エリザベートの魅力
レポート―ウィーン版『エリザベート』来日記念コンサート
今春来日する《ウィーン版》ミュージカル『エリザベート』の予告編ともいうべき来日記念コンサートが、昨年12月に大阪・梅田芸術劇場、そして1月4日から8日まで東京・新宿コマ劇場で開かれました。東京公演を観てきましたので、その模様をレポートします。(写真は大阪公演のものです。梅田芸術劇場提供)
公演は前半のトークと後半のコンサートの2部構成で行われました。オープニング、舞台のスクリーンにウィーン版の映像が映し出され、観客は一気に『エリザベート』の世界に引き込まれます。続いて演劇評論家の小藤田千栄子氏の司会による前半のトークショーが始まりました。ゲストは歴代『エリザベート』出演の宝塚OGの皆さん。まず登場した美々杏里さんは、初演の雪(96年)、宙(98-99年)、月(05年)と3組の『エリザベート』に出演し、月組公演では皇太后ゾフィーを演じました。
続いて星組(96-97年)公演で皇帝フランツを演じた、元星組トップスターの稔幸さん、月組公演で主役のトートを演じた元月組トップスターの彩輝なおさんが舞台上に現れ、メークの工夫や歌の難しさ、ウィーンで本場の公演を観たときの印象など、当時の思い出を語りました。
トーク半ばにウィーン版のキャスト・スタッフも登場。来日公演で主演のエリザベートを演じるマヤ・ハクフォートさん、トート役のマテ・カマラスさん、皇太子ルドルフ役のルカス・ペルマンさん、そして「エリザベート」の音楽担当で、今回のコンサートでは指揮もするシルヴェスター・リーヴァイ氏です。昨年12月18日に行われた製作発表会では緊張がみられた4人ですが、日本滞在も半月を超え、この日はリラックスした様子で、「明けましておめでとうございます」と日本語で新年のあいさつをする余裕もみせてくれました。
『エリザベート』という作品に対する思いから宝塚の男役についての言及まで幅広い内容のトークも終了。休憩を挟んでいよいよコンサートが始まりました。
舞台には小編成のオーケストラ、そして指揮はリーヴァイ氏。ウィーン版の3人のキャストによる迫力ある歌声で、ストーリーの進行に沿って次々とおなじみのナンバーが繰り広げられました。『エリザベート』の楽曲はどれも素晴らしいものばかりなのですが、マヤさん、マテさん、ルカスさんの力のある歌唱で、言葉はわからなくても歌そのものが持っている魅力がより一層深く伝わってくるようです。
製作発表会でも披露された、エリザベート(マヤ)の「私だけに」、トートとルドルフ(ルカス)による「闇が広がる」は何度聞いても迫力があります。
コンサートではいくつか興味深い趣向がありました。
●ハンガリー語:トート役のマテさんが歌う「愛と死の輪舞(ロンド)」はハンガリー語でした。この曲があるのは日本版とブダペスト版だけなのだそうです。マテさんはハンガリー出身です。
●フランツは稔幸さん:宝塚OGを代表してコンサートに加わった稔幸さんが歌ったのはエリザベート、フランツ(稔幸)とトートによる「私だけに」、エリザベートとフランツによる「夜のボート」の2曲。日本語とドイツ語(!)の歌唱が見事でした。ウィーン版の3人がそれぞれ日本語で歌う場面もありました。
●歌だけで感動!:意識を失ったエリザベートをトートが抱き上げて退場するという演出のエピローグも心憎いものでした。衣装やセットがなくても、歌だけで物語の世界に連れて行ってくれる『エリザベート』。東京でのみ上演されるコンサートバージョンも非常に楽しみなものになりそうです。
●《番外》姿月あさとさんが「闇が広がる」を熱唱!:大阪公演では、宙組でトートを演じた姿月あさとさんがゲスト出演し、後半のコンサートで、トートとしてルドルフ役のルカスさんと「闇が広がる」を熱唱したとのことです。
製作発表会では「指揮することにとてもナーヴァスになっている」と話していたリーヴァイ氏も終始ノリノリで、来日記念コンサートは終了。久しぶりに『エリザベート』の世界を堪能することができました。今回聞けなかったルキーニやゾフィーなど他の出演者のナンバーも非常に楽しみです。
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/01/10 9:58:06 エリザベートの魅力 | Permalink | トラックバック (0)