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2007年3月26日 (月)

榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー

安蘭けいが小粋かつ男前に演じる『シークレット・ハンター』

星組宝塚大劇場公演初日(3月23日)
『シークレット・ハンター』

(⇒『さくら』レビューより続く)

 芝居の『シークレット・ハンター』も、これが初舞台ならぬ大劇場デビューという作・演出家、児玉明子の作品。バウホールやドラマシティでは、すでに何作か発表している作家だが、大劇場となれば話は別で、空間も大きく客層も幅広い。だが、そんなハードルをみごとに乗り越えて、きちんと大劇場サイズのハートフルなコメディを作り上げてみせた。

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 物語は「この世に盗めぬものはない」と豪語する、大泥棒で詐欺師のダゴベールこと通称“ダグ”が、ある国の王女を誘拐したことから起こる、スリルと笑いと愛に満ちた逃避行。その「追っかけ」に、追いかける側の事情や、王女を狙うプロ組織のエピソードがからんで、一見どたばた風のシーンが次々に展開する。
 だが、児玉明子という人は、もともと装置や照明、衣裳などのセンスは優れている演出家だけに、オープニングの宝石泥棒のシーンから、逃避先のカリブの風景、「こうきたか!」と納得のラストまで、きめ細かく場面を作って楽しませてくれる。多少主人公2人に都合のいい展開もあるといえばあるのだが、質のいい娯楽映画などと共通するお約束みたいなもので、気にならない。また、初舞台生50名を劇中のカーニバルの音楽隊にするなど、出演者をフルに使いこなしていこうとする目配りも児玉演出のよさだろう。

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 出演者では、ダゴベールことダグの安蘭けいは、腕と男気を持ち合わせたかっこいい泥棒を、小粋かつ男前に演じている。とくに故郷の要塞で語り合うシーンなどは、自分のなりわいに対する哀しみものぞかせ、ラブ・ストーリーのヒーローらしい二枚目ぶり。黒の泥棒ルックもいいがラテンの派手なシャツもよく似合う。

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 遠野あすかは、誘拐される王女ジェニファー 。誘拐といってもすすんで泥棒についていくようなイノセントな部分がかわいく、また、裏にある彼女の事情をどこか感じさせるなど、きめ細かい演技だ。赤いドレスやカリブでのカジュアルなワンピース姿も美しい。

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 主演の2人を取り巻く顔ぶれだが、まずはダグの悪友(?)で情報屋セルジオの柚希礼音、出番はあまり多くないが、出てくるとキーマン的な存在感がある。通称“男爵”という殺し屋ジョエル・ロビュションの立樹遥は、少し切れているところがいい。王女の護衛のマックス・涼紫央とその部下クリス・綺華れいは貫禄と切れ者ぶりが、綺華はちょいダメぶりが板についている。ダグを追いかける女刑事アナ・マリアの南海まりと助手イグナシオの和涼華は弾けていて気持ちいい。

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 王女の父のフランシス国王は汝鳥伶で、出番が少ないのが残念。母のフェリシアを気品高く万里柚美が演じ、 ダゴベールの父と母の二役の英真なおきはサプライズな登場で笑いを誘う。またストリートミュージシャンたち(百花沙里毬乃ゆい美城れん天緒圭花)や、神父たち(彩海早矢、鶴美舞夕)などが、思いがけない場面で活躍したりと、あちこちに仕掛けがめぐらされているから、オチを知ってしまった観客でも、また別の角度から楽しめてリピートできそうだ。

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 芝居が終わると大階段のフィナーレ。こちらは音楽・吉田優子、振付・羽山紀代美という優れたクリエーターがタッグを組み、新生星組の魅力を堪能させてくれる。

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 まずは柚希礼音が銀橋を歌いながら通り、堂々のスターぶりを発揮。続いて初舞台生がカリビアン・フィッシュに扮し、蛍光衣裳で深海のアンコウとの闘いを見せたり、ラインダンスを溌剌と踊る。そして安蘭けいが登場、大階段のナンバーは「エル クンバンチェロ」。その安蘭を囲んで星組男役が総踊り、また女役も気合いの入ったダンスを見せる。

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 そのあとは、「キサスキサスキサス」で、安蘭遠野のデュエット。情熱的な赤の衣裳に負けないくらい激しく熱いダンスを展開してみせる。そして最後は白を基調にした賑やかなパレード。皆に迎えられて大階段を幸せそうに降りてくる安蘭けいの大きなトップ羽根は、爽やかな門出にふさわしい純白だった。(文・榊原和子/写真・平田ともみ)

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◆星組公演◆
宝塚舞踊詩『さくら』-妖しいまでに美しいおまえ-
作・演出/谷正純

ミュージカル『シークレット・ハンター』-この世で、俺に盗めぬものはない-
作・演出/児玉明子


・宝塚大劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ
 公演期間:2007年3月23日(金)~4月30日(月)

・東京宝塚劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ
 公演期間:2007年5月18日(金)~7月1日(日)

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ  2007/03/26 11:16:00 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | | トラックバック (0)

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