男役の行方~正塚晴彦の全作品
愛するには短すぎる
- 星組公演
2006年8~9月 宝塚大劇場 - 主な配役
- フレッド・ウォーバスク…湖月わたる
バーバラ・オブライエン…白羽ゆり
アンソニー・ランドルフ…安蘭けい
ジェラルド・ウォーバスク/ブランドン・オサリバン…未沙のえる(2役)
マーシャル・ウェンズワース…立樹遥
ドリー…陽月華
オコーナー…涼紫央
高央りお、柚希礼音、和涼華、英真なおき ほか
- 原案:小林公平
- 作曲・編曲:高橋城
- 作曲・編曲:玉麻尚一
- 作曲・編曲:青木朝子
- 作曲・編曲:太田健
- 振付:伊賀裕子
- 振付:平沢智
- 装置:大橋泰弘
- 衣装:任田幾英
- 照明:勝柴次朗
2006年の星組大劇場作品『愛するには短すぎる』は、主演男役湖月わたるの退団公演である。先にVIII-2『Romance de Paris』でも触れたが、この人が2003年4月に星組を率いるようになった時から、歌劇団はトップ男役・トップ娘役という呼び方を、主演男役・主演娘役に改めた。湖月の提案がきっかけだと伝えられている。
トップの語感には、歌舞伎の座頭に似た身分制度的雰囲気があるが、主演男役といえばキャスティングのことになるので、上下関係ではなく役割分担の印象が濃くなる。退団発表の記者会見では、湖月は退団の理由について、次のように述べていた。
「『ベルばら』で、マリー・アントワネットのために身を引き、フランスを去る決意をしたフェルゼンを演じながら、星組は後任もつかえているし、宝塚への愛ゆえに卒業していくのも1つの道だと決断しました」(2006年2月27日付『朝日新聞』夕刊)。
ここには星組の2番手男役で2期下級生の安蘭けいへの配慮がにじみ出ている。安蘭と同期の春野寿美礼(花組)と朝海ひかる(雪組)は既に主演男役の座についていた。朝海は同年中の退団をさえ、間もなく発表することになる。
他人に対する誠実さ。温かさ。気配り。またそれ故の決断と苦悩。この性格は湖月の芸風そのものにまでなっている。退団公演『愛するには短すぎる』は、彼女の芸風を最大限に生かしている点で、1997年の初主演作『夜明けの天使たち』と首尾照応し、両者を宝塚時代の代表作に挙げてよいかと思う。
☆ ☆ (後略) ☆ ☆
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『男役の行方~正塚晴彦の全作品』はブログ『宝塚プレシャス』でその一部を紹介し、全文はアサヒ・コム プレミアム「ベーシックパック」の『宝塚プレシャス』でお読みいただけます。
■正塚晴彦作品リスト
■はじめに~宝塚の新しい時代に向かって
■暁のロンバルディア―愛が蘇るとき―
■イブにスローダンスを
■アンダーライン
■テンダー・グリーン
■パペット―午前0時の人形たち―
■WHAT'S THE TITLE…!
■BLUFF―復讐のシナリオ―
■ロマノフの宝石
■銀の狼
■メランコリック・ジゴロ―危ない相続人―
■ブラック・ジャック 危険な賭け―手塚治虫原作より―
■二人だけの戦場
■WANTED
■LAST DANCE
■ハードボイルド エッグ
■二人だけが悪(ワル)―男には秘密があった そして女には…―
■バロンの末裔
■FAKE LOVE―愛し過ぎず 与えすぎず
■SAY IT AGAIN―「ヴェローナの2紳士」より―
■デパートメント・ストア
■ブエノスアイレスの風―光と影の狭間を吹き抜けてゆく…―
■Crossroad―すれ違うばかりじゃやりきれない―
■Love Insurance(ラブインシュランス)
■Practical Joke(ワルフザケ)―ってことにしといてくれよ―
■カナリア
■追憶のバルセロナ
■Romance de Paris
■BOXMAN ― 俺に破れない金庫などない ―
■BourbonStreet Blues
■スカウト
■La Esperanza―いつか叶う―
■ホテル ステラマリス
投稿者 ベルばらKidsぷらざスタッフ 2008/08/19 8:00:00 男役の行方~正塚晴彦の全作品 | Permalink | トラックバック (0)