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春野寿美礼、ミュージカル『マルグリット』で悲恋の歌姫に
昨年12月24日、宝塚の舞台に別れを告げた春野寿美礼。退団会見ではその後の活動について一切語らず、ファンをやきもきさせていたが、この秋から芸能活動を再開することになった。9月のファーストコンサートでまず歌の活動をスタート、そして来年いよいよ女優として舞台に復帰する。
春野の初舞台&初主演作となるのが、今春ロンドンで幕を開けたばかりの新作ミュージカル『マルグリット』の日本版。「レ・ミゼラブル」「ミス・サイゴン」の作詞・作曲家コンビが手がけるこの作品は、デュマ・フュスの「椿姫」を大胆に翻案、第2次世界大戦中のフランスに舞台を移し、戦時下の悲恋を描く。
先日東京都内のホテルで行われた制作発表会には、主演の春野と来日した3人のスタッフ――脚本のアラン・ブーブリル、クロードミッシェル・シェーンベルクと、脚本・演出のジョナサン・ケント――が出席し、この作品の魅力を語った。
話題の大型新作ミュージカル、そして待望の春野復帰会見ということもあり、多くの報道陣が詰めかける中、まず主催者の挨拶が行われ、続いて壇上の脚本家・演出家によって作品の成り立ち、その背景や魅力が語られた。
『マルグリット』は08年5月にロンドンのウェストエンドで初演され、この日本上演が、海外初公演となる。脚本のブーブリル、シェーンベルクとも、主演の歌姫マルグリットを演じる春野の素晴らしさ、ことにその歌唱力を絶賛した。演出を手がけるケントは、日本でのオーディションでいくつもの素晴らしい才能を見つけたが、その頂点に立つのが春野だと語った。
スタッフ挨拶の後、いよいよ春野の登場である。照明がいったん暗くなり、ピアノの演奏が始まる。そして白いブラウスとパンツに、椿のように赤いジャケットをまとった春野が姿を見せた。少し緊張した表情でマイクの前に立つと、劇中の重要なナンバーという「THE FACE I SEE」を歌いはじめる。その歌声は、もともとのベルベットのような深みのある声に高音域が加わり、一層の輝きを帯びて会場を包み込む。マルグリットの切々たる思いを伝える楽曲自体も素晴らしく、歌い終わると大きな拍手がわいた。
歌の後、春野が挨拶する。
「皆様、ご無沙汰しています。
『マルグリット』というこの作品の中で、とても大切な歌を歌いました。歌を皆さんの前で披露するのは昨年の千秋楽以来のことで、緊張しました。
この日を迎えることができて本当に幸せです。今回マルグリットを演じさせていただきますが、自分の表現できるマルグリットを目指してがんばっていきます。」
続いてスタッフ・キャストへの質疑応答が行われる。
―― 日本でのオーディションに立ち会っての手ごたえやキャストへの印象は?
演出ジョナサン・ケント「エキサイティングなオーディションだった。この作品はメインキャスト以外に、アンサンブルもとても重要。小さい役でも丹念に見てきた。」
――昨年の退団会見からの気持ちの変化と、初めて女性役を演じることについて
春野寿美礼「あのときは、次の予定は本当に決まっていなくて、今までがんばってきたので、ゆっくりしたいという気持ちだった。
それで本当にゆっくり、穏やかに過ごしていたが、退団してから歌を歌う機会があり、そこで初めて男役としてではなく、自分として歌うことで、違う形で歌を歌うことができるのではと感じた。歌から離れていてつらいとも思ったし、心の底から歌いたいと思った。」
「初めての女性役ということについては、これまで男役としていたことは、今普通にこうしている自分とは全然違うが、表現していきたいことは変わらない。男役として学んだことを大切に、幅を広げながらやっていきたい」
――『マルグリット』の見どころと、タイトルロールを演じることへの抱負は?
春野「ロンドンで観たが素晴らしかった。時代背景についてはあまり知識がなかったが、リアルに細かく表現されていて、当時の社会情勢と、それとは両極端な純愛が描かれていて、複雑だが心に伝わるものがあり、観終わって席を立てなかった。
すばらしいスタッフによる想像を超えた作品を自分がやるにあたって、どこから手をつければいいのだろう、と思ってしまうが、スタッフの方たちのエネルギーを感じながら取り組みたい」
――『マルグリット』を復帰第1作に選んだ理由と、今後、女優としてどのような活動をしたいと思うか。
春野「活動再開1作目は、実は9月のコンサートになる。『歌を歌いたい』ということが活動再開の理由だからだが、『マルグリット』の話を聞いたとき、これからいろんな形で歌に取り組んでいきたいと思い、歌の幅が広がれば、とあえて難しい役に挑戦してみたくなった」
『マルグリット』は09年2月から3月、東京・赤坂のACTシアター、大阪・梅田芸術劇場、そして東京・日生劇場で上演される。ドラマティックな悲恋の物語に、ドラマティックな歌声の春野寿美礼が、女優として新しい魅力をどのように見せてくれるのか、非常に楽しみなミュージカルだ。(写真・岩村美佳)
マルグリット
作曲:ミシェル・ルグラン
脚本:アラン・ブーブリル、クロード・ミッシェル・シェーンベルク、ジョナサン・ケント
作詞:ハーバート・クレッツマー
演出:ジョンサン・ケント
主演:春野寿美礼
<東京公演>
期間:2009年2月10日から19日
場所:赤坂ACTシアター
<大阪公演>
期間:2009年2月25日から3月5日
場所:梅田芸術劇場メインホール
<東京公演(第2弾)>
期間:2009年3月12日から29日
場所:日生劇場
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投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/07/12 17:41:11 公演情報エトセトラ | Permalink | トラックバック (3)
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