榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
美しい水&白羽に爽やかなAQUA5 雪組『ミロワール -鏡のエンドレス・ドリームズ-』
雪組宝塚大劇場公演初日(1月1日)
『ミロワール -鏡のエンドレス・ドリームズ-』
(⇒『君を愛してる-Je t'aime』より続く。)
ショーの『ミロワール』は作・演出が中村暁で、「鏡のエンドレス・ドリームズ」と副題がつけられているように、鏡をモチーフにしたショーである。
構成はオーソドックス、開幕とフィナーレはレビュー調で、主演コンビのデュエットダンス、中堅や若手の活躍場面もあり、手堅い作りで安心感がある。そんなスタンダードな宝塚調に、新しい風を吹き込んでいるのが、昨年から活動していたユニットAQUA5をフィーチュアした部分で、新鮮さと現代的な感覚がこのショーのいいアクセントとなっている。
お披露目後の本公演では、これが初のショーとなった水夏希は、すっかり組の頂点としての落ち着きと華やかさを見せて、ときには爽やかにときにはアダルトに、その持てる魅力を十分に見せている。ヘアスタイルからアクセサリーまで、各場面で変化させているのもこの人らしいビジュアルへのこだわりで、公演中もまだまだ新しい工夫を見せてくれそうだ。
白羽ゆりは、正統派の美女らしく、ゴールドも赤も白の総スパンのドレスもみごとに着こなして見せる。また少し痩せたのか、金色の長手袋から見える二の腕の細さに驚かされる。デュエットダンスで水と寄り添うさまが板についてきたし、得意の歌では高音域もきれいに聞かせている。
この2人を中心に、AQUA5のメンバー彩吹真央、音月桂、彩那音、凰稀かなめがそれぞれ活躍の場をもらっている。また、ダンサーはダンス場面で、歌手は歌でと、得意分野をきちんと与えられていることも、このショーを心地よいものにしている要因だろう。そういう意味で作・演出の中村暁が、雪組をよく知っていて作ったショーだし、出演者もやりがいのある舞台だと思う。
プロローグは銀色のミラーの中、金色のドレスの娘役たちを先頭に、鏡の精の彩吹、音月、彩那、凰稀などが次々に飛び出し歌い継ぐまばゆいばかりのオープニング。
やがてセリ上がりで、金色のスパンコールに彩られた水が姿を現す。キラキラと煌めく光の洪水のなかでひときわ華やかだ。白羽もゴールドのロングドレスを優雅に着こなしている。2人のデュエットダンス。また水のソロダンスや、組子たちによる客席降りもあって、手拍子で一気にオープニングから盛り上がる。
場面が変わると、ピンクのスーツの彩吹が銀橋に登場、ソフトな歌声でデートへの期待を歌う。鏡に向かって身なりを整えていると、鏡の向こうに音月による影が登場。リズミカルな音楽とともに男の子がどんどん増えていく。一方の女の子側は大月さゆ、こちらも影の愛加あゆを筆頭に女の子がどんどん増えていく。可愛らしいシーンだ。
その次は、ANJUのシャープな振付が冴える「メドゥーサ」で、その目に見つめられると石になるという物語を、ドラマティックなダンスに仕立ててある。クールなイメージで人を射抜くメドゥーサは水らしくて魅力的。石にされる男女には、真波そら、緒月遠麻、大凪真生など8人の男役と、天勢いづる以下8人の女役が選ばれ、スピード感のあるダンスをよく踊っている。やがてメドゥーサは、1人の娘(白羽)に恋をするが、彼女も彼の目を見てしまい石になる。おのれの運命を嘆いて絶望するメドゥーサ、切ないラストが余韻を残す。
次は楽しい「白雪姫」の場面。彩那の白雪姫と凰稀のシンデレラが美しさを競い合う。銀橋に出てくる2人は男役とは思えないほど美しい。だが、その2人にも勝るような新しい美女として白羽が登場。この場面は、芝居の『君を愛してる』とリンクするお遊びもある。
美女として登場する白羽は、男役を率いて御織ゆみ乃振付のダンスをカッコよく踊る。ここからシーンはラテン風の「万華鏡」になる。カレードスコープをイメージしたものだが、華麗というよりは品がよくてモダン。曲目は聞き覚えのあるジャズのスタンダード・ナンバーばかりで親しみやすい。
水はソロダンスではワイルドさを、「ナイト&デイ」での白羽とアダルトなデュエットでは本領発揮。このナンバーを歌う未来優希と美穂圭子、彩吹のヴォリュームたっぷりの歌が嬉しい。また「シング・シング・シング」のコーナーでは、音月と凰稀の華やかさや、彩吹と踊る沙月愛奈のしなやかさとダイナミックさが印象的。
続く「AQUA」は、甲斐正人作曲の音楽がさわやかで壮大な場面。まず彩吹が、しみじみと水面に映る命を歌い、やがて本舞台に一滴の水=AQUAの水が姿を現し、しだいにAQUAが増えていく。平澤智振付の流れるようなダンスが美しく、AQUA5の5人の並びもあって目を楽しませる。AQUAに象徴される万物の命を讃えるようなラストが清々しい。
このショーは、音月と凰稀が対照の位置で登場することが多いのだが、ロケット前の歌唱も2人がゴスペラーズから贈られた新曲「AQUAの地球(ほし)」をリズミカルに歌う。その曲で可愛らしく踊るロケット、ここでも中心となる沙月のバネが目を引く。
フィナーレの大階段は、男役だけの黒エンビから始まる。AQUA5の持ち歌「TIME TO LOVE」がアカペラのコーラスで歌われ、転調するとボレロが始まる。オーソドックスだが、まさに宝塚の男役の美学そのもの、年の初めにふさわしいダンスだ。そして銀橋に1人残った水が歌うのは「追憶」、その歌に合わせて本舞台に登場した白羽とともに、エレガントなデュエットダンスを踊る。頬を寄せ合ってセリ下がるまで、美しいコンビぶりを堪能させてくれた。
大階段のエトワールは音月、若々しく丁寧に主題歌「MIROIRS」を歌い上げる。そして手拍子とともに、賑やかなパレードが展開。お正月らしい大きな雉羽根を背負って「AQUAの地球(ほし)」を歌いながら降りてくる水夏希。全員で再び主題歌「MIROIRS」を楽しく歌いながら幕を降ろした。(文・榊原和子/写真・岸隆子)
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◆宝塚歌劇雪組公演◆
ラブ・ロマンス
『君を愛してる-Je t'aime』
作・演出/木村信司
ショー・ファンタジー
『ミロワール』-鏡のエンドレス・ドリームズ-
作・演出/中村暁
・宝塚大劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:1月1日(火)~2月4日(月)
・東京宝塚劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:2月16日(土)~3月30日(日)
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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2008/01/08 9:21:30 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)











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