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2007年2月19日 (月)

榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー

明るく清々しい笑顔最後まで 『貴城けいサヨナラショー』

宙組東京宝塚劇場公演 千秋楽(2月12日)
『貴城けいサヨナラショー』

 1月2日に初日の幕を開けた宙組の東京公演、『維新回天・竜馬伝!』『ザ・クラシック─I LOVE CHOPIN─』が2月12日に千秋楽を迎えた。

 13時半からの公演に引き続いて行われた「貴城けいサヨナラショー」の前に、幕の前で美郷組長から退団者の紹介が行われる。
 貴城けいについて「時間の長さではなく、その時をどうやって充実させるか、カシゲが身をもって示してくれた。宙組に来てくれて、一緒に歩いてくれて本当によかった」という言葉に、場内からすすり泣きが漏れる。

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 そんな中、貴羽右京の開幕のアナウンスで「貴城けいサヨナラショー」は賑やかに始まった。

 ブルーのエンビで男役を引き連れ、『コパカバーナ』から「Dancing Fool」「コパカバーナ」を楽しく歌い踊る。続いて貴城の雪組時代の出演作『ワンダーランド』「アラビアン・ハーレム」を妖しく踊ってみせる貴城紫城るい。この場面には同じく退団する咲花杏もフィーチュアされていた。続いて紫城るいのソロで『ネオ・ヴォヤージュ』

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 再び、貴城が登場して、大勢のダンサーとともに『Joyful!!』から「She Bangs」で賑やかに盛り上げ、このあとは、貴城けいのバウ主演作や出演作の主題歌のメドレーになっていく。『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』『睡れる月』『アンナ・カレーニナ』『アメリカンパイ』『DAYTIME HUSLER』『ささら笹舟』、どれも思い出深い曲ばかりだ。

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 貴城が一時退場したあとは、銀橋に紫城るいが現れ、娘役たちと『コパカバーナ』から「今着いたわ」をかわいく歌いあげる。

 そのあとは新人公演で貴城が演じた『仮面のロマネスク』のラストシーンの再現。寿つかさによる執事のセリフも入って、舞台上が名作の色に染め上げられる。

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 そして大詰めは、貴城のコンサート『I have a dream』から「時を超えて」を全員で熱唱。
 ラストソングは、貴城のディナーショーではおなじみの「奇跡」「長い長い坂道を登るのはあなた1人じゃない」という歌詞が心に沁みる。
 最後に大階段の途中で振り向く貴城けいを、幕が静かに覆い隠した。

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 再び美郷組長が登場して、退団者の残り6人のプロフィールを紹介したあと、いよいよ大階段のセレモニーが始まる。

 まだ研4の白峰さゆりは、研5以上でないと降りられない大階段を背に、すでに本舞台に立っていた。歌のうまい娘役と、組長に紹介された彼女の言葉は、「4年間、宝塚が全てでした。こんなに沢山のお客様に囲まれて最後の日を迎えられて幸せです」。

 続いて咲花杏。新人公演やバウ公演で活躍した娘役と紹介される。挨拶は「言いたかった言葉はただ一つ、皆さんが大好きです!」とキラキラ光る瞳で語り、最後も「心からの愛を込めて、みーーーんな、大好き!!」。

 純あいらは、しっかりと存在感を示す女役だったと組長。挨拶は「今日で純あいらという名前から、宝塚から卒業です。たった一度の人生で、宝塚に存在できたことを誇りに思います」。

 天翔ゆうりは、『NEVER SAY GOODBYE』での印象深い役作りとともに紹介され、言葉は「自分らしくと思って生きた8年間は幸せでした。今ここにいる宙組の皆さんと最後に舞台に立てたことを幸せに思っています」。

 貴羽右京は、個性的で楽屋裏では気遣いの人だったと組長が紹介。ユニークなその挨拶は大劇場でも印象深かったが、今回もいきなり「挨拶を考えれば考えるほど、何を言ったらいいかわからなくなりました。充実した12年間でした。どんな隅っこにいても、どんな一瞬でも私を見てくれる人がいました。本当に本当に幸せでした。…終わっちゃうなー。最後に宙組の皆さん、本当にありがとうございました。大和をよろしくお願いいたします。第81期生貴羽右京、男役でした。12年間、本当にありがとうございました」。

 いよいよ紫城るいの番になる、組長が「るいちゃん」と呼ぶと「はい」と答えて、静かに大階段を降りてきた。

「いよいよ宝塚を旅立つときがやってきました。卒業ということを意識してから、すべての時間が本当にいとおしかったです。

 無我夢中でがむしゃらだった男役時代、女性としてのさまざまなことを教えてくれた娘役の5年間、今の私は人生の一生分の幸せをいただいてしまったかと思うほど幸せ過ぎて、時が止まってほしいと何度も思いました。今感じているこの幸せな気持ちと感謝の気持ちは、これからいつまでも私の心に残って、これからの人生でどんなときも支えてくれるものになると信じています。

 諸先生方、スタッフの皆さま、いつも見守り支えてくださった美郷組長をはじめとする宙組の皆さま、いちばん近くで支えてくれた大切な同期、最後に巡り会い大きな愛で私を包んでくださった貴城さんの愛、そしてこんな私をどんなときも見守り支えてくださいましたファンの皆さまの愛、沢山の愛に支えられて卒業できますこと、心から幸せに思っています。心からの感謝の気持ちを、心からの愛を込めて。ありがとうございました」

 そして「貴城けいです。カシゲ」と組長の呼びかけに「はい」と答えて貴城けいがゆっくりと大階段を降りる。

「宝塚で出会えた全てが私を育ててくれました。15年間という月日、雪組のみんなは温かく送り出してくれ、宙組のみんなは温かく迎えてくれ、ファンの方は温かく見守ってくれました。この中の誰一人、何一つ欠けても、今の貴城けいはなかったと思います。

 ファンの方のため、宙組のため、そして自分自身のため、今できることは何か、常に考えて過ごしてきました。その中で、るいちゃんという最高の相手役に巡り会い、美郷組長率いる宙組のみんなが、私を精いっぱい支え、送り出してくれました。今、この宙組で卒業できることは、心から幸せで、私の一生の誇りです。

 どんなときも応援してくれたファンの皆さま、15年間、支えてくださった全ての方々に、限りない愛を込めて。私は私らしく歩んで参りたいと思います。心から、心から、感謝を込めて、ありがうございました」

 お別れの曲は、宝塚大劇場のときと同じ『蛍の光』。カーテンコールでは宙組の「大和陽月の宙組をよろしく」と挨拶するなど、貴城けいは、明るく清々しい笑顔を最後まで絶やさず、宝塚の舞台を去っていった。(文・榊原和子/写真・宝塚歌劇団提供)

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/02/19 20:27:03 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | | トラックバック (0)

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