榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
大和悠河、翳りのない輝き 宙組『宙 FANTASISTA!』
宙組宝塚大劇場公演初日(6月22日)
『宙 FANTASISTA!』
(⇒レビュー『バレンシアの熱い花』より続く)
『宙 FANTASISTA!』は、宙組誕生10周年と、新生COSMOS TROUPEのスタートをモチーフに作られたショーである。作・演出は藤井大介。解説によると宇宙に誕生した王子=大和悠河が探検の旅に出かける。月、火星、水星、木星、金星、土星、太陽と巡る途中で出合うさまざまなできごとを、ショー仕立てにしてある。場面ごとの色がくっきりしていてテンポもよく、若手たちの見せ場が各場面にあって、今の宙組の人材の豊かさをうまく伝えてくれる。。
ビッグバンから始まる第1場は、シルバーの卵から現れる王子FANTASISTA(大和悠河)が楽しい。大和はこういう明るくて無邪気なキャラクターをさせたら、まさに宝塚のプリンスで、翳りのない輝きを見せる。この誕生時のFANTASISTAの別名は「命」、そのあと、月では「ツクヨミ」、水星では「メルクリウス」、木星では「ユピテル」、金星では「ビーナシオ」、土星では「サタン」、最後の太陽では「サンシャイン」と、それぞれの星の象徴的な存在になって出てくる。
お迎えの宇宙車が運転手チギーチュ(早霧せいな)にとともにやってきて、FANTASISTAは宇宙一周の修行の旅に出る。それを見送るのが、家庭教師のマリエル(美郷真也)、ヨネル(鈴鹿照)、アスカルゴ(華凛もゆる)。宝塚のファンタジーではよく出てくるファニーなキャラたち。
陽月華も、さまざまな星でいろいろなキャラクターを持ちながら登場する。最初は宇宙の王女ブリリアントで、FANTASISTAと恋に落ちる無邪気な少女だが、次に登場してくる羽山紀代美振付の火星の場面では、捕らわれた生け贄のマルスでエロスを感じさせ、解き放たれたあとのマルスの猛々しいダンスは、しなやかで美しい。この場面以外でもダンサーたちを率いて踊ることが多く、踊れる陽月の本領を十二分に発揮している。
シーンが前後するが、火星の前は月のシーンで、女神たち・美羽あさひ、音乃いづみ、花影アリスとFANTASISTAのエレガントなダンスから始まる。十輝いりす、七帆ひかる、蓮水ゆうや、凪七瑠海、七海ひろきなど、生きのいい男役たちのダンスも見せ場だ。
火星では、セット前の悠未ひろと珠洲春希のカップルのダンスが妖艶で、歌う北翔海莉とともに観客を酔わせる。本舞台での激しいダンスは、寿つかさ、天羽珠紀、八雲美佳、早霧、 春風弥里、鳳翔大、暁郷、鳳樹いち、などが活躍。
水星でFANTASISTAは、蘭寿扮する妖艶なカロリスに誘われる。このシーンの大和・蘭寿の組み合わせが新鮮。やがて陽月華のメティスに導かれるように木星へ行くFANTASISTA。この場は、アドラステア(和音美桜、葉室ちあ理、花露すみか)やアマルテア(音乃いづみ以下18人)の美しい歌声が圧巻。振付は若央りさ。
金星はちょっとコメディタッチで始まる。銀橋にゴージャスなレディ・イシュタール(悠未、十輝、七帆)と、追いかける紳士ベネラ(鈴奈沙也、彩苑ゆき、美風舞良)のやりとりが笑わせる。だが超成金ベネラS(鈴鹿)の登場でジ・エンド。
やがて本舞台が開くと、そこはクラブ・ヴィーナスのフロア。ビーナス(陽月)やアフロディテ(美羽、音乃、和音、花影)たちと、花形スターのラダS(蘭寿)やラダAたち(悠未、北翔、十輝、七帆、早霧、凪七)のアダルトなダンスが、FANTASISTAを迎えて繰り広げられる。この場の雰囲気ある振付は御織ゆみ乃が担当。そのまま、ラテンのリズムで黒い鳥のようなレアたちのロケットに。レアAの3人には男役の春風、鳳翔、蓮水がフィーチュアされてダイナミックに踊る。
やがてショーも大詰め。いよいよFANTASISTAの前に不気味な土星が現れる。タイタン(寿)のダンスや、ミマス女Aの大海亜呼と男女のコーラスが力強い。平澤智の振付でリング女A(陽月)、リング男A(蘭寿)らがエネルギッシュに踊るなか、太陽となったFANTASISTAが登場。まさに宇宙の輝かしい光の誕生だ。すなわちオープニングへの回帰、そして場面は、いよいよフィナーレへとなだれ込んでいく。
宇宙一周というありがちなテーマなのに、意外と既視感が少なかったのは、多彩な音楽と振付、衣装の力もあるが、なによりも壮大な宇宙感覚ですべてを包み込んだ、新宮有紀の舞台美術の力だろう。あらためてその仕事の素晴らしさを特筆しておきたい。
フィナーレは、大和悠河を囲んでの眩しいような男役群舞から、大和・陽月のシャープなデュエットダンスへと展開。パレードの最後に大階段を降りる大和悠河は、襟元にも白い羽根つきのゴージャスな衣装で茶の雉羽根つきの背負い羽根。白一色の衣装でラインナップする宙組生たちとともに、外の雨にも負けない晴れ晴れとしたお披露目の笑顔を見せていた。(文・榊原和子/写真・平田ともみ)
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◆宝塚歌劇宙組公演◆
ミュージカル・ロマン『バレンシアの熱い花』
作・演出/柴田侑宏 演出/中村暁
コズミック・フェスティバル『宙 FANTASISTA!』
作・演出/藤井大介
・宝塚大劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:2007年6月22日(金)~7月30日(月)
・東京宝塚劇場(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:2007年8月17日(金)~9月30日(日)
《関連情報》
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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2007/06/26 8:21:17 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)
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