歌いまくる花愛瑞穂で、彼女のパンチの効いた歌声が、70年代という時代の色を伝える役割りを果たしている。

デニスとブレンダの物語は、ブライアンやガイの身辺のドラマを描きつつ、なんとかハッピーエンドにおさまるが、教会と神のふところの深さに全てを収斂していくまとめかたはやや安易。階級や暮らし、人と人の理解などをきちんと掘り下げて、その関係のなかで解決を見つけていく努力を、作者は劇作の中でしてほしい。今の作者の若さなら、まだまだ試行錯誤が許されるのだから。

八百屋舞台のディスコ風のステージで踊る出演者たちはなかなかハードだと思うが、観る側には見やすく、そのステージを利用してのドラマ展開もスムーズに運ばれるのがいい。なによりも、70年代に“フィーバー”した人には懐かしく、“フィーバー”できなかった人にもなじみのある音楽で、柚希や陽月をはじめとする生きのいいダンサーたちがノリのいいダンスを見せてくれる。それだけでも心躍って、新春には嬉しいミュージカルである。
(文・榊原和子/写真・平田ともみ)
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◆宝塚星組バウホール公演◆
バウ・ミュージカル『Hallelujah(ハレルヤ) GO! GO!』
作・演出:稲葉太地
公演期間:2007年1月2日(火)から1月15日(月)
⇒詳細は宝塚歌劇団公演案内ページへ
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/01/04 12:39:05 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)





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