榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
安蘭けい初日会見「気持ちよく悪役を」―星組『エル・アルコン/レビュー・オルキス』
星組東京公演初日(1月2日)
『エル・アルコン─鷹─』
『レビュー・オルキス─蘭の星─』
正月2日、東京宝塚劇場で、星組の『エル・アルコン─鷹─』と『レビュー・オルキス─蘭の星─』が幕を開けた。
漫画家・青池保子の人気作品を齋藤吉正がアレンジした『エル・アルコン』と、オルキス=蘭をモチーフに草野旦が演出するタンゴで綴られたショー『レビュー・オルキス』の2本立てである。
豪華な衣装と迫力ある映像などがスペクタクル感を盛り上げる『エル・アルコン』は、宝塚では珍しいダーティ・ヒーローが主役。冷徹な野心家ティリアン・パーシモンを安蘭けいが男役の色気と美学を感じさせながら演じている。
またショーはアルゼンチンから高名な振付家オスカル・アライス氏を招いて、新鮮なタンゴを見せている。
その2作品で星組を率いて奮闘する安蘭けいが、初日前の通し舞台稽古を終えて、記者たちの囲みインタビューに臨んだ。まずは安蘭けいから、新年の挨拶がある。
「皆さま、新年あけましておめでとうございます。お忙しいところありがとうございます。星組、今日から2月11日までがんばりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」
続いて取り巻いた報道陣から質問が飛ぶ。
──正月そうそう、『エル・アルコン』のティリアン・パーシモンは、気持ちいいくらいの悪役ですが、宝塚の主役としては珍しい悪を演じる楽しさと苦労を。
「悪を演じるのは本当に楽しくて、どんどんどんどんエスカレートしていくんですけれど。そうですね、宝塚にはあまりない主役なので、それをお客様に受け入れていただけるかというのが課題なんですが、宝塚大劇場で公演してきて、嬉しいことにお客様が喜んでくださり、悪役なのに同情してくれるような役になったので。
東京ではまた、同情していただけるのかもしれませんが、同情よりはどちらかといえば、ムカツクほど憎んでいただけるようになれば(笑)。まあ、宝塚の主役なので、そうはいかないかもしれませんが、気持ちよく悪をもっともっとエスカレートさせたいと思っています」
──ショーの『レビュー・オルキス』は、コンテンポラリーなタンゴという感じですが、安蘭さんの見せ場の“タンゴ・レッスン”についてと、この公演であらためて知ったタンゴの魅力とか奥深さがあれば。
「私の見せ場は“おじいちゃんとおばあちゃん”のところなんです(笑)。そうですね、(ショーは)どうやって観せていったらいいかなと大劇場でも悩みながらやっていたのですが、客席参加型というか、少しお客様にも参加していただけるように、初めのところをもっていってたんですけど。その初めのところはともかく、“タンゴ・レッスン”のところはコトコト(琴まりえ)との掛け合いを楽しく、私たちも楽しいので、お客様にも楽しんでいただけるように踊りたいと思います」
──オスカル氏はタンゴについて、どんなふうに踊ると魅力的になるとか、おっしゃってましたか?
「そうですねー。タンゴは足の運びとかが難しいんですけど、今回はとくに私が思っているようなタンゴとはまた違って、本当にコンテンポラリーというか、バレエ的なダンスだったので難しかったですね。オスカル先生からは、心情を、内面を踊るようにというご指導があって。先生のおっしゃるニュアンスとかが、言葉が通じないこともあって難しかったのですが、みんな一生懸命先生の言葉に耳を傾けて、先生のニュアンスを汲み取れるようにがんばりました」
──お正月公演ということでは?
「舞台稽古が(12月)30日に終わって2日間のお休みがあって、あっというまだったんですけど、2日間でお正月気分を味わってしまったので、今日復帰するのにけっこう、自分で心配だったんですけど。やっぱり舞台に立つと全然引き締まってできるし、なにかお正月の陽気な空気のなかでは、自分も今年もがんばるぞ的に引き締まるので、舞台人としてはとても素晴らしい年明けを迎えられたなと思います」
最後にまた一礼して、記者たちの大きな拍手に送られて、安蘭けいは会見場をあとにした。(文・榊原和子/会見写真・吉原朱美/舞台写真・岩村美佳)
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◆宝塚歌劇星組公演◆
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
グラン・ステージ
『エル・アルコン―鷹―』
~青池保子原作「エル・アルコン―鷹―」「七つの海七つの空」より~
原作:青池保子(プリンセス・コミックス)
脚本・演出/齋藤吉正
NTT東日本・NTT西日本フレッツシアター
グラン・ファンタジー
『レビュー・オルキス―蘭の星―』
作・演出/草野旦
・東京宝塚劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:1月2日(水)~2月11日(月)
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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2008/01/04 14:30:58 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (1)
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