中本千晶のヅカ★ナビ!
《上級編》アデュー! 私を癒してくれた人
レベル:★★★(上級編)
分野:現代「理想の男性」論
対象:イマドキの女性が男性に求めるものは?独身者もカップルも必読です。
今年のクリスマス・イブ、花組のトップスター春野寿美礼が宝塚を卒業した。
花組で5年もの間、堂々トップをつとめ、一時代を築いたといってもいいスターだが、タカラヅカを一度も観たことがない人にとっては「ビザカードの広告のお姉さん」といったほうがわかりやすいかもしれない。
だが、ビザカードのイメージキャラクターとして登場する彼女は、どちらかというと「楚々とした優しそうなお姉さん」という風情。
とてもタカラヅカでの男役ぶりが想像できないんじゃないだろうか?
そんな春野寿美礼の「男役としての魅力」については、彼女の舞台を観るたびに、ずーっと考えさせられてきた。
どちらかというと小柄で優しげな立ち姿。いったい何が、日々2000人余りの観客を惹き付けてきたんだろう?
サヨナラ公演「アデュー・マルセイユ」のプログラムの中のインタビューの「どのような男役像を目指してきましたか?」 という問いに対して、彼女はこう答えている。
「私が最も重視してきたのは男役の格好良さというものより、頂いた役や巡りあった作品に自分がどう向き合い、それを如何にお客様にお伝えしていくのかという事でした」
なるほど、と思った。
世間で言うところの「男らしさ」からはみ出してしまうような、男のナイーブで繊細な部分まで包含した、等身大の男性を描くこと。
それが春野寿美礼流の男役の美学だったんだ。
だから逆に、彼女の演じる男役は、世間でイメージするところの「男らしい男」以上に、リアルに「男らしい」。
考えてみれば、彼女がこれまで演じてきたのは、「強い」「たくましい」といった形容詞よりも、むしろ「繊細」「孤独」「危い」といった形容詞が似合う男たちばかりだった。
「不滅の棘」のエロール然り。
「マラケシュ・紅の墓標」のリュドヴィーク然り。
博多座公演で演じた「あかねさす紫の花」の中大兄皇子は、むしろ権力者の孤独と弱さを前面に押し出した中大兄だった。
「エリザベート」のトート役は歴代のどのトートよりも物寂しげなトートだった。
そして、その集大成ともいうべき「アデュー・マルセイユ」のジェラール。
そして、観客の側の女たちもまた、男に「男らしさ」を期待しなくなってきている。
むしろ、男に求めるのは「優しさ」であり「癒し」だ。
春野寿美礼が描いてきた男役は、そんな現代の女性たちのニーズにぴったりとはまった。
その意味で、彼女は誰よりも現代的なスターだったのだと思う。
アデュー! 春野寿美礼。
その男役像はタカラヅカの歴史にくっきり刻まれることでしょう。(中本千晶)
☆ステップアップのための宿題☆
10年ほど前、「サザンクロス・レビュー」というショーで春野寿美礼さんが舞台の端でニッコリ微笑んでくれた、その笑顔のことを今でも覚えてます。やっぱり宝塚は若手から要チェックです!
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/12/28 11:00:00 中本千晶のヅカ★ナビ! | Permalink | トラックバック (0)





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