由美子へ・取材ノート
第10章 劇団を去る日
「宝塚随一の美女」と称された元タカラジェンヌ北原遥子(本名・吉田由美子)の生涯を詳細な資料と証言でつづるノンフィクション『由美子へ・取材ノート』。
第10章では、“無断テレビ出演事件”で、思いがけず宝塚歌劇団を去ることになった北原遥子(本名・吉田由美子)を描く。
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無断テレビ出演事件は、前年、1983年の9月にさかのぼる。
後日、母が娘から聞いた事実関係はこうである。
「その頃、知人を通して知り合いになったあるプロダクションの女性プロデューサーから、テレビドラマのカメラ・テストを受けてみないかと言われ、由美子は、あまり深く考えず出かけて行ったそうです」
カメラ・テストのつもりで行ったところが、現場では本番を収録していて、プロデューサーから、他の人は用意していなかったからと、無理やり出演を頼まれる。それでも断ろうとする彼女を、「セリフはないし、顔は花瓶の花で隠れるように撮ってもらうから、大丈夫」とプロデューサーが説得、押し切られる形で、撮影されてしまった。だが、画面には花とともに若い女性の姿がくっきりと映り込み、彼女を知るものなら誰でもそれとわかる形で編集されてしまう。
劇団は、宝塚企画という劇団のマネジメント部門を通さない外部出演を、一切認めてはいなかった。なりゆきとはいえ間違いなく由美子はここでルール違反をおかしてしまった。そして何カ月かのちには、それがブラウン管を通して白日のもとにさらされしまうことを彼女は知った。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
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《関連情報》
☆『由美子へ・取材ノート』について
☆2007年春の御巣鷹行
《バックナンバー》
☆もうひとつの『由美子へ』―若くして逝ったある宝塚女優の記録
☆第1章 見果てぬ夢
☆第2章 誕生と家族
☆第3章 体操する少女
☆第4章 宝塚との出あい
☆第5章 宝塚音楽学校
☆第6章 娘役北原遥子
☆第7章-1 舞台1981~1982
☆第7章-2 舞台裏
☆第8章―1 舞台1983~1984
☆第8章―2 杜けあきインタビュー 屋上の思い出
☆第9章 メディアへの露出
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/06/12 10:35:05 由美子へ・取材ノート | Permalink | トラックバック (0)