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2008年5月27日 (火)

男役の行方~正塚晴彦の全作品

Romance de Paris

Romance de Paris
雪組公演
2003年8~9月 宝塚大劇場
主な配役
ヴァンサン・シュバリエ…朝海ひかる
ナディア・ジャミーラ…舞風りら
ディディエ…壮一帆
パトリシア…白羽ゆり
ムジャヒド・ナセル…貴城けい
ラシッド・サラム…樹里咲穂
天希かおり、悠なお輝、愛耀子、音月桂、麻倉ももこ、未来優希、麻愛めぐる ほか   
 
作曲・編曲:高橋城
作曲・編曲:鞍富真一
編曲:青木朝子
振付:伊賀裕子
振付:平沢智
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:勝柴次朗

 2003年の雪組大劇場作品『Romance de Paris』は、前年『追憶のバルセロナ』の舞台で、絵麻緒ゆうからバトンタッチされた朝海ひかるが主演した。新トップのお披露目それ自体は、年始め1~2月の『春麗の淡き光に』『Joyful!!』で済ませていたから、初秋8~9月の『Romance de Paris』『レ・コラージュ』は、新生雪組2回目の公演である。

 ちょうどその1回目と2回目の間に、星組でも異動があり、湖月わたるがお披露目をしたが、この時から歌劇団はトップという呼称を主演男役・主演娘役に改めた。湖月の提案を歌劇団が採用した結果だと伝えられている。従って朝海は披露公演の際はトップ男役、2回目からは主演男役ということになる。

           ★      ★     ★

 この作品は回想劇である。

 主演男役のヴァンサン・シュバリエは冒頭で、主演娘役舞風りらのナディア・ジャミーラから届いた手紙を読み始める。2人はパリで巡り合い、互いに憎からず思ったが、やがて彼女は遠くへ去り、ヴァンサン独り残された。

 「……まったく、何が起こるか知れたもんじゃないな。いつどこでどんな目に遭うか。誰に巡り会うのか……。それにしても、出来過ぎた話だ」

 彼の独りごとにかぶせて、回想の中の人々が次々に現れる。これはプロローグのダンスシーンを形作ると同時に、回想という夢に沈んでいく時の、とりとめない入眠時のイメージの連鎖である。

 主題は恋人たちの別離を物語る。ではこれは悲劇なのか。

 そうではない。時制を見ればはっきりする。古典的な悲劇の構成は、現在進行形が原則である。悲劇は人間を超える神や宿命が、刻々に人間を押しつぶしていくありさまを描き出す。

 主人公が後になって自分の身に起きたことを回想するのは、人間の立場からする神や宿命の相対化にほかならない。ヴァンサンの独りごとを聞けば分かるように――。その時、悲劇は既に乗り超えられている。

 この人間主義が演出家の基本的立場である。

☆        ☆    (後略)  ☆      ☆

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 『男役の行方~正塚晴彦の全作品』はブログ『宝塚プレシャス』でその一部を紹介し、全文はアサヒ・コム プレミアム「ベーシックパック」の『宝塚プレシャス』でお読みいただけます。

正塚晴彦作品リスト
はじめに~宝塚の新しい時代に向かって
暁のロンバルディア―愛が蘇るとき―
イブにスローダンスを
アンダーライン
テンダー・グリーン
パペット―午前0時の人形たち―
WHAT'S THE TITLE…!
BLUFF―復讐のシナリオ―
ロマノフの宝石
銀の狼
メラコリック・ジゴロ―危ない相続人―
ブラック・ジャック 危険な賭け―手塚治虫原作より―
二人だけの戦場
WANTED
LAST DANCE
ハードボイルド エッグ
二人だけが悪(ワル)―男には秘密があった そして女には…―
バロンの末裔
FAKE LOVE―愛し過ぎず 与えすぎず
SAY IT AGAIN―「ヴェローナの2紳士」より―
デパートメント・ストア
ブエノスアイレスの風―光と影の狭間を吹き抜けてゆく…―
Crossroad―すれ違うばかりじゃやりきれない―
Love Insurance(ラブインシュランス)
Practical Joke(ワルフザケ)―ってことにしといてくれよ―
カナリア
追憶のバルセロナ

投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/05/27 9:40:00 男役の行方~正塚晴彦の全作品 | | トラックバック (0)

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