プレシャスインタビュー
ミュージカル『蜘蛛女のキス』演出・荻田浩一さん(後編)― 男女の枠組みを超えて
東京芸術劇場で上演中のミュージカル『蜘蛛女のキス』の演出を手がけた荻田浩一さんインタビューの後半は、2人の男性モリーナとヴァレンティンの関係についてなど、引き続き『蜘蛛女~』のお話と、宝塚でのショー作りで考えていることなどを伺いました。
『蜘蛛女のキス』東京公演は11日が千秋楽。16日からは大阪公演が梅田芸術劇場でスタートします。
(インタビューより)
―― この作品の主人公である同じ監房に入れられた男2人についてはどのように解釈していますか?
モリーナってとても弱い人だと思うんですよ。未熟だし、愚かだし、ずるいし、みじめだし、でもそういう人間の本当の美しさというか、最後に彼が持っている本当の勇気、気高さ、それに尽きますね。現実から逃げようとしているし、本当に弱い。そんな人間が最後に1回だけ奇跡をなしとげてしまう。その奇跡の代わりに人生をそこで閉じてしまうわけですけれど、その一瞬のなんともいえない気高さが、モリーナです。
対するヴァレンティンも、信条を守って雄々しく人生に立ち向かおうとしてるわけですが、でも彼が抱えている本質的な弱さ、ずるさもあって、かなり卑怯で人間としての醜さを露呈しています。
―― どこか本質的な、男の人の持つ弱さがヴァレンティンにはありますよね。ポキンと折れそうな。だからモリーナから見ると放っておけない。
そういう意味ではモリーナの方に男気があるんです。でも僕は、この物語は最終的には男女という枠組みを超えて、つまるところ人間対人間というところになるのかなと。つまり恋愛でさえない。
ミュージカル版を観て思ったのですが、ストレートプレイや原作での2人は疑似恋愛関係なんです。スィートな感じ。でもミュージカル版は関係を持つことでヴァレンティンがモリーナを利用しようとする心理的背景が明示されている様が決定的に違っていたんです。それゆえにミュージカル版のほうが2人の愛が痛ましいとは感じます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
インタビューの全文はアサヒ・コム プレミアム「ベーシックパック」の「宝塚プレシャス」でご覧いただけます。
⇒インタビュー全文を読むにはアサヒ・コム プレミアムのID登録とベーシックパックのご購読が必要です。登録はこちらから
ミュージカル『蜘蛛女のキス』
《東京公演》
期間:2007年11月2日(金)~11日(日)
場所:東京芸術劇場 中ホール(⇒劇場のHP)
《大阪公演》
期間:2007年11月16日(金)~18日(日)
場所:梅田芸術劇場 メインホール(⇒劇場のHP)
出演:石井一孝、朝海ひかる、浦井健治、初風諄、藤本隆宏、朝澄けい ほか
原作:マヌエル・プイグ
脚本:テレンス・マクナリー
作詞・作曲:ジョン・カンダー&フレッド・エッブ
演出・訳詞・上演台本:荻田浩一
お問い合わせ:宝塚クリエイティブアーツ 0797-83-6000(10:00~17:00 水休)
⇒制作発表レポートへ《関連記事》
■《インタビュー》朝海ひかるさん ― ミュージカル『蜘蛛女のキス』に出演
■《インタビュー》ミュージカル『蜘蛛女のキス』演出・荻田浩一さん ― 絡まり合う糸のように
■《公演情報》朝海ひかる「新しい蜘蛛女のかたちを作っていければ」 ミュージカル『蜘蛛女のキス』製作発表
■《ジャーナル》朝海ひかる 等身大の今 『PRIMARY COLORS』
■《レビュー》沢山の夢をありがとう 『朝海ひかるサヨナラショー』
■《レビュー》清々しくも毅然として 朝海ひかる退団会見&パレード
■《レビュー》演じ手への愛があふれる傑作 雪組『タランテラ!』
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/11/06 8:00:00 プレシャスインタビュー | Permalink | トラックバック (0)