公演情報(宝塚歌劇)
轟悠、役者としての力を存分に発揮したい 『Kean』制作発表
『Kean』は、19世紀に英国で活躍した天才的なシェークスピア俳優エドマンド・キーンを描いたミュージカルで、1961年にブロードウェイで初演されました。シェイクスピアの『ハムレット』や『オセロー』などの有名な場面を劇中に織り込みながら、天才役者の波乱に富んだ生涯を描きます。キーンの生涯を描いた作品にはアレクサンドル・デュマの戯曲、それをさらに大胆に翻案したサルトル版があり、日本でも何度か上演されていますが、ミュージカル版は今回が初演となります。
制作発表会は4人のキャストによる歌で始まりました。1曲目は轟悠による"Man and Shadow"、2曲目の轟と柚希による"Sweet Danger"は、最後、南海と蒼乃も加わり、今回が日本初演となる本ミュージカルの、ドラマチックな雰囲気を垣間見せてくれました。
演出家の谷によれば、ミュージカルナンバーは30曲ほど、フルオーケストラで演奏するような楽曲で、オペラに近いミュージカルとのことです。
歌の後、壇上に向かって右から順に南海、轟、小林、谷、柚希、蒼乃が並んで座り、会見が始まりました。
まず小林理事長から挨拶があり、「9月の日比谷界隈を宝塚一色に染めていきたい」と公演成功への意気込みを語りました。
潤色・演出を手がける谷正純は「轟の、役者として素晴らしいところを見せたい」と語り、柚希をはじめとする星組メンバーにも期待を寄せました。また劇中に出てくるシェイクスピア劇について「宝塚バージョンにアレンジしてお見せする」とも話しました。

天才役者キーンを演じる轟は今回が日生劇場公演主演4度目。「日生劇場は勉強をさせてもらえる場所。今回のキーンは自分にとって挑戦となる難しい役だが、これまでやってきた役者としての力を存分に発揮したい」と抱負を語りました。
柚希はキーンの友人で恋敵ともなるプリンス・オブ・ウェールズを演じます。「海外ミュージカル出演は初めて。轟さんのすぐそばでお芝居させていただけるのが楽しみ。星組一丸となってがんばりたい」と語りました。
キーンとプリンスの2人に愛されるエレナ・デ・コーバーグ公爵夫人を演じるのは、ディナーショーで轟との共演経験もある南海まり。「轟さんと一緒にお芝居が出来るのが楽しみ。大好きな歌をがんばりたい」と語りました。
最後に、入団4年目で、キーンの熱狂的な信者アンナ・ダンビー役に抜擢された蒼乃夕妃が「大好きなブロードウェイミュージカルに出演できて幸せ。上級生についていけるようがんばりたい」と語りました。
続いて記者から質問が寄せられました。
――シェイクスピアの作品は『Kean』の内容とどのように関わっているのか。
谷「幕開きは『ハムレット』の死の場面で始まる。また、『オセロー』上演中に、キーンとプリンス、エレナの三角関係、またキーンと別の男女の三角関係など、実際の人間関係が劇の進行と同時に進んでいく。そこが楽しみ」
――シェイクスピアの中で好きな作品、印象に残った作品は?
轟「宝塚でも『PUCK(夏の夜の夢)』、『ロミオとジュリエット』などのシェイクスピア作品を上演しているが、自分は関わったことがない。演劇の基礎はシェイクスピアということもあり、この機会にたくさん読もうと思ってまず読んだ『ハムレット』、いいですね」
柚希「これまでは『ロミオとジュリエット』しか知らなかったが、読んだり映像を見たりしている。シェイクスピアは心を表す言葉・表現が素晴らしいと感じる」
南海「好きな作品は『ロミオとジュリエット』。観る者の想像力をふくらます表現が素晴らしいと思った」
蒼乃「音楽学校の最初の演劇の授業で言ったのがジュリエットの台詞だった。今は『オセロー』を読んでいる途中です」
――今回の公演になぜ『Kean』を選んだのか。轟悠あっての作品の選択か。
小林「なかなか難しい作品だが、今後の宝塚の成長も考えてやってみようと思って選んだ。また轟にピッタリの作品とも思っている」
谷「どれが先ということはない。私としては轟と久しぶりに作品作りがしたかった。轟と芝居が出来て嬉しい」
――『Kean』のここが見どころ、お勧めポイントは?
谷「キーンは芝居か現実かわからなくなり、狂気に近いところまでいってしまう人物。芝居に夢中になっていったらどうなるのか、それが宝塚に夢中になっている轟と重ねるとどうなるかが見どころだと思う」
――下級生から見て、轟悠の役者としての魅力は?
柚希「自分の初舞台(『ノバ・ボサ・ノバ』)で主演されていた方で、手の届かないくらい上の方。『長崎しぐれ坂』の新人公演では轟さんの役をさせてもらい、近くで勉強させていただいた。
轟さんが男役として追求してきたこと、また今も研究し続けている姿勢を尊敬している。舞台上でハプニングがあったときの反応も素晴らしい。少しでも学びたい」
南海「男役としての美学を感じる。どこから見ても美しく、一言では言えない、雲の上の方」
蒼乃「初めて観た宝塚作品に出演されていた方。初めてお会いした後もまだ実感がわきません…」
――轟から見た、星組3人の印象は?
轟「星組には元主演男役の湖月わたるの元気のよさからか、活発なイメージがある。
蒼乃は、彼女が出ていた舞台を観て、芯のある娘役だと思った。
南海は85期生。自分が雪組主演時に初舞台を踏んでいて、とてもかわいい印象。ディナーショーにも出てもらっているし、今回、星組の「さくら/シークレット・ハンター」でも活躍している。
柚希は回を重ねるごとに、見た目や声だけでなく中身も大きくなってきていて、何でも吸収したいという意欲に満ち溢れている。」
――今回のキーンは現実と芝居の狭間で揺れ動く役だが、轟自身もそういうところはあるか?
轟「過去に、日本モノの舞台中、普段の会話が日本モノの口調になったことがあった。また、寝ているときに夢で立ち回りをしていたのか、起きて「ぶったぎってやる!」と口走ったことがある。
私にとって宝塚の舞台は空気や水と同じように必要なもの。そろそろシェイクスピア風の口調になっているかもしれません」
――役者を演じることを役者としてどう思うか。またどういう部分を強調したいか。
轟「役者ってなんだろう、と考えてみたがわからなかった。
宝塚は日本舞踊やジャズ、タップにいたるまでオールマイティでなくてはいけない。そういう中で、役者というものをどこまで深くとらえているか、これまで考えたことがなかった。
今は未知なる大きな山を目指して徒歩で向かっているような、ただ目標に向かおうとしているという感じです」
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ミュージカル『Kean』は9月1日から23日、東京の日生劇場で行われます。詳しくは宝塚歌劇団のホームページ公演案内でご確認ください。
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/06/15 23:53:30 公演情報(宝塚歌劇) | Permalink | トラックバック (0)