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2007年4月18日 (水)

感激!観劇記

キュートな紫吹に樹里らの怪演が冴える たっぷり笑える『モダン・ミリー』

 紫吹淳主演の『モダン・ミリー』は、1967年にジュリー・アンドリュースがタイトルロールを演じたミュージカル映画を2002年に舞台化、その年のトニー賞6部門を受賞した話題作だ。日本初演となる今回は、素晴らしいキャストに恵まれ、最後までたっぷり笑えるミュージカルコメディとなった。

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 演出・振付は『ボーイ・フロム・オズ』や、昨年来日した『ウェスト・サイド・ストーリー』を手がけたジョーイ・マクニーリー。タップを取り入れたダンスはコケティッシュでもあり、都会で働く男女の慌しさを上手く表現している。実力派ぞろいのキャストで歌も聞かせる。また、“ジャズ・エイジ”と呼ばれるこの時代の、モダンなファッションも見どころのひとつ。衣装はブロードウェイのものをそのまま持ち込んだということで、さまざまに着替えるミリーたちを観るのも楽しい。

 紫吹はこれが宝塚退団後、初のミュージカル主演だが、女優を夢見るタイピストを好演した『グランドホテル』、当たり役と評価の高いライザ・ミネリを演じた『ボーイ・フロム・オズ』、芯の強いアイルランド娘役が小気味よかった『タイタニック』など、大型ミュージカルに出演を重ねており、経験は十分。満を持してといった感じでまったく危なげない。
 本作では1920年代のニューヨークを舞台に、「愛よりお金」「目指すは玉の輿」という“モダンガール”になろうと奮闘するミリーが、さまざまな事件を経て、本当に大切なものを見つけるまでをキュートに演じている。喜んだり落ち込んだり、あるときは有能な女性秘書として、あるときはセクシーに迫ってみせたりと、さまざまな表情を見せるミリーに共感し、応援したくなること請け合いだ。

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 ミリー以外の登場人物はかなりマンガチックに誇張されていて、“ワンダーランド”ニューヨークで奮闘する普通の女の子ミリーの冒険と成長の物語という面も感じられる。実力派ぞろいのキャストがそれに応えて怪演&快演を見せ、大爆笑を呼ぶ。
 相手役ジミーの川崎麻世は、最初のミリーとの出会いの場面がいちばんおかしい。
 女優志望のお嬢様ドロシーを演じる樹里咲穂は天性のコメディエンヌぶり。登場した瞬間から上がりっぱなしのボルテージは、岡幸二郎とのデュエットで頂点に達し、まさかのラストシーンに至るまで、観ているだけで笑いがこみ上げる。

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 『タイタニック』でボイラー士を好演した岡幸二郎はミリーが狙う大企業の社長グレイドン役。最初はおとなし目に感じたが、芝居が進むにつれてどんどん面白くなり、2幕目序盤のドロシーと恋に落ちた瞬間のデュエットは、2人の歌の上手さと演技のおかしさがあいまって最高の見せ場となっている(最後はちょっとかわいそう)。
 大物スターのマジーは今陽子。落ち込むミリーを励ましたり、愛の大切さを示唆したりと、登場人物の中ではまともな役どころ、と思っていたら、終盤にお茶目なシーンが用意されていた。スターとして歌う場面はさすがの迫力で、大きな拍手が起きていた。

 しかし何といっても白眉は、前田美波里が演じる怪しげな下宿の女主人ミセス・ミアースだろう。昨年行われた記者会見では悪役を演じるのが楽しみだと話していたが、本当に楽しそうに、大迫力で演じている。昔は女優を目指していたが、今は落ちぶれ、犯罪に手を染めた、ちょっとドジな東洋系の女という役どころなのだが、2時間半弱の舞台で、ミセス・ミアースの若かった頃はどんなだったんだろうと想像したくなる、奥行きのある演技は圧巻だった。
 そのほかミセス・ミアースの手下の中国人の兄弟にもきちんと見せ場があり、細かいところまで手を抜かずに作られている。
 最後まで笑いが絶えない、「あのおかしかったシーン、もう一度観たい!」とリピートしたくなる舞台だった。

モダン・ミリー
 2002年度トニー賞6部門を受賞したブロードウェイミュージカル。紫吹淳、樹里咲穂以外のキャストも実力派ぞろいと、楽しみなラブコメディです。
 ⇒詳しくは公演情報へ

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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/04/18 18:42:13 感激!観劇記 | | トラックバック (0)

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