プレシャスインタビュー
リアルな朝海ひかるを―『PRIMARY COLORS』 宝塚歌劇団演出家 正塚晴彦さんインタビュー
宝塚歌劇団の作・演出家として、数々のヒット作を生みだしている正塚晴彦。彼の名はこのコーナーのOGたちのインタビューにも、大きな影響力を与えた存在として何度か登場してきた。その描き出す世界は、デリケートなニュアンスに富んだ会話や、人間を見る目の優しさ、深さがあり、独特の世界観で彩られている。そんな彼が、退団したばかりの元雪組トップスター朝海ひかるの外部での第一作『PRIMARY COLORS』を手がけることになった。バウホールや本公演で、朝海とは印象に残る仕事をしてきた演出家だけに、この舞台への期待は大きい。そんな正塚晴彦の今作品への取り組み、また彼ならではの作・演出論を聞く。
宝塚歌劇団演出家の正塚晴彦氏が、宝塚プレシャスインタビューに登場します。インタビュー前半では、5月1日に東京のル テアトル銀座で開幕する朝海ひかるの退団後の初舞台『PRIMARY COLORS』のお話を中心に伺いました。
正塚晴彦
まさつか はるひこ。宝塚歌劇団演出家。
76年、宝塚歌劇団入団。最初の演出作品は『暁のロンバルディア』(81年)。
以降の主な作品に『ロマノフの宝石』(89年花組)、『銀の狼』(91年月組)、『二人だけの戦場』(94年雪組)、『ハードボイルド・エッグ』(95年月組)、『バロンの末裔』(97年月組)、『追憶のバルセロナ』(02年雪組)、『ホテル ステラマリス』(05年宙組)、『愛するには短すぎる』(06年星組)ほか多数。
(インタビューより)
―― この仕事を引き受けられるときに、朝海ひかるの再スタートをどういう形に、と思われましたか?
宝塚を卒業して1つ目の仕事というのは、いろいろな形があって、劇場でやるディナーショーのグレードアップみたいなことをやってしまえば簡単なわけです。でもそれもどうなんだろうと。
難しいですよ、やっぱり特殊ですから。あれだけ長く宝塚にいて、男役で主役をやってきたわけだし。それに、観に来る人たちの心境も複雑だと思うんですよ。退めたのにまた男役時代に近いものをやったら、それはそれで安心できるかもしれないけれど、内心では退めたんだからカッコイイ女として歩いてくれという気もあるだろうし。
―― ファンは両方で揺れるでしょうね。
今まで好きで観てきたコム(朝海の愛称)と違うというのも苦しいだろうし、中途半端なものをやってもしようがない。それに女優としてやっていくなら、これまで応援してくれた人たちだけではなく、新しい観客のことも意識していかないと。
でもニーズばかり考えてたら難しくなるだけだから、僕自身の気持ちとして、やりたいこと、やらせたいことをスタッフと相談しながら、アイデアとして出していったんです。
―― 朝海さんは、そういうとき自分のアイデアとか出す人ですか?
最初から、こういうのをやりたいと言ってくる人ではないです。
だからといって何も思ってないわけではない。自分の思いにぴったりのものを立ち上げてくれるのが、いちばんいいと思っているんじゃないかな? それで違ってて我慢できなくなったら言ってくるんじゃないかと(笑)。
―― 朝海さんとは、いろいろ仕事してらっしゃいますよね?
いちばん最初は花組でしたね。『メランコリック・ジゴロ』(93年)の中で一言セリフを言っていたのを覚えてます。「もう1杯飲んでいいか?」という(笑)。
―― まだ女の子っぽかったのでは?
いや、仕事場ではいちおう男役として見ていたから、とくにそういう印象はないですね。まっすぐにセリフを言うなと思った。へんに芝居をしようとしないのがよかったです。
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ほか前半は、『PRIMARY COLORS』の構成について、これまでの自身の作品についてなど。インタビューの全文は「宝塚プレシャス」でご覧いただけます。久世星佳さんや成瀬こうきさんら多くの宝塚男役を輝かせてきた『正塚スタイルの秘密』についてじっくりお話を伺ったインタビュー後編もお楽しみに!
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/04/26 20:15:00 プレシャスインタビュー | Permalink | トラックバック (0)