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2008年2月22日 (金)

榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー

ゴージャス、シック&パワー 宙組の色合い深まる『Passion 愛の旅』

宙組宝塚大劇場公演初日(2月8日)
『Passion 愛の旅』

(⇒『黎明の風-侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦-』より続く。)

 グランド・レビューと銘打たれただけあって、『Passion 愛の旅』はゴージャスな感覚と洗練されたシックさ、そこに大和悠河の宙組の若いパワーがうまく混ぜ込まれて、作・演出の酒井澄夫らしいレビューの美しさがどのシーンにも溢れている。

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 プロローグは、ミラーボールが2つ舞台上に運ばれてきて、こういう使い方もあったのだと思わせられる。轟悠が主題歌「Passion 愛の旅」を歌い、舞姫あゆみ大海亜呼がベル・エトワールで花を添える。美郷真也、寿つかさ以下、エンビの男役が登場して開幕だ。その流れのまま、大和悠河蘭寿とむ、北翔海莉が登場し、光溢れるシーンに入っていく。ここでは陽月華の代役を美羽あさひがつとめてがんばっている。まずは全員のパレードが華やかに繰り広げられる。

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 カーテン前に轟悠が1人残り「終わりなき愛の旅」を歌う。コーラスで後ろを彩る娘役たちは、音乃いづみ、和音美桜、藤咲えり、花里まな、百千糸、天咲千華

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 次の「大空へ」というパートは大和悠河の場面、士官候補生たちの卒業と出発の喜びを踊る。「愛と青春の旅だち」や「トップガン」を思わせるシーンで、躍動感や青春の輝きを表現する御織ゆみ乃のダイナミックな振付を、大和、蘭寿、北翔、十輝いりす、七帆ひかる、八雲美佳、早霧せいな、凪七瑠海、鳳樹いち、という若手男役たちが、また陽月の代役の美羽、大海、花影、舞姫あゆみ、愛花ちさき、琴羽桜子、綾瀬あきな、すみれ乃麗、という娘役たちが、実によく踊っていて、よくある設定なのに既視感がないのが素晴らしい。

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 次のシーンは一気に妖しい世界になる「砂漠の薔薇」。ストレンジャーの轟悠が赤い花を見つけると、そこに現れた不思議な道化・美郷真也に導かれてハーレムにたどり着く。美しいオダリスクに誘われて踊る。オダリスクは陽月の代役で男役の凪七瑠海だが、華奢な体型で美形、妖しいというよりは清楚な印象だ。
 この場面はKZUMI-BOYの振付とフォーメーションが絶妙で、仮面あり大きな帽子ありという、まさにアラベスクな世界。やがて夢から覚めたの手には赤い花が残されていた。こういう幻惑的なシーンに漂うエロティシズムと退廃感が、酒井澄夫独特のカラーだ。

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 再び大和が中心となり、元気な南国のカルナバル。色が氾濫するような衣装に負けない華やかさが大和悠の強み。蘭寿北翔とともに客席降りもありアピール、本舞台では陽月の代役の美羽を中心にカリオカの男たちが、「ブラジル」や「マンボ」といったおなじみの曲で踊りまくる。ここは宙組男役たちが勢揃いといった観がある。そしてカルナバルの夜も更けて、青年の大和は遠い思い出のなかの娘を歌う。難のあった大和の歌も、少しずつ上達していることがわかるような、しっかりした歌唱だ。

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 この賑やかなカルナバルから「ファンタジー」に変わる場面転換は、このショーの圧巻部分。盆に乗って光から闇が、喧噪から静謐が現れる。その闇の旅人のようなが静かに「黒いオルフェ」を歌い始める。その背後で、悩ましくシャドーの男女を踊るのは、珠洲、早霧、春風、蓮水、凪七、鳳樹、澄輝さやと、蒼羽りく。娘役は大海、舞姫、愛花、琴羽、綾瀬。振付は若央りさでシックだ。

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 いよいよフィナーレになる。北翔が主題歌を歌手として聞かせながら銀橋を行き、和音花影が可憐に従いカーテンの前のロケットへとナビゲートしていく。ロケットはフォーメーションも楽しく迫力満点。

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 続いて蘭寿とむを中心に、若手男役16人の迫力あるエンビのダンスが大階段で繰り広げられる。宙組カラーの紫が優雅さを感じさせ、少人数だからこそのエネルギーが、心地よい緊張感とともに伝わる。こういうシーンの真ん中で踊る蘭寿とむは、堂々たる貫禄が出てきた。

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 そしていよいよ今回の見せ場の1つ、大和悠河が女性役として轟悠と踊るのは「帰り来ぬ青春」 。人生の苦さと甘さを歌うシャンソンに、渋さが魅力の轟悠と若さが魅力の大和のイメージが重なるのが面白い。

 そしてフィナーレの最後は蘭寿北翔がまず金色のゴージャスな衣装で現れて銀橋で歌い、続いて大和が同じゴールドの衣装で、今度は男同士のデュエットを見せる。金色に包まれた4人の並びは眩しさいっぱいで、すっかりこのカルテットには酔わされた。またフィナーレ全体の振付は羽山紀代美で、宝塚の魅力をあますところなく伝える素晴らしいものだった

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 パレードは大和悠河轟悠を真ん中に、陽月華の代わりに美羽あさひが娘役の羽根を背負っている姿が印象的だった。

 大和悠河率いる宙組のショーは、前回がお披露目らしい初々しいものだったし、若手男役たちも健康な色合いが強かった。だが轟悠というスターのアダルトな面や神秘的な部分を取り込んだ今回のショーで、組全体のカラーにも陰影が深まった気がする。今回の刺激を、これから宙組子たちがどう反映させていくかが、とても楽しみになってきた。

 そして、怪我で休演となった主演娘役・陽月華の、順調な回復と万全の体調での復帰を心から祈りたい。(文・榊原和子/写真・岸隆子)

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◆宝塚歌劇宙組公演◆

ミュージカル・プレイ
『黎明(れいめい)の風』-侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦-
作・演出/石田昌也

グランド・レビュー
『Passion 愛の旅』
作・演出/酒井澄夫

・宝塚大劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:2月8日(金)~3月17日(月)

・東京宝塚劇場公演(⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:4月4日(金)~5月18日(日)

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投稿者 宝塚プレシャススタッフ 2008/02/22 1:24:31 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | | トラックバック (0)

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