作家オスカー・ワイルドが主人公の『WILDe BEAUTY~オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子~』は荻田浩一によるオリジナル・ミュージカル。インタビュー前編ではこのミュージカルで荻田が描いたワイルドの生涯をじっくり掘り下げて聞いた。後編では、浦井健治・朝澄けいら荻田作品の常連役者たちのこと、また宝塚の実験的作品として評判を呼んだ『A-"R"ex』について語ってもらった。
レベル:★★☆(中級編)
分野:近代文学
対象:かつての文学少女そして文学青年よ集え!
森鴎外の名作「舞姫」がタカラヅカで上演された。
昨年6月に宝塚バウホールでの上演が好評だったため、今年3月、東京の日本青年館での再演が決まったのだ。
現在上演中の『WILDe BEAUTY~オスカー・ワイルド、或いは幸せの王子~』は、作家オスカー・ワイルドを主人公に、荻田浩一が作り上げたオリジナル・ミュージカル。「ドリアン・グレイの肖像」や「サロメ」では退廃や耽美、ナルシシズムやエゴイスティックな愛を描き、その一方で「幸福の王子」(「幸せの王子」)のような献身的で無私な愛の世界も生みだし、一方、私生活では、19世紀後半の英国文壇で、若き天才作家として成功したものの、やがて同性愛の罪で下獄して、スキャンダルのなかでその命を終えたオスカー・ワイルド。そんな作家への荻田浩一ならではの興味と、この作品に描き出すものを聞いた。
いつもご愛読いただきまことにありがとうございます。
連載『男役の行方~正塚晴彦の全作品』は、4月1日(火)から連載を再開いたします。また、4月以降は隔週掲載になります。なにとぞご了承ください。
次回は『Love Insurance(ラブ・インシュランス)』 です。どうぞお楽しみに。
… (08/03/22)星組ドラマシティ公演初日(3月13日)
ミュージカル・ロマン『赤と黒』
きわめて“宝塚ロマン”な作品である。
原作の愛読者からすれば、背景となるフランス社会の描写にやや物足りなさを覚えるかもしれないが、膨大な原作を2時間という枠に絞り込み、焦点を主人公ジュリアン・ソレルの愛の軌跡に定めたアダプテーションは、さすが柴田侑宏の油の乗り切った時代の作品である(今回の演出は中村暁)。
そしてこの舞台のキャストたちが、作品の意図をよくわかって消化し的確に表現していることで、原作の魅力がきちんと伝わってくる。ところどころに混じっているアナクロなセリフやストレートな演出は、時代を感じさせたりもするのだが、それを補ってあまりある文学的香気がこの舞台にはあって、それこそが“宝塚ロマン”なのだ。
第94期初舞台生(44名)ラインダンス稽古場披露
今年の春に初舞台を踏む94期生の、ラインダンス披露が月組稽古場で行われた。
3月21日に初日を迎える『ME AND MY GIRL』が、彼女たちの晴れ舞台。その稽古も追い込みに入った3月15日に、先輩である月組生たちの前で、練習に練習を重ねてきたラインダンス(ロケット)が初めて披露された。
19世紀末のヴィクトリア朝ロンドンを背景に、作家オスカー・ワイルドの生涯を描いた『WILDe BEAUTY』が銀座・博品館劇場で上演中だ。演出を手がけるのはその独特の世界観にファンも多い宝塚歌劇団演出家の荻田浩一。そして、荻田作品とは宝塚時代から縁が深い朝澄けいが、この作品でオスカー・ワイルドが出会い愛した3人の女性を演じている。インタビュー後編では、荻田作品で共演が続く浦井健治のことや、荻田ワールドの魅力についてじっくり語ってもらうとともに、5つのQUESTIONに答えてもらった。
遅くなりましたが、3月8日にいただきましたお便りをご紹介します
レベル:★☆☆(初級編)
分野:資料研究
対象:第一級の公演資料ですが、ひいきスターの成長アルバムでもあり。
最近になって急に宝塚にハマったというYさん(男性)が「宝塚ってプログラムもすごくお得ですよね~」としきりに感心している。
彼いわく、場面ごとの出演者名、役名が事細かに掲載されている点がすごい!というのだ。
「ベルばら」つながりで、あるモノを発見した雅 幸姫さんからお便りをいただきました
昨年ついに日本公演を果たしたウィーン版ミュージカル『エリザベート』。ダイナミックな舞台装置や迫力ある歌と演技に魅せられた人も多かったことでしょう。出演者たちも『エリザベート』の枠を超え、ライブや舞台などさまざまな場面で活躍し、日本でもすっかり人気となりました。
今回、彼らウィーンのキャストが一堂に介し、ウィーン・ミュージカルの傑作ナンバーを繰り広げるコンサートが5月に梅田芸術劇場で開催されます。
出演は、94年からエリザベートを演じているマヤ・ハクフォート、『エリザベート』ではトートを演じ、昨秋には姿月あさと、武田真治とともに3人のトートとして(?)ライブを行い、大好評を博したマテ・カマラス、『エリザベート』ルドルフ役で日本で大ブレイク、今年の1月にはミュージカル『ファントム』の日本公演にも出演したルカス・ペルマン、さらに『ロミオ&ジュリエット』でルカス・ペルマンと共演、ジュリエットを演じたマジャーン・シャキ、『エリザベート』でフランツ・ヨーゼフを演じたアンドレ・バウアー。ウィーン・ミュージカルの大物スターが勢ぞろいします。
演目はほとんどが東宝や宝塚で日本語版として上演されているものばかり。『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『ロミオ&ジュリエット』『モーツァルト!』『レベッカ』『エリザベート』などから、心打たれる名曲の数々が、本場ウィーンの歌い手によって繰り広げられます。ドラマティックなコンサートをご期待ください。
… (08/03/13) 神秘的な美が印象的だった『蜘蛛女のキス』(07年11月)のマルタ役、その舞台から3カ月を経て朝澄けいは、いよいよ女優として大きなステップとなる舞台にチャレンジしている。外部での初舞台『アルジャーノンに花束を』(06年)、そして『蜘蛛女のキス』と同じ荻田浩一演出で、しかも彼のオリジナル作品となる『WILDe BEAUTY』。物語の主人公は作家のオスカー・ワイルドで、19世紀末のヴィクトリア朝ロンドンを背景に、時代の寵児からスキャンダラスな存在へ失墜したワイルドが出会い愛した、3人の女性を朝澄が演じる。その稽古場で、役柄への取り組みと荻田ワールドの魅力を語ってもらうと共に、「今」気になる5つの質問を聞いた。
湖月わたるさん主演の音楽劇『カラミティ・ジェーン』が、4月に東京と大阪で上演されます。タイトルロールのカラミティ・ジェーンとは、アメリカ西部開拓時代の伝説的女ガンマン。彼女の生涯はミュージカル化され、日本では元宝塚トップスターの剣幸さんが退団後の初主演作として演じています。
今回上演されるのはミュージカル版の方ではなく、91年にパリで初演されたフランスの劇作家ジャン=ノエル・ファンウィックの戯曲。ジェーンの恋・出産・子どもとの別れ・再会――波乱に満ちたある女性の半生が、音楽やダンスにのせて綴られます。
ポスターでの西部ガンマンの姿が格好いい湖月さんは、ジェーンの若かりし頃から晩年までを演じることになりますが、子どもを持つ母親、そして老け役をどう演じるかも期待大です。
… (08/03/12)- 宙組公演
1999年5月 シアター・ドラマシティ - 主な配役
- アルフォンソ・ギシャール…和央ようか
デュシャン…樹里咲穂
シモオン…久路あかり
ヘレナ…遠野あすか
ラースロ…真中ひかる
ローナ…城華阿月
ロベール…高翔みず希
優花えり、達つかさ、久遠麻耶、初嶺まよ ほか
- 作曲・編曲:高橋城
- 編曲:今出哲也
- 振付:上島雪夫
- 振付:伊賀裕子
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:沢田祐二
宙組の2作品が専科の轟悠を迎えて、宝塚大劇場で公演中である。芝居は、戦後日本の政界の裏側で奔走した白洲次郎を主人公に描く、石田昌也作・演出の『黎明の風─侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦─』。ショーは酒井澄夫作・演出の『Passion 愛の旅』で、宙組の若さと轟悠のアダルトな雰囲気が、うまくミックスされた濃い内容になっている。その舞台で主演2年目の落ち着きと、さらに華やかさや明るさを増している主演男役の大和悠河に、初日直前にインタビューした。
宙組公演「黎明の風-侍ジェントルマン 白洲次郎の挑戦-」、「Passion 愛の旅」を観劇されたポンタさんから感想をいただきました
榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー「ラブ・シンフォニーII」にお便りをいただきました
月組バウホール公演『ホフマン物語』
1月2日(水)~1月13日(日) 明日海りおバージョン
1月19日(土)~1月29日(火) 青樹泉バージョン
『ホフマン物語』の初演は78年4月、バウホールが誕生しての第1作目だった。その年の夏に退団公演を控えていた安奈淳が17日間主演したあとを、同じ花組の当時の若手スター寿ひずるが引き継いで5日間主演をつとめた。
ともに歌手として名高い男役スターだからこそこなせたオペラの難曲を月組メンバー、とくに主演の青樹泉と明日海りおがどう歌いこなすか(今回はさらに十数曲増えている)、また幻想的でトリッキーなドラマを、どこまで自分たちの物語として消化するか、そこがこの舞台のみどころだったと思う。その難易度の高い舞台を、しかも4パターンの役代わりがあるというハードななかで、若さというエネルギーで「歌う・演じる・踊る歓び」に変えた出演者たち。その姿を観るだけでも価値のある舞台であり、同時に音楽の持つ力に酔わされた公演だった。
今回、4パターンのうち2パターンを観ることができたので、その部分のみレポートする。
バウホール名作シリーズのなかでも、とくに再演が期待されていた舞台といえば、この『蒼いくちづけ』。ドラキュラの孤独な魂を描き、ロマンとサスペンス、甘さと怖さ、耽美とユーモアがみごとにブレンドされた上質のエンターテインメントとして、長く語り継がれてきた。21年を経た今、バウ・ワークショップという形で再び自作に取り組む小池修一郎に、当時のこと、また今回の主役たちについて語ってもらった。