男役の行方~正塚晴彦の全作品
ブエノスアイレスの風―光と影の狭間を吹き抜けてゆく…―
- 月組公演
1998年8月 シアター・ドラマシティ - 主な配役
- ニコラス・デ・ロサス…紫吹淳
ビセンテ警部…成瀬こうき(再演では汐美真帆)
マルセーロ…大和悠河(再演では霧矢大夢)
リカルド…樹里咲穂(再演では嘉月絵理)
イサベラ…西條三恵
リリアナ…叶千佳
エバ…美原志帆
フローラ…矢代鴻
ロレンソ…美郷真也(再演では光樹すばる) ほか
- 作曲・編曲:高橋城
- 編曲:宮原透
- 作曲・編曲:鞍富真一
- 振付:上島雪夫
- 振付:伊賀裕子
- 振付:御織ゆみ乃
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:沢田祐二
正塚晴彦は1998年から、大阪・茶屋町のシアター・ドラマシティ宝塚公演用に、4年続けて5本の作品を書き下ろした。
『ブエノスアイレスの風』(98年月組)、『Crossroad』(99年宙組)、『Love Insurance』(00年星組)、『Practical Joke』(01年月組)、『カナリア』(01年花組)。
この5本は、同時期の宝塚全体の中に置いても、演出家の系譜の中で見ても、ひときわ高い山脈を形作っている。傑作ぞろいといってよい。
しかもこれらの作品は、彼の年来の主題が必然的にもたらした成果で、作家の成熟を語りかけてくる。
年来の主題とは、主演男役が状況の変化のなかでどう生きていくかということである。
その際愛は、新しい生き方を見いだす大きな契機になるが、この2つは常に幸せに重なり合うとは限らない。愛には相手があり、彼の愛が相手の生き方とは相容れない場合も起こり得るからである。そのとき愛はどのような形になるのか。
『ブエノスアイレスの風』は同じアルゼンチンを舞台にする点で、1996年の宝塚大劇場星組公演『二人だけが悪(ワル)』の続編的性格を持っている。
紫吹淳の元ゲリラ、ニコラス・デ・ロサスが恩赦で出所してくる。『二人だけが悪』の軍事政権崩壊後、民政が回復した時期の物語かと思われる。軍事政権下のゲリラを演じていた紫吹は、ちょうど2つの作品の間に、星組から月組へ組替えになっていた。
舞台は初め暗く、名歌手矢代鴻の歌う高橋城作曲の主題歌『ヴィエント・デ・ブエノスアイレス』(ブエノスアイレスの風)が、心にしみるように聞こえてくる。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
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※次回『Crossroad―すれ違うばかりじゃやりきれない―』は08年3月11日掲載予定です。
■正塚晴彦作品リスト
■はじめに~宝塚の新しい時代に向かって
■暁のロンバルディア―愛が蘇るとき―
■イブにスローダンスを
■アンダーライン
■テンダー・グリーン
■パペット―午前0時の人形たち―
■WHAT'S THE TITLE…!
■BLUFF―復讐のシナリオ―
■ロマノフの宝石
■銀の狼
■メランコリック・ジゴロ―危ない相続人―
■ブラック・ジャック 危険な賭け―手塚治虫原作より―
■二人だけの戦場
■WANTED
■LAST DANCE
■ハードボイルド エッグ
■二人だけが悪(ワル)―男には秘密があった そして女には…―
■バロンの末裔
■FAKE LOVE―愛し過ぎず 与えすぎず
■SAY IT AGAIN―「ヴェローナの2紳士」より―
■デパートメント・ストア
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/02/26 8:59:55 男役の行方~正塚晴彦の全作品 | Permalink | トラックバック (0)