公演情報エトセトラ
60年代ガールズ・ライフスタイル・カタログ ミュージカル「SHOUT!」
雑誌『SHOUT!』は最新流行のファッション、ヘアスタイルから、人気スターのゴシップ、恋愛相談まで、必要なことをすべて教えてくれる、60年代の若い女の子のバイブルだ。その愛読者である5人の女の子たちが『SHOUT!』を傍らに、それぞれの青春時代を過ごす。やがて時代は70年代へと移り、彼女たちも大人になっていく。
特にストーリーらしいストーリーはなく、それぞれのエピソード――理想的な結婚をしたはずなのに夫がゲイだったオレンジ(樹里咲穂)、ポール・マッカートニーをストーカーのように追っかけるイエロー(森口博子)、誰とでも寝てしまうグリーン(岡千絵)、物憂い美人だけど同性愛のブルー(紫吹淳)、もてなくても恋愛したいレッド(入江加奈子)――が、それこそ雑誌の記事のように散りばめられている。また、彼女たちの名は色名で記号化され、その体験が特定の個人のものではなく、当時の女性に普遍的なことだという印象を与えている。さながら“60年代ガールズ・ライフスタイル・カタログ”といった趣。
その普遍性は現代にも通じていて、40年前も今も私たち女性の悩みだったり考えたりすることなんてそれほど変わらないのだと、いつしか共感しながら観ていた。
キャストの5人はいずれも歌・踊りともに実力派揃い。紫吹淳の切れのある動き、樹里咲穂のパワフルな歌、岡千絵のセクシーなダンス、森口博子の伸びのある声、入江加奈子の小さな身体からあふれる歌声。歌はメインでないときもコーラスで参加するなどほぼ全員が全曲を歌っている。60年代ポップスを知っていても知らなくてもノリのよいサウンド、かつ歌い手が素晴らしいので、退屈する場面がない。キーボード、パーカッションは舞台の上での生演奏で、ライブ感いっぱいだ。
ポップな色とデザインの舞台や、60年代ファッションなどビジュアルも見所。身長の高い紫吹・樹里のミニスカート姿はすっと伸びた脚線が美しい。セクシーな岡、キュートな森口・入江と、それぞれの個性にあった衣装や髪型も楽しめる。後半、サイケなプリントブラウスやパンタロン、ロングスカートなど、ガラリと変わる70年代ファッションが見られるのも嬉しい。
赤坂泰彦、松金よね子の声だけの出演も効いている。歌と踊りでノリノリになりながら、人生も考えさせられてしまう、小さめながらも中身が詰まった素敵な舞台だった。
東京公演は8月31日まで。その後、9月3日から15日まで全国各地で上演される。
ミュージカル「シャウト!」
翻訳・訳詞・演出:菅野こうめい
振付:振付稼業 air:man
音楽監督:飯田緑子
キーボード:飯田緑子・明石敏子
ドラム&パーカッション:小林香織
キャスト:紫吹淳、樹里咲穂、岡千絵、入絵加奈子、森口博子
<東京公演>
期間:2008年8月31日(日)まで
場所:東京・博品館劇場(⇒劇場のHP)
<全国公演>
期間:2008年9月3日(水)
場所:岐阜・可児市文化創造センター主劇場(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月5日(金)
場所:静岡・富士ロゼシアター大ホール(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月7日(日)
場所:香川・アルファあなぶきホール大ホール(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月9日(火)
場所:兵庫・県立芸術文化センター中ホール(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月11日(木)
場所:愛媛・松山市民会館大ホール(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月13日(土)
場所:高知・県立県民文化ホールオレンジホール(⇒劇場のHP)
期間:2008年9月15日(月・祝)
場所:福岡・宗像ユリックスイベントホール(⇒劇場のHP)
※詳細についてはミュージカル「シャウト!」公式サイトでご確認ください。
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/08/26 0:05:18 公演情報エトセトラ | Permalink | トラックバック (0)