男役の行方~正塚晴彦の全作品
SAY IT AGAIN―「ヴェローナの2紳士」より―
- 雪組公演
1999年9~10月 宝塚バウホール - 主な配役
- ピエール・ヴァレンタイン…成瀬こうき
ビンス・プロテウス…朝海ひかる
シェリル・リード…貴咲美里
ジュリー・ヴァレンタイン…紺野まひる
ノーラ・ヴァレンタイン…灯奈美
美郷真也・未沙のえる・森央かすみ・未来優希・愛耀子 ほか
- 原作:ウィリアム・シェイクスピア
- スーパーアドバイザー:小田島雄志
- 作曲・編曲:高橋城
- 振付:伊賀裕子
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:沢田祐二
この1999年の雪組作品は、英文学者小田島雄志氏をスーパーアドバイザーに迎えて、中堅・若手の演出家がこの年バウホールで腕を競った「シェイクスピア・シリーズ」8作品の1つ(その第7作)だった。
8つの作品は原作に忠実な翻訳劇と、物語の背景を変えた翻案劇の2つに分けられる。『SAY IT AGAIN』は後者だった。
原作の『ヴェローナの2紳士』は上演されることが少ない。話の運びに無理が見られるからである。
ヴェローナに住むヴァレンタインという青年がミラノ大公の宮廷に出仕し、大公の娘シルヴィア姫と相思相愛になる。
ヴァレンタインと男同士の固い友情で結ばれていたプローテュースは、恋人ジュリアのため故郷にとどまっていたが、父の不意の命令に従って、後から同じミラノの宮廷におもむく。そこで彼はたちまち故郷の恋人を忘れ、シルヴィア姫に横恋慕する。
ミラノ大公は姫の意思を無視して、彼女を資産家と結婚させようとしていた。ヴァレンタインとシルヴィア姫は駆け落ちを計画する。横恋慕のプローテュースはこの計画を知って大公に密告する。ヴァレンタインは追放処分になり、マンチュアへ逃れる途中森の中で山賊たちにつかまり、彼らに慕われて頭目になった。
ヴァレンタインの後をシルヴィア姫が、その後をプローテュースと大公が、さらに故郷から出てきたジュリアが小姓姿に男装して追う。山賊たちは彼らを森の中で捕らえ、頭目のヴァレンタインは親友プローテュースの裏切りを初めて知り、怒りを爆発させる。
だがその怒りは友の謝罪ですぐ収まり、それどころか友情のあかしとして、シルヴィア姫を譲るとまでいい出す。
結局大公がヴァレンタインと姫の仲を認め、プローテュースは、男装して自分を追ってきたジュリアへの愛を回復する。すべてはハッピーエンドに終わるが、2人の親友の間の裏切りの深刻さと、許しの度を越す寛大さの落差が不自然で、上演を難しくしている。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/02/12 9:10:39 男役の行方~正塚晴彦の全作品 | Permalink | トラックバック (0)