榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
圧巻の『明日へのエナジー』 星組博多座『ネオ・ダンディズム!II』
星組博多座公演初日(8月1日)
『ネオ・ダンディズム!II』
(⇒星組博多座公演『シークレット・ハンター』レビューより続く)
星組博多座公演、ショーの方は、ロマンティック・レビュー『ネオ・ダンディズム!II』で、“男の美学”をモチーフにした岡田敬二のレビュー。
前星組主演男役・湖月わたるのサヨナラ公演だったものを、安蘭けい用にこちらも変更してある。変わった点は2場面で、湖月へのオマージュとなった「惜別」のシーンが「明日へのエナジー」に差し替えられ、フィナーレのダンス前に安蘭が歌った「オール・バイ・マイセルフ」が「ポゴシップタ─会いたい─」に変わった。
そのほかの部分は、湖月のパートに安蘭が、白羽ゆりのパートは遠野あすかが入り、場面構成は宝塚東京劇場版と同じものになっている。
安蘭けいはドラゴン模様の白のチャイナ服も美しく、紅のチャイナドレスの遠野あすか、紫のチャイナ服の立樹遥とともに、オープニングからこのショーの耽美な世界を浮かび上がらせる。そういう意味では、湖月版とはまた違った、やや背徳的で陰影の濃い“ダンディズム”を感じさせるショーになっている。
また、男役の二番手ポジションの立樹だけでなく、その次に位置する涼紫央も、安心できる歌唱やダンスで存在感は大きい。そして、それぞれのポジションアップにともない、若手男役の綺華れい、和涼華、天緒圭花、夢乃聖夏、麻尋しゅん、美弥るりかなどがフィーチュアされているのは新鮮だ。
女役も琴まりえがダンス場面で大活躍。また毬乃ゆい、涼乃かつきといったベテランから、キューティー8に登場する若手娘役たち、梅園沙千、純花まりい、南帆さり、妃咲せあら、花ののみ、八汐ゆう美、羽桜しずく、白妙なつまでそれぞれスポットを浴びている。
そんな元気な若手や、組長以下のベテランまで、一致団結して見せてくれるシーンが「明日へのエナジー」。かつて宙組スタート時に作られ、その後ベルリン公演でも踊られた名ダンスシーンは、やはり圧巻だ。「ハレルヤ、ハレルヤ」と歌い上げるエネルギッシュなコーラスとパワフルな群舞が、安蘭けい以下38名(次の場面をまかされている遠野あすかをのぞく)の星組生によって炸裂する。力強いゴスペルで、前進するように跳ねるように、コートをひるがえすように踊り狂う出演者のピュアな熱さ。音楽・甲斐正人、振付・謝珠栄により、ちょうど10年前に作られたものだが、衰えない名場面の力を改めて感じさせてくれる。
また、安蘭けいが客席に登場して歌う「ポゴシップタ」も、胸に沁みるいい場面だ。韓国ドラマ『天国への階段』の主題歌として有名で、星組韓国公演の際に安蘭が歌って好評だったものだが、韓国語と日本語で甘く切なく歌い上げる。
さらに、フィナーレは男役ならではの黒エンビによるボレロ、そして安蘭・遠野の「真情真美」の優雅なデュエットダンスと続き、これぞ宝塚といったシーンが満載だ。
エトワールは琴まりえで、パレードも銀橋がないぶん客席との距離が近く賑やか。観客からの反応も熱い博多座公演ならではの、劇場が一体となる楽しさが、たしかにそこにあると感じる公演だった。(文・榊原和子/写真・岩村美佳)
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◆星組 博多座公演◆
ミュージカル『シークレット・ハンター』-この世で、俺に盗めぬものはない-
作・演出/児玉明子
ロマンチック・レビュー
『ネオ・ダンディズム!II』-男の美学-
作・演出/岡田敬ニ
・公演期間:8月1日(水)~8月23日(木)(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
《関連情報》
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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2007/08/06 15:06:17 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)