男役の行方~正塚晴彦の全作品
WANTED
- 月組公演
1994年8月~9月 宝塚バウホール - 主な配役
- ニコル・シドラン…久世星佳
ティナ…風花舞
ルカ…姿月あさと
漁師・ティナの父エミリオ…美郷真也
ティナの母オルタンス…夏河ゆら
イザベル…美原志帆 ほか
- 作曲・編曲:高橋城
- 振付:謝珠栄
- 振付:伊賀裕子
- 振付:上島雪夫
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:勝柴次朗
1994年のバウ第8作、月組の『WANTED』では、男同士の親友が、実は主人公を陥れる者だったという恐るべき話に発展する。舞台はイタリアである。
久世星佳演じる一匹狼のアウトロー、ニコル・シドランは、マフィアの幹部を殺したという疑いを当のマフィアに抱かれた。これは濡れぎぬである。しかし弁明の利くような相手ではない。彼らは警察より怖い。つかまれば裁判抜きで死刑になる。
ニコルは長距離列車で逃げる。すると同じコンパートメントに乗り合わせた考古学者が、自分の仕事について何かと話しかけてきたあげく、心臓麻痺で急死するので、この男になりすまし、彼が目指していた漁村にもぐり込む。そこは「いままで謎とされてきた古代文明の遺跡」だというが、学者の態度にはどことなくうさん臭い感じがあった。
ドラマは、ニコルのモノローグを軸に運ばれていく。これは彼の心の声なので、録音が使われている。
モノローグには2つの役割がある。第1に、逃避行をテンポよく描き、それ以前のいきさつはモノローグの回想の中に適宜織り込むことで、冗長さを防ぐことができる。回想の中に浮かぶのは、スラム街の少年時代以来の親友、姿月あさとのルカである。
第2に、回想は過去の事実そのものではなく、過去の事実を巡る思い込みである。そこに新しい情報が加わると、新しい視点で過去を見直すことになる。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
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■正塚晴彦作品リスト
■はじめに~宝塚の新しい時代に向かって
■暁のロンバルディア―愛が蘇るとき―
■イブにスローダンスを
■アンダーライン
■テンダー・グリーン
■パペット―午前0時の人形たち―
■WHAT'S THE TITLE…!
■BLUFF―復讐のシナリオ―
■ロマノフの宝石
■銀の狼
■メランコリック・ジゴロ―危ない相続人―
■ブラック・ジャック 危険な賭け―手塚治虫原作より―
■二人だけの戦場
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2007/12/04 11:22:28 男役の行方~正塚晴彦の全作品 | Permalink | トラックバック (0)