由美子へ・取材ノート
第7章-2 舞台裏
「宝塚随一の美女」と称された元タカラジェンヌ北原遥子(本名・吉田由美子)の生涯を詳細な資料と証言でつづるノンフィクション『由美子へ・取材ノート』。
宝塚入団2年目で、次々と大役に抜擢される北原遥子(本名・吉田由美子)。彼女の舞台人生は順風満帆に思えたが、本人のプレッシャーと周囲の期待に応えようとする努力は並大抵のものではなかった。同室の後輩や友人の証言で、吉田由美子のプライベートを綴る第7章(承前)。
☆ ☆ ☆
本公演と新人公演、稽古と本番が次々に続く毎日に、由美子は脇目もふらず向き合っていた。3つ違いの兄は、81年春には岩手放送のアナウンサーになっていた。
「僕が岩手の局に受かったと聞いて、由美子はすごくがっかりしたようです。“お兄ちゃん、大阪の局を受ければよかったのに、そしたら一緒に住めるのに”と言ってました。初舞台は初日は観られなくて、2日目か3日日かに観ました。最初はどれが妹かわからなかったけれど、トンボ切ったんで、あれかと(笑)。
同室
雪組で2年後輩だった筑紫野あやは、寮で由美子と4カ月ほど一緒に暮らした。
「同室だったのは、私が音楽学校を卒業する直前から、歌劇団に入って配属が雪組に決まった5月まで、由美さんは研2の終わりから研3になるところでした。83年2月に音楽学校で抽選があって、由美さんと同じ部屋と決まり、あいさつに行きました。生活に必要な物はあるので持ってこなくて大丈夫よ、と言っていただいて、洋服とか身の周りのものだけ運び込みました」
3畳ほどの部屋にベッド2つ、ベッドレールが洋服掛けで、ときには洗濯物掛けにもなるという狭さである。
「冷蔵庫は小さいのが一個しか置けないんですが、私はよくゼリーとか作って冷やしておいて、由美さんにすすめるといつも嬉しそうに食べてくださるんです。それが楽しかった。ダイエットに気をつかっていたんでしょう、ふだん食べるものはおからとか果物とか。由美さんは次から次に役がついて、遊ぶなんて時間はなかったし、寮に帰ってきてからも予習復習。ときどき台本の読み合わせを手伝ったりしましたが、できるだけ邪魔にならないようにと心がけていました」
☆ ☆ (中略) ☆ ☆
友人
兵庫県の仁川に住んでいた益田佳美は、由美子が初舞台を踏んでまもなく知り合いになった。兄が歯科医をしていて、由美子は歯を折ったときに差し歯を作っている。同世代で少し年上の佳美は、普通の友人の感覚で由美子と付き合っていた。
「車での送り迎えをよく頼まれました。家にも何回か遊びに来ています。でも、遊びに行っていい?と自分から言ってくることはめったになくて。気をつかうのがいやだったんでしょうね。食事は、太りやすいのでいつもダイエットしてて、少ししか食べなかった。“お子さまランチの由美ちゃん”とうちではあだ名を付けたくらい(笑)。あと、グレープフルーツをよく食べていました。
性格は真面目で、たくさんの人の前では面白いことが言えないし、後ろに下がっちゃうタイプ。でも親しい人にはお茶目なところも出していたし、しゃべりかたも、鳥がチュチュと鳴くみたいな早口でしゃべって(笑)、甘えたところもありました。よく“温泉行きたいねー”とか“旅行に行きたいなー”とか言ってたけど、忙しくてあまり行けなかったと思います。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
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《関連情報》
☆『由美子へ・取材ノート』について
☆2007年春の御巣鷹行
《バックナンバー》
☆もうひとつの『由美子へ』―若くして逝ったある宝塚女優の記録
☆第1章 見果てぬ夢
☆第2章 誕生と家族
☆第3章 体操する少女
☆第4章 宝塚との出あい
☆第5章 宝塚音楽学校
☆第6章 娘役北原遥子
☆第7章-1 舞台1981~1982
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/05/15 7:00:00 由美子へ・取材ノート | Permalink | トラックバック (0)
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