中本千晶のヅカ★ナビ!
<中級>ビバ!日本物
レベル:★★☆(中級編)
分野:「美しい国日本」の伝統文化
対象:今年から着付けでも習っちゃおうかなあとか思っている人など。
タカラヅカといえば年がら年中「ベルばら」ばっかりやってる劇団だと思っている御仁もいるが、軍服やタキシードや輪っかのドレスだけがタカラヅカじゃない。じつはもう一つ重要な作品群がある。
それが「日本物」だ。そう、粋な若衆姿でオーケストラに合わせて舞い踊ってしまうという、あれである。タカラヅカらしい華やかさのなかに、日本物ならではの独特の様式美が漂う。
日本物を初観劇したある男性は「歌舞伎にはない、また日本舞踊にも存在しない、不思議な世界観を感じた」といっていて、なるほどなあと思った。
日本物好きの筆者としては、日本物のラインナップが充実しているこの春はウキウキだ。東京宝塚劇場で「維新回天・竜馬伝!」(宙組)、名古屋中日劇場では「星影の人」(雪組)がダブル上演中。3月には宝塚大劇場で久々の舞踊物「さくら」(星組)と続く。
そして、日本物といえば何といっても「雪組」なのだ。
一般に、宝塚歌劇の5組(花・月・雪・星・宙)は、その構成メンバーが違うだけで、カンパニーとしてのスキルには違いはないとされる。だが実際には「ダンスの花組」とか「芝居の月組」とか、各組のファンは組ごとの特色を語り伝え、愛してきた。そしてやっぱり「日本物の雪組」なのである。
だが、果たしてこの言い伝えは本当なのか? 雪組だけがやけに日本物の上演回数が多いような気がしてきたけれど、実際はどうなんだろう?
拙著「宝塚読本」のなかの「宝塚で学ぶ日本史」という一節を執筆したとき、2001年から5年間で日本史上の時代を舞台にした作品を調べてみたことがあった。今回、さらに1996年から2005年までの10年間で、各組が上演した「日本物」(歴史ものだけではなくフィクション、舞踊も含む)の上演作品数をカウントしてみた。
結果は・・・花組3公演、月組2公演、雪組5公演、星組2公演、宙組1公演。やはり「日本物の雪組」はあながちウソではなかったらしい?
日本物というのは着物の着こなしから芝居の所作、せりふの言い回し、刀の抜き差しに至るまで、洋物とはまったく違う。同じカンパニーがバレエと日舞を両方踊れてしまうこと自体が信じられないくらいである。
少女時代からバレエで鍛えてきたタカラジェンヌだって、いきなり着物を着て踊れといわれたら面食らう。タカラヅカは洋物のミュージカルやショーの公演がほとんどだから、日本物には苦手意識を持つ人も多いという。
だが、公演回数を重ねるなかで毎日ぞうりで走り回り、着物の早変わりに奮闘していれば、所作や着こなしも板につくというものだ。
必然、何も日舞の名取のみを採用しているわけではないのに、経験の積み上げによって組メンバー全体の実力が底上げされるのだろう。
ちなみに、宝塚バウホールなどの小劇場公演や地方公演なども含めると、花組11公演、月組5公演、雪組11公演、星組8公演、宙組2公演となり、雪組だけがダントツというわけではない。それにしても組ごとの差はあるもので、月組や宙組にあまり日本物のイメージが沸かなかったのも納得できる。
現在、宙組で竜馬を主演している貴城けい、3月に「さくら」を主演する星組のトップスター安蘭けいはともに日本物に定評があるスターだが、ふたりは共に雪組育ちで、これまでも多数の日本物の経験を積んできた。
雪組「星影の人」は幕末の剣の天才、沖田総司が主人公で、なんと31年前に初演されて以来、長年再演の声が高かった伝説の名作だ。この作品がトップお披露目となる水夏希はきっと涼やかで誠実な沖田を見せてくれるのではないだろうか? ・・・と、やっぱり名古屋まで行かずにはいられない私です。
タカラヅカの「日本物」は、「和」の世界に憧れる人には格好の入門の機会ではないかと思う。ぜひ一度体験してみてはいかがでしょう?(中本千晶)
☆ステップアップのための宿題☆
箪笥の奥に着物を眠らせているアナタ、着付けを習い始めたけど着る機会がないアナタ、この春、タカラヅカの日本物で着物デビューなんて、いかがでしょう。
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/02/09 11:00:00 中本千晶のヅカ★ナビ! | Permalink | トラックバック (0)





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