榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー
真飛聖初日会見「今の花組の新しい風、新しい勢いを」―『愛と死のアラビア/Red Hot Sea』
花組東京宝塚劇場公演初日(7月11日)
『愛と死のアラビアー高潔なアラブの戦士となったイギリス人-』
『Red Hot Sea』
花組の新しい主演男役、真飛聖のお披露目公演『愛と死のアラビア』と『Red Hot Sea』が、7月11日、東京宝塚劇場で幕を開けた。
芝居の『愛と死のアラビア』は、19世紀初頭のエジプトを舞台に、「ハヤブサの目を持つ男」として名をはせたトマス・キースの物語を、友情と愛とからませて描き、真飛聖の男役らしい魅力を見せている。また、海をテーマにさまざまなモチーフを繋げた『Red Hot Sea』は、新生花組の若さが溢れたショー。月組から組替えになった大空祐飛が加わって、新たな花組の船出の勢いが伝わってくる。
午前中に行われた通し舞台稽古のあと、主演として初めての東京公演を迎える真飛聖が、記者たちのインタビューを受けた。
まずは真飛聖から、花組の主演男役としての挨拶がある。
「皆さま、真飛聖でございます。本日は朝早くから通し稽古にお集まりいただき、本当にありがとうございました。千秋楽まで新生花組、一丸となってつとめてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
続いて取り巻いた報道陣から質問が行われる。
──まずカラフルな『Red Hot Sea』ですが、真飛さんがリラックスして楽しんでいるところは?
真飛 「ずばり“幽霊船”です(笑)。
あそこの場面は羽山紀代美先生の振付なのですが、初めの銀橋で歌う場面はちょっと二枚目風で、後半も黒エンビを着たらより二枚目になる振付だったんですけど、『私が振付をしたら、ちょっと路線が変わってしまったね』と先生がおっしゃって(笑)。『こんなはずではなかったんだけど、それが真飛のカラー』と言ってくださって。
自分自身も、あの振付をいただいてから日に日に進化してしまって、東京の千秋楽には顔も原型がないくらい変わってるかもしれないのですけど(笑)。あの場面は唯一、ちょっとコミカルというか面白く仕上がっていますので、リラックスというか楽しんでやっています。」
──主演男役となって1カ月半公演してきて、主演男役と感じるときと今の花組の状態を。
真飛 「そうですね、主演と感じるときは、最後のパレードで全員に迎えられて幕が降りていくときに、『主演だな』と感じるのですが、今のように皆さんに囲まれると、『ああ、私は花組の主演として東京でまたあらためて舞台に立つんだな』と実感します。
今の花組は本当にとても元気で、みんなの心がすごく素直で、宝塚をみんなが1人1人が愛している。そして男役なら男役を追求していくし、娘役なら娘役をより可愛らしくという感じで、1人1人が貪欲に、自分の芸名に誇りをもってやっているというのが、すごく見ていてうかがえます。」
──2作品の見どころを。
真飛 「お芝居のほうは、トマス・キースという役だけでなく、砂漠に生きる男たちの生きる熱いエネルギー、生きていく勢いというようなものが、今の新生花組の新しい風、新しい勢いに重なるところがあるような気がしています。お芝居を通して、またショーを通して、今の花組、そしてこれからもっともっと変わっていくだろう花組というものが、2作品を通して、どんどんこれからもっともっと皆さまに伝わると思います。
ですから、お芝居のどこが見どころとかショーのどこが見どころというのはなくて全てが見どころですね。そして2作品を通して、今の花組の形、そしてこれから変わっていく花組の形が、皆さまにわかるのではないかと思っています。」
最後に真飛聖は明るい笑顔で「千秋楽までよろしくお願いいたします」と一礼、記者たちの拍手に送られて元気に初日の楽屋へ向かっていった。この公演は8月17日まで東京宝塚劇場で公演される。(文・榊原和子/写真・岩村美佳)
-------------------------
◆宝塚歌劇花組公演◆
宝塚ミュージカルロマン
『愛と死のアラビア』―高潔なアラブの戦士となったイギリス人―
Based on the novel BLOOD AND SAND by Rosemary Sutcliff
Copyright (c) 1987 Sussex Dolphin Limited
Japanese musical performance rights arranged with
Sussex Dolphin Limited c/o David Higham Associates Ltd., London
through Tuttle-Mori Agency, Inc., Tokyo
原作/ローズマリ・サトクリフ
脚本・演出/谷正純
山本史郎訳「血と砂」(原書房刊)を参照
グラン・ファンタジー
『Red Hot Sea』
作・演出/草野旦
・東京宝塚劇場公演( ⇒宝塚歌劇団公演案内へ)
公演期間:7月11日(金)~8月17日(日)
《関連情報》
■《インタビュー》真飛聖さん ― 『愛と死のアラビア』『Red Hot Sea』で魅せる新生花組
■《レビュー》パワフルでノリのいいショー 花組『Red Hot Sea』
■《レビュー》真飛聖と花組の新しい魅力 『愛と死のアラビア』
■《レビュー》真飛聖、花組らしい甘やかな男役 『ラブ・シンフォニーll』
■《レビュー》真飛の表情が魅力 花組『メランコリック・ジゴロ』はおかしさいっぱいのコメディ
■《インタビュー》真野すがたさん・朝夏まなとさん ― 名作『蒼いくちづけ』主演の2人
■《レビュー》大空祐飛ならではのテイスト 月組バウ『HOLLYWOOD LOVER』
■《インタビュー》『HOLLYWOOD LOVER』大空祐飛さん ― スタイリッシュな舞台を
■《レビュー》「こんなにも愛されて」 『春野寿美礼サヨナラショー』
■《レビュー》踊る春野を堪能 花組『ラブ・シンフォニー』
■《レビュー》春野寿美礼、哀愁を身にまとい 花組『アデュー・マルセイユ』
■《レビュー》スターの見せ場満載 「TCAスペシャル2007」第2部
■《レビュー》宝塚レビューを振り返る 「TCAスペシャル2007」第1部
■《レビュー》春野“愛を彷徨する”男好演 桜乃は華やかさと可憐さ演じ分け 花組『源氏物語 あさきゆめみしII』(その2.出演者編)
■《レビュー》春野寿美礼の魅力で見せる舞台 花組『源氏物語 あさきゆめみしII』評(その1.全体編)
■《インタビュー》『源氏物語 あさきゆめみしII』春野寿美礼さん・桜乃彩音さん(後編)
■《インタビュー》『あさきゆめみしII』主演 春野寿美礼・桜乃彩音対談(前編)
■《公演情報》妖しく美しい春野寿美礼の光源氏に期待 『源氏物語 あさきゆめみしII』制作発表
■《レビュー》愛音羽麗、まっすぐにひたむきに 植田景子の美が彩る花組バウ公演『舞姫』
■《インタビュー》『舞姫』主演 愛音羽麗さん ― 美しい物語の余韻を残したい
■《レビュー》春野寿美礼初日会見『明智を宝塚的に華やかに』-明智小五郎の事件簿/TUXEDO JAZZ
■《レビュー》荻田+春野寿美礼の“男役の美学とスパイス”が隠し味『TUXEDO JAZZ』
■《レビュー》乱歩作品にふさわしい春野“危険”な匂い『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』
■《レビュー》春野・桜乃花組主演コンビが2007年新春鏡開き
■《レビュー》スター春野寿美礼の魅力全開!『うたかたの恋/エンター・ザ・レビュー』
■《レビュー》華やかで感動的だった『宝塚舞踊会』
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/07/14 10:42:51 榊原和子の宝塚初日&イベントレビュー | Permalink | トラックバック (0)