中本千晶のヅカ★ナビ!
《中級編》都会では出あえないものがここにある
レベル:★★☆(中級編)
分野:地方の時代
対象:夏休み、帰省先でリフレッシュした人。これからの人も参考に!
宝塚歌劇では、ホームグラウンド宝塚大劇場と東京宝塚劇場での通年公演のほかに、全国各地での公演も行っている。
このうち、2月の名古屋・中日劇場、そして8月の福岡・博多座での公演は毎年の恒例だ。
山口県で育った私、子どものころ広島での公演に何回か行ったが、これがあまり好きじゃなかった。
地方の劇場には当然ながら大階段も銀橋もない。組のメンバー全員が地方公演に来るわけじゃないから、出演者の人数も少ない。本家本元の大劇場に比べると、やっぱりわびしい・・・。
子ども心に「やっぱり田舎はダメなんだぁ~」という劣等感を感じたものだった。
でも、今は大好きだ。地方での公演には、大劇場の公演とは全く違う良さがある。
私の場合、実家からも近い博多座公演はとりわけ親近感のわく公演だ。故郷の近くにタカラヅカが来てくれるというのは何となくうれしいものだし、夏の帰省に引っかけて足を伸ばしやすい。
そんなわけで「夏休み」といえば「博多座のタカラヅカ」。何組のどの公演が博多座に来るのかは毎年の大きな関心事である。
今年は話題作の『ME AND MY GIRL』が来るというので期待もひとしおだ。しかも、大劇場バージョンと違う霧矢大夢主演で!
さて、博多座のビルとサリー。
霧矢大夢のビルは、誠実さが滲み出た温かいビル。実力派の霧矢大夢らしく、つぎつぎと繰り出される小技も安心して観ていられるし、ギャグの場面ではオリンピックネタを駆使してきっちり笑わせてくれる。
「タカラヅカ、初めてじゃけん」というお客さんたちの楽しそうな笑い声が聞えてくると、なぜかこっちまでうれしくなってしまう。
羽桜しずくのサリーは初々しく感受性豊かなサリーだ。新人公演での配役がスライドした形だが、大抜擢に堂々と応えていたと思う。課題の歌も、お芝居での感情の動きに自分の声を無理なく乗せる歌い方にとても好感が持てた。
そして、特筆すべきはなんといっても星条海斗演じるパーチェスターだろう。
若さと、歌・踊り・芝居三拍子そろった実力が博多の夏に大爆発!
これまで、「パーチェスターといえば未沙のえる」というイメージが定着していたけれど、こと博多のお客さんの間では「パーチェスターといえば星条海斗」という記憶がシッカリと焼き付けられたことは間違いない。
このほかにも、ダンサー桐生園加がジョン卿で思いがけないナイスオヤジぶりを見せてくれたりと、博多まで行かなきゃ観られないものはたくさんある。
同じ月組、同じミーマイといっても、事実上まったく別のカンパニーの作品といってもいい。だから、やっぱり見逃せない。
宝塚と東京での通年公演のほかに、せっせと全国各地を巡らなくてはいけないタカラジェンヌは大忙しだ。
そして、これを見逃せないファンも、やっぱり大忙しなのである。(中本千晶)
☆ステップアップのための宿題☆
サービス精神旺盛なタカラジェンヌ、地方での公演では必ずご当地ネタを取り入れたアドリブがあるのがお約束。これをチェックするのも地方公演ならではの楽しみです。「ME AND MY GIRL」でもビルが博多弁を駆使してました。
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/08/22 11:00:00 中本千晶のヅカ★ナビ! | Permalink | トラックバック (0)