現役&OGタカラジェンヌの情報、舞台評、動画つきインタビューなど宝塚歌劇関連の話題をお届け。 ⇒詳しく
オスカルやアンドレが3頭身に!ブログ「ベルばらKidsぷらざ」では、Kids最新情報のほか、読んで楽しい連載が満載です。会員サイトでは「ベルばら」の魅力を宝塚歴代スターに聞く動画つきインタビューも!

« 《中級》「若衆萌え」なんです | トップページ | 関西弁で笑いありの日本物♪おたより »

2007年6月 9日 (土)

榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー

身も心も満たされ決断 春野寿美礼退団記者会見

春野寿美礼退団記者会見(6月7日)

 6月7日の午前11時から、花組主演春野寿美礼の退団会見が開かれた。最後の舞台は9月21日に宝塚大劇場で幕を開けるドラマ『アデュー・マルセイユ』(作・演出/小池修一郎)と、ショー『ラブ・シンフォニー』(作・演出/中村一徳)の二本立て。最終日は12月24日の東京公演で、奇しくもこの日は1年早く退団した同期の朝海ひかると同じラストディになる。

0612haruno3

 退団の会見には小林公一宝塚歌劇団理事長が同席。まず理事長から、そして春野寿美礼からの挨拶がある。

小林「昨日発表いたしましたとおり、宝塚花組主演男役スター春野寿美礼が12月24日の東京千秋楽をもちまして退団することになりました。
 彼女は93年の宝塚の歴史のなかでも代表的な、正統派の二枚目であり、品位風格のあるスターとして、花組をそして宝塚歌劇を大いに支え、そして盛り上げてくれた功労者の1人だと思っております。その彼女が、千秋楽の日まで立派に華やかに舞台を務められますように、皆さまのご支援、ご愛顧を賜りますよう、とろしくお願い申し上げます」

春野「本日はお忙しいなかお集まりいただまして、まことにありがとうございます。12月24日の東京千秋楽をもちまして、宝塚歌劇を卒業させていただく運びになりました。最後の日まで、宝塚歌劇の花組の男役春野寿美礼として、一生懸命舞台を務めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします」

 続いて記者からの質疑応答が行われる。

0612haruno2

──退団の理由と今の気持ちを。

春野「退団の理由は、私が主演男役に就任させていただいたときに、自分のなかで5年間できたらどうだろうかという気持ちがありまして、その5年間というのは、自分の男役としての芸を磨くために必要な日数、それから主演男役が代われば、組のなかの雰囲気も変わりますので、組の人たちとの絆を深めるための日数に、それだけの期間がいるのではないかなと思ったので。
 その5年目という年月が過ぎまして、今、立ち止まり自分自身を見つめてみたときに、もう十分私のなかで身も心も満たされていて、卒業する時期なのではないかなと思い、自分で決断をさせていただきました」

──サヨナラ公演のタイトルは『アデュー・マルセイユ』とありますが、意識したものですか?偶然ですか?

春野「偶然です(笑)」
小林「退団を意識したというのではなくて、たまたまそういう題名になったということです」

──サヨナラ公演でぜひ伝えたいということは、なにかありますか?

春野「つねに、私のありのままの姿をファンの皆さまにお見せしていきたいと思っておりますので、役を通してですけれど、素直な気持ちで舞台に立って、最後の公演をさせていただきたいと思っております」

──宝塚歌劇の春野寿美礼としてラストスパートに入るわけですが、これからの半年をどのように過ごしていきたいか、目標のようなものは?

春野「そうですねー…、今日こうして皆さまの前で、卒業するということを発表したことによって、私のなかで本当に終着駅が見えたというか、そういう気持ちで今本当に気持ちが穏やかというか、そういう雰囲気でいさせていただいてますので、自分自身を取り繕うことなく、素直に一生懸命舞台に立つために公演のお稽古に励んで、宝塚歌劇団の男役春野寿美礼として燃焼していきたいと思っています」

──千秋楽をどのような気持ちで務められたら最高だと思いますか?

春野「今はまったく想像がつかないのですが、でも私らしく華やかに、笑顔で、最後の舞台を務めたいと思っています」

──ファンから聞いてほしいということで、トート、ファントム、アンドレ、光源氏など宝塚歌劇を代表するような役が多いのですが、すべての役のなかで一番好きな役、印象的な役は?

春野「どの役にしても1つ1つ魅力に思う部分は違うので、どの役も好きですが…。本当は初舞台のロケットに始まり、通行の役から、ショーの群舞から、主演させていただいた役まで、全部好きなんですけど。
 一番好きなのはやっぱり、ちょっと自分が変わるきっかけになった役で、コンサートのオサダくんという役ですね(笑)」

──ファンからは退団後も歌だけはぜひ続けてほしいという声がありますが。

春野「はい、そうですね……。まだちょっと先のことはわからないんですけど…そうですね。今はまだ先のことを考えてなかったので、またゆっくりと考えていきたいと思います」

──理事長にうかがいますが、今後の予定で特別な、春野さんのイベントとかCDとか予定は?
小林7月の梅田芸術劇場のあと、すぐに次の公演の集合に入ってしまいますので、TCAへの出演だけですね」

──ファンのかたはもう少し春野さんをいろいろな形で堪能したいのではないか?

小林「なんといっても本公演がいちばん大事ですので、そこで春野寿美礼の最後をきちんとお見せすることが、ファンのかたにとっても大事だと思います。
 それを中心に、もし日程的に可能なことがありましたらと思いますが、彼女も生身の人間なのでスケジュール的にできることがどこまであるかとは思いますが。今はこれということはまだありません」

──初舞台からの17年間が、春野さんにとってどういう意味があったかを。

春野「本当に短かったようで長かったような、この宝塚での17年間だったのですが、もちろん私は宝塚歌劇が大好きで、大きな憧れを持って、でも何もわからないまま宝塚歌劇団に入団して、ひたすら一番初めに宝塚を観たときの感覚、わくわくどきどきとした感覚を忘れずに入団しても自分の夢をずーっと追いかけ続けてきて、もう本当に宝塚しか私にはないという毎日だったんですが。
 じゃあ、そこで芸のことしか、舞台のことしか身につけなかったかというとそうではなくて、本当にいろいろな経験を通して人間としても成長する場でもあったんだなと。
 入団当初は16才とか17才というような子供だったんですけど、今こうしてこれだけの年数が経って、今の自分があるということは、17年間、宝塚で学んだことは素晴らしいことだったなと思っています」

──退団を決められた時期というのは?

春野「先ほどもお話ししたように、5年でというのは私が勝手に最初に決めてて、つねに頭のすみに思ってやってきたところがありますので、けっこう早い時期から劇団のほうとお話をさせていただきました。
 そして、いろいろな状況を見ながら、ではこの時期はどうだろうというので決めたのですが。でもだいたい1年半前くらいに、私のほうから、お話を初めてさせていただきました」

──去年、たくさんの主演のかたがやめて、そういうことも関係あったのでしょうか?

春野「そのときはとても寂しかったですね。周りの皆が退団していくのが寂しかったんですが、私はまだ退団できないという、そんな感覚で…。
 私が退団するのはまだもうちょっと先だから、それまで自分自身を磨かなくてはいけないなと…。でもちょっとつらかったです」

──組の人には退団のことは言ってあるのですか?

春野「まだこれからです。今日が『あさきゆめみしII』の集合なので、そのときに皆に言うと思います」

──先のことはまだわからないということでしたが、夢とか理想で、女優、歌手、または結婚したいとかありますか?

春野「(笑)、まったく決まってません。自分で何をしたいのか、何をしたらいいのか、そこまではまだ考えられなくて。
 でも私が何をするにしても、ちゃんと自分自身を見失わないで、自分で歩いていける道を探したいと思っています」

──昨年、たくさん退団があって寂しかったと。そして今年また新しいトップのかたが生まれていますが、後輩が育ってきたことも決断の1つの決め手に?

春野「はい。花組のなかでも私なりに様子を見ていて、下級生たちがどんどん力をつけてきて、エネルギッシュに舞台に立っている姿を見て、任せられるんじゃないかという思いも私のなかにありました」

──5年間で春野寿美礼として、また花組として、どんな達成をみたか?

春野「主演男役に就任したときに、芸としても人間としてもまだ足りないものがたくさんありまして、そこをまず修得していこうという意識が働いていたので、きっちりやってて、また組の皆もそういう私によくついてきてくれたのですが、どんどん年月が経つごとに、自分のなかで、今度は身につけてきたものを削ぎ落として、自分の本当の姿だけを残そうと意識が変わってきて…。
 私が変わるとまた組のみんなも、またよくついてきてくれて、私が感じたことややりたいことを組の皆に正直に言える状況になり、私が正直に接すると皆も私に意見してくれたり、本当に舞台をつくるのが楽しくなりました。したいことをしました」

──理事長にうかがいますが、次期(主演男役)の発表は?

小林「来年の年間スケジュールの発表をするときに、次期のことも、たぶんそこでということになると思います」

 春野は時折答えに言いよどむこともあったが、質問者の目を正面から見つめて、可能な限り正直に答えようという気持ちが、こちらにも伝わってくる。笑顔も何回か見られたが、やはり寂しげな表情がふとよぎったり、話の内容によっては涙をこらえるような表情も見えた。

 最後に、質疑応答のあとの写真撮影で、記者から「その服装になったのは?」と声が飛んだとき、「素直な気持ちを」と爽やかな笑顔で答えていたのが印象的だった。(文・榊原和子)

0612haruno4

《関連情報》
妖しく美しい春野寿美礼の光源氏に期待 『源氏物語 あさきゆめみしII』制作発表
『源氏物語 あさきゆめみしII』(宝塚歌劇花組)

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/06/09 15:48:42 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | | トラックバック (0)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 身も心も満たされ決断 春野寿美礼退団記者会見: