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2007年6月22日 (金)

中本千晶のヅカ★ナビ!

《上級編》タカラヅカ男子部

レベル:★★★(上級編)
分野:知られざるタカラヅカ史
対象:「一度あのメイクと衣装で宝塚大劇場の舞台に立ってみたい」と心密かに思っている男子。

 タカラヅカといえば「男子禁制」。
 ・・・といっても実際には演出家をはじめとしたスタッフは男性も多い。だが、少なくともあの舞台に立てるのは女性のみと決まっている。
 たまに大道具のトラブルなどで、スタッフの男性の姿が舞台上にちらりとでも見えようものなら、それだけで「おお、タカラヅカの舞台に男性が!」 と客席がどよめいてしまうくらいのもんである。

 だが、そんなタカラヅカの舞台にも男子を!という動きが昔あったことは、マニアなヅカファンでもあまり知らないのではないだろうか。
 戦後まもない1945年からの9年間、なんと宝塚歌劇にも「男子部」が存在したのだ。

 驚くべきは、「宝塚歌劇に男子を」という主張の急先鋒が、劇団創始者の小林一三本人であったという点だ。
 小林は「誰もが楽しめる『国民劇』をつくるためには、いずれ男性の加入も必要不可欠だ」 と考えていたらしい。少女歌劇いいだしっぺの小林でさえ、心のどこかで「女性だけの宝塚では、おんな子どもの芸の域を抜け出せない」 という引け目があったのだろうか?

 だが、生徒にもファンにも、この考えに賛同する者はほとんどいなかった。おりしもこの時期、ホンモノの馬も舞台に登場した大作「虞美人」春日野八千代主演の「源氏物語」といった話題作も登場。小林自身が「やっぱり女性だけでもいけるかも~」 と考えを改め、結局、男子部は1954年に解散が決定する。
 男子部のメンバーは、陰コーラスにちょこっと登場したことはあるものの、結局、宝塚大劇場の舞台に立つことは一度もなかった。

 この点を取り上げ、かつて男子部に在籍した人を丹念に取材した本が「男たちの宝塚」(辻則彦/著・神戸新聞総合出版センター)だ。
 もし、この本が出なければ、宝塚「男子部」でがんばった人たちのことは歴史から忘れ去られてしまっただろう。決してベストセラーになる類ではないテーマにスポットを当て、地道に丹念に取材をし、事実を掘り起こしていく仕事は、すごく意義のあることだと思う。

 私も拙著執筆時にこの本を参考にさせていただき、著者の辻則彦氏にひとり密かに敬意を表していたら、なんとこの本が舞台化されるというではないの!
 それが、今、ル テアトル銀座で6月24日まで上演中の「宝塚BOYS」だ。で、これがまた追加公演も決定するほどの大人気で二度びっくりである。

 私は、「男たちの宝塚」を読んだときから、「男子部にいた人たちの努力って、いったい何の意味があったんだろう?」 と、ずっと考えていた。結果として実を結ばなかった努力、後の人たちにも決して注目されることのない日陰の努力。

 だが、このたび「宝塚BOYS」を観て、彼らの9年間には少なくとも2つの意味があったんだと得心した。
 ひとつは、言葉は悪いけど「女性だけの特別な劇団」として宝塚が成長するための「踏み台」としての役割を果たしたのではないかということだ。
 「男の人が入ってくるなんて!」 という危機感ゆえにタカラジェンヌもがんばった、それが宝塚ならではの男役の美学に磨きをかけていった側面はあるのではないか。

 今じゃ揺るぎのない「女の園」も、じつは一朝一夕にできるもんじゃない、数限りない試行錯誤の積み重ねのうえに今があるのだ。その、当たり前といえば当たり前の事実に改めて気づかされた。

 そして、もうひとつは、彼らの生き様が、半世紀ほどたった今、こうして舞台化されることで多くの観客に感動を与えているということだ。
 だから、
「あなたの人生もあながち無意味なもんじゃないですよ!」
 と、星野くん(吉野圭吾くん演じる「宝塚BOYS」のイケメンダンサー)あたりにいってあげたい気持ちでいっぱいの私です。(中本千晶)

☆ステップアップのための宿題☆
「宝塚BOYS」ご覧になった方は「男子部のみんなはその後どうなったの?」と気になることでしょう。やはりダンスや芝居、映画、音楽の道に進んだ人が多いようですが、なかには小学校の校長先生になった人やタカラジェンヌと結婚した人も!

◆宝塚BOYS
 2007年6月24日までル テアトル銀座 以降、各地を巡演
 詳しくは⇒ http://www.takarazuka-boys.jp/
男たちの宝塚―夢を追った研究生の半世紀
 

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/06/22 11:00:00 中本千晶のヅカ★ナビ! | | トラックバック (1)

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