榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
新しいタンゴの世界を堪能 星組『レビュー・オルキス―蘭の星―』
星組宝塚大劇場初日(11月2日)
『レビュー・オルキス―蘭の星―』
(⇒『エル・アルコン―鷹―』初日レビューより続く)
ショー『レビュー・オルキス-蘭の星-』の作・演出は草野旦で、タンゴと蘭をテーマに作られている。振付に、世界三大オペラ劇場の一つであるアルゼンチンのコロン劇場から、バレエ団の芸術監督を務めるオスカル・アライス氏を招聘していて、これまでにない新鮮な振付けのタンゴを見せてくれる。
テンポが速く難易度が高そうで、コンテンポラリーの傾向も入ったオスカル氏のタンゴは、出演者の出来には、まだばらつきがあるように見える。だがレベルの高いダンスだけに、こなれてきたら、アルゼンチン・タンゴの深い魅力を伝えてくれるショーとして、高い評価を受けるのではないだろうか。タンゴ好きには、どこを切っても出てくるあの独特の旋律やリズムがたまらないのだが、同じ曲調が続くので、タンゴに愛着のない観客には、メリハリのないショーとして捉えられてしまうかもしれない。そこがこのショーを好きか嫌いかを分けることになるだろう。
オープニングは「美しき日」。草野作品に定番の老夫婦で、ラゲララ・安蘭けいとカトレア・遠野あすかがブランコに乗って出てくる。2人の可愛らしさで救われているものの、既視感に襲われてしまうこのパターンは、作者としてもショーのなかでの使い方を、そろそろ検討し直すべきだろう。
ラゲララとカトレアが語るのは“蘭の星”の話。彼らが出会って、恋をした星についての思い出である。いつしか場面は若き日のラゲララとカトレアになって第二場「蘭の星」へ。
白い鳩の群れが踊る清廉なオープニング。その群れのなかに若き日のラゲララ・安蘭が、ピンクの衣装で鮮烈に立っている。同じピンクの衣装で遠野あすかが花道に登場。そして、柚希礼音、立樹遥、涼紫央たちを中心に、蘭を讃える「聖オルキスの祭」が、星組メンバーの総踊りで華やかに繰り広げられる。
やがて場面は「オルキス通り」に変わり、夜の町で遊ぶ男たちは柚希、和涼華、彩海早矢など若手男役たちが加わり、オスカル氏振付場面のオープニング。
「クラブ・蘭~夢」は酒場での男たちのドラマが、粋にムーディーに踊られる。クラブ蘭の客で金持ちのマダム・涼を射止めようとする若者たち、マダムは1人の男・柚希とデュエット。涼のアダルティなマダムぶりが目を引く。やがて男女のタンゴ群舞に。ピアソラの曲を踊る女たちは、白いドレスにブルーのストッキングで悩ましい。
そのクラブをラゲララが訪れる。安蘭と男役5人との争いのダンスは、ソフト帽も粋に、キレとしなやかさを見せるかっこいいシーンだ。安蘭とからむ5人には、立樹遥、綺華れい、鶴美舞夕、夢乃聖夏、麻尋しゅん。やがて傷つき倒れるラゲララの背後に、流れ星が1つ、2つと尾を引いて落ちてゆく。その幻想的な空間を、静かに横切っていく1人の美女。ただ歩いていくだけの羽桜しずくが鮮烈なイメージを残す。
オスカル氏の振付けはこのあとの「踊るカトレア」まで続いて、カトレア・遠野とオンブレ・柚希のユニークなダンスが踊られる。
場面が変わって「密林に咲く蘭」。密林に迷い込んだカトレアの前に、鮮やかな蘭の花やさまざまな鳥たちが現れる。密林の女王・南海まりの短いが美しいソロが聞けるシーンだ。男役の綺華、鶴美、夢乃、麻尋が扮した極楽鳥も華やか。森には華麗で妖しい宮殿があり、そこに英真なおき・万里柚美をはじめとする中年?カップルが登場、コミカルかつ楽しく踊り歌う。そのなかに姿を現すラゲララ。だがカトレアとはまだ出会わない。黒いファーを身につけた安蘭や、虹色の羽根を背負って美しい脚を見せる遠野。それぞれにこの森の魔力のなかで鳥に化身したかのような姿が魅力的だ。
そのまま「密林に咲く蘭」は続き、立樹・涼が銀橋で歌えば、柚希は愛のタンゴを踊る。「リベルタンゴ」の心躍るリズムのなか、全員がカラフルな衣装でダイナミックな総踊り。そのまま黒い鳥のロケットへなだれ込むという賑やかな中詰めだ。
再びオスカル氏による振付で、タンゴ指導のようなコーナー「オルキス・ダンス」。安蘭けいと琴まりえが楽しく、だが脚さばきの難しいタンゴを見事に踊ってみせる。
そして、ショーの大詰め、ラゲララとカトレアが結ばれる「愛の蘭」へ。黄色の衣装が鮮やかな激しい群舞や、柚希を中心にジャケットを使った小気味のいいダンスなど、オスカル氏振付けによる都会の喧噪と孤独が踊られるなか、ラゲララとカトレアはついに出会う。
恋に落ちたラゲララは、人ごみから抜け出すように1人に。愁いを秘めた安蘭けいのソロが踊られる。やがてハッピーエンドになり結ばれるラゲララとカトレア。周りにはたくさんのカップルが集まって、アモールを踊る。愛が成就したラゲララとカトレアの白い蘭のデュエットは、ひたすら清楚で美しい。
ショーのエピローグは、再び最初に出てきた「オルキス通り」。立樹・涼を中心としたカラフルな衣装の男たちが歌っている。和涼華や彩海早矢をはじめとする12人の若手男役たちが、キラキラと魅力を振りまいてくれる。
オープニングと同じ「美しい日」へと戻ると、老夫婦のラゲララとカトレアが現れ、蘭の星=地球へと帰りたいと歌う。その背後に大きな蘭の花が浮かび上がって、しみじみとしたラストだ。
フィナーレは大階段に並ぶ黒エンビの男役たちの「ラ・クンパルシータ」に始まり、紅いドレスの女役たちが加わってのシックなタンゴ。続いて主演コンビ、安蘭けいと遠野あすかのデュエットが優雅に大人っぽく踊られる。賑やかなパレードでは、大きな雉羽根を背負った安蘭けいの登場でさらに華やかさを増して、新しいタンゴ世界を堪能させてくれたショーは幕を降ろした。(文・榊原和子/写真・岩村美佳)
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◆宝塚歌劇星組公演◆
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
グラン・ステージ
『エル・アルコン―鷹―』
~青池保子原作「エル・アルコン―鷹―」「七つの海七つの空」より~
原作:青池保子(プリンセス・コミックス)
脚本・演出/齋藤吉正
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
グラン・ファンタジー
『レビュー・オルキス―蘭の星―』
作・演出/草野旦
・宝塚大劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:11月2日(金)~12月15日(土)
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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2007/11/11 23:41:37 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)














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